ep.225 地下倉庫の狂想曲(カオス)
咲姫の秘密の「0番倉庫」で作られた、揚げたてポテチと特製ネギソーセージ。その破壊的なまでに食欲をそそる香りは、地下道の空気循環システム(ep.214参照)を通って、街全体へ一気に拡散してしまいました。
「......おい、なんだこの匂いは! 鉄を打つ集中力が完全に切れたじゃねえか!」 真っ先に激怒(と空腹)で乗り込んできたのは、槌を持ったままのガラムでした。彼は地下道の突き当たり、隠されていたはずの偽装壁を、鍛冶屋の剛腕で文字通りぶち破りました。
「ゲッ! ガラムさん、不法侵入なのです!」 「不法もクソもあるか! 街の地下で勝手にイノシシをソーセージにしてんじゃねえ! ......あと、そのパリパリしてるやつ(ポテチ)を一枚寄こせ!」
そこへ、表の道にいた行商人や、噂を聞きつけて集まっていた隣村の人々も、鼻をヒクヒクさせながら地下道になだれ込んできました。 「奥から伝説の『肉の調べ』が聞こえるぞ!」「並ぶから食べさせてくれ!」 秘密の隠れ家だったはずの0番倉庫は、一瞬にして暴動寸前の超満員レストランと化してしまったのです。
しかし、そこで最大の障害が立ち塞がりました。
「むにゃむにゃ......もう飲めないよ$301C。でも、このソーセージは別腹$301C......」
通路のど真ん中で、芋焼酎を三瓶空けたうさちぁんが、ポテチの袋を枕にして大の字で寝落ちしていたのです! うさちぁんの体から溢れる「神聖な酔っ払いオーラ」が、地下道の通行を物理的にブロック。人々は「美味しそうな匂いがするのに、神様が寝てて先に進めない!」という生殺し状態に。
「うさちぁん、起きるのです! 営業妨害なのです!」 咲姫がゆさゆさ揺らしますが、うさちぁんは「咲姫ちぁんのソーセージ、世界一~♪」と寝言を言うばかり。
結局、ガラムが通路を広げる工事をし、テトがうさちぁんを包むための特大ふかふかクッションを即座に縫い上げ、ハクが酔い覚ましのハーブティーを煮出すという、総力戦が展開されました。
「......ふふん。結果オーライなのです! これでお客さんも『秘密の味』を知っちゃったから、もうエトスフェリアからは逃げられないのです!」
その日の夕暮れ。 地下道から溢れ出したポテチの香りと、うさちぁんの幸せそうな寝息に包まれて、エトスフェリアはかつてない活気に包まれました。 人々は確信したのです。この街には、お腹だけでなく、心まで蕩けさせる「カオスな幸せ」があるのだと。
第3段階への架け橋
秘密が秘密でなくなったことで、0番倉庫は正式に「エトスフェリア地下食品加工局」へと昇格しました(実質は咲姫の遊び場)