ep.218最初の収穫祭、赤と緑のセッション
「ハクじいじ! トマトとネギは最高だけど、重大な問題が発生したのです!」 ピザを一口食べた咲姫が、幸せそうな顔のまま、しかし真剣な眼差しで叫びました。 「お腹いっぱい、心ゆくまで『生きてる!』って実感するには、やっぱりお芋さんが必要なのです! ズッシリ、ホクホク、これがないと夜が寂しいのです!」
そう言うなり、咲姫はハクの種袋から、まだ植える予定ではなかった『大地の黄金(ジャガイモの原種)』をひったくりました。
「おおい、待て! その芋は芽が出るまで時間がかかる。収穫は数ヶ月先じゃぞ!」 「そんなの待てないのです! エトスフェリアの神様......うさちぁんにお祈りするのです!」
咲姫は畑の真ん中に深くお芋を埋めると、空に向かって「うさちぁんポーズ」で祈りを捧げました。 「お月様のうさちぁん! お腹が空いたのです! お芋さんをムクムク大きくしてほしいのです!」
すると、咲姫の無垢な願いに共鳴するように、彼女から漏れ出した「豊穣の魔力」が光の粒となって土に吸い込まれていきました。 ゴゴゴ......! と地響きが鳴り、一瞬にして青々とした葉が茂り、土が盛り上がります。
「な、なんじゃこりゃあ!? 伝説の成長促進(グロウアップ)か!?」 ハクが腰を抜かす中、咲姫は迷わず土を掘り返しました。そこには、赤ん坊の頭ほどもある、黄金色に輝くお芋がゴロゴロと実っていたのです。
「獲れたのです! これがエトスフェリアの力持ち、『うさちぁんポテト』なのです!」
咲姫はすぐさまそのお芋をガラムの石窯へ放り込みました。 焼き上がったお芋を割り、冷蔵庫から出した冷たいバターを乗せ、収穫したての「醸し出すネギ」を散らす......。
「......はふ、はふっ! 美味しすぎるのです......これなら百人来ても大丈夫なのです!」
ホクホクのお芋を頬張り、みんなの顔に本当の余裕が生まれたその時。 お芋の焼ける甘い匂いと、トマトの香りに誘われるように、丘の境界線に新たな「影」が差しました。