ep.304 深海のクリスタル・エコー。自我を持つ水たち
「液体3Dプリンタ」によって水上に魔法のような都市が築かれる中、咲姫の興味はアクア・ルナのさらなる深淵へと向いていた。
「テラちゃん! 下の方に、キラキラ光るお魚さんがたくさんいるのです! 近くで見たいのです!」 「咲姫様、この星の深海は、先ほどの『液体演算システム』の影響で、水分子そのものが知性のようなもの(情報集積体)を持ち始めていますわ。何が起きても驚かないでくださいね」
一行は、サヤがささっと用意した、全面強化ガラス張りの「白パン型潜水艇」に乗り込み、琥珀色の光が届かない深海へと潜っていった。
そこには、魚ではなく「魚の形をした水」が群れをなして泳ぎ、クリスタルのように硬質化した水の植物が歌うように振動する、幻想的な世界が広がっていた。 「わぁ...お水さんたちが、お喋りしているみたいなのです!」
「本当だねぇ。ちょっと混ぜてみようかぁ!」 うさちぁんが潜水艇のハッチから手を出し、深海の水を一掴みしてシェーカーで「友好の概念」を混ぜ合わせる。 すると、周囲の水たちが集まり、一つの巨大な「水の執事」のような形を作り出した。
『...主様(マスター)バカンスのご機嫌はいかがでしょうか?』 液体演算システムから生まれた水の精霊が、バブルのような音で語りかけてくる。
「あらあら、礼儀正しいお水さんですね。...さらっと」 アリシアが精霊の構造をさらっとスキャンし、彼らの知性を「バカンス・スタッフ」として正式に採用する契約書をバインダー内に作成した。
「これです! 深海でもお茶会をしたいのです!」 「承知いたしました。...ささっと」 サヤが指を鳴らすと、潜水艇の周囲に気泡のドームが展開され、深海1万メートルに「透明な水中サロン」が出現。水の精霊たちが、液体演算を駆使して「絶対に薄まらない、水でできたティーセット」を運んできた。
しかし、喜びも束の間。空の「ウォッカ海」から、アルコール分を多く含んだ重い液体が、滝のように深海へ沈み込んできた。
「大変なのです! お空のお酒が、深海のお水さんたちを酔っ払わせようとしているのです!」 「ぎゃはは! 精霊たちが千鳥足になってるよぉ! これはこれで面白いねぇ!」
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【遊の章:進捗状況 4/8】
・咲姫:水の精霊たちと深海お茶会を開催。
・うさちぁん:深海の水と空の酒を混ぜて「深海カクテル」を生成。
・サヤ:「ささっと」深海に気泡のサロンを設営。
・アリシア:「さらっと」水の精霊たちを「エトスフェリア・臨時職員」として登録。
・テラ:深海の知性体が「アルコール中毒」によって崩壊しないよう、必死に中和計算を行う。
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