ホームクラフトアルケミストの異世界素材録 〜スローライフから始まる概念破壊の銀河群像劇〜ep.217 土の歌、緑の産声
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ep.217 土の歌、緑の産声

「エトスフェリアには、『シャキシャキ』と『瑞々しい』が足りないのです! 土の味がするお野菜がいっぱい必要なのです!」

 咲姫の叫びが丘に響く中、伝説の鐘の音に引かれてやってきたのは、背中に小さな森のような苗木を背負った老人、ハクでした。 彼は戦火で失われた故郷から、唯一守り抜いた「最後の種」を抱えて彷徨っていたのです。

「じいじ、お腹が空いてるのです!? まずはこのスープを飲むのです!」 咲姫が差し出した一杯。ハクはそれを一口啜ると、深く溜息をつきました。 「......いい味だ。だが、このスープに、わしが持つ『太陽のトマト』を一つ落とせば、もっと命が踊る味になるんだがな」

「太陽のトマト!? 聞くだけで美味しそうなのです! じいじ、今すぐここで育てるのです!」

 咲姫の暴走スイッチが入りました。彼女はハクを連れて、丘の最も陽当たりのいい斜面へ駆け出します。 しかし、そこで咲姫の鼻がピクピクと動きました。

「......くんくん。じいじ、トマトもいいけど、あっちの湿った土から、とんでもなく『いい匂い』が醸し出されているのです!」

 咲姫が指差したのは、川から引いた水路の脇、少しぬかるんだ場所でした。 そこには、ハクが「いつかどこかで......」と大切に懐に忍ばせていた、世にも珍しい**『醸し出すネギ』**の球根が埋まっていました。

「おおい、待て! それはまだ植える時期じゃ......!」 「ダメなのです! 今すぐここで、トマトと一緒にセッションさせるのです!」

 咲姫の魔法の水と、ハクの熟練の土づくり。そこにガラムが打った鉄の鍬(くわ)が加わり、一気に畑が耕されます。 植えられた「太陽のトマト」が真っ赤な実を膨らませる横で、「醸し出すネギ」がニョキニョキと青い首を伸ばしました。

 するとどうでしょう。そのネギが風に揺れるたび、あたり一面に食欲をそそる、まるでお出汁のような芳醇な香りが「醸し出され」始めたのです。

「......すごいのです! 畑にいるだけで、お腹が空いてくるのです!」 「......やれやれ。トマトの酸味とネギの旨味か。こりゃあ、最高のスープが作れる土壌になっちまったな」

 ハクは苦笑いしながらも、芽吹いた緑を愛おしそうに撫でました。 エトスフェリアの風が、ただの風から「美味しそうな風」に変わった瞬間でした。
あとがきモカルドルラテ
咲姫の鼻はどうなってるんだ!? グルメに振り切れた咲姫、うさちぁんに匹敵しそうな活躍ぶりです。 尚、作者はネギ大好き。冬は毎日鍋でいいよ~
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クラフトアルケミストの異世界素材録 〜スローライフから始まる概念破壊の銀河群像劇〜作者:モカルドルラテ
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「じいじ、お腹が空いてるのです!? まずはこのスープを飲むのです!」 咲姫が差し出した一杯。ハクはそれを一口啜ると、深く溜息をつきました。 「......いい味だ。だが、このスープに、わしが持つ『太陽のトマト』を一つ落とせば、もっと命が踊る味になるんだがな」

「太陽のトマト!? 聞くだけで美味しそうなのです! じいじ、今すぐここで育てるのです!」

 咲姫の暴走スイッチが入りました。彼女はハクを連れて、丘の最も陽当たりのいい斜面へ駆け出します。 しかし、そこで咲姫の鼻がピクピクと動きました。

「......くんくん。じいじ、トマトもいいけど、あっちの湿った土から、とんでもなく『いい匂い』が醸し出されているのです!」

 咲姫が指差したのは、川から引いた水路の脇、少しぬかるんだ場所でした。 そこには、ハクが「いつかどこかで......」と大切に懐に忍ばせていた、世にも珍しい**『醸し出すネギ』**の球根が埋まっていました。

「おおい、待て! それはまだ植える時期じゃ......!」 「ダメなのです! 今すぐここで、トマトと一緒にセッションさせるのです!」

 咲姫の魔法の水と、ハクの熟練の土づくり。そこにガラムが打った鉄の鍬(くわ)が加わり、一気に畑が耕されます。 植えられた「太陽のトマト」が真っ赤な実を膨らませる横で、「醸し出すネギ」がニョキニョキと青い首を伸ばしました。

 するとどうでしょう。そのネギが風に揺れるたび、あたり一面に食欲をそそる、まるでお出汁のような芳醇な香りが「醸し出され」始めたのです。

「......すごいのです! 畑にいるだけで、お腹が空いてくるのです!」 「......やれやれ。トマトの酸味とネギの旨味か。こりゃあ、最高のスープが作れる土壌になっちまったな」

 ハクは苦笑いしながらも、芽吹いた緑を愛おしそうに撫でました。 エトスフェリアの風が、ただの風から「美味しそうな風」に変わった瞬間でした。
あとがきモカルドルラテ
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