ep.327 時給15エトスの屈辱と、エリート・マネージャーの誕生
「今日から新人の時給は、市場適正価格の15エトスだ。文句は受け付けねえ」 怪獣リーダーが突きつけた新しい雇用契約書を前に、新人は魂が抜けたような顔で崩れ落ちた。
「じゅうご...。1,000エトスでもお粥しか食べられなかったのに、15エトスじゃ、お粥の湯気すら吸えない...!」
だが、怪獣コンサルタントたちの矛先は、隣に立つ男へと向けられた。
「おい、騎士。お前のこれまでの働きぶり...『壊さない、汚さない、工期を守る』これはもはや、現場の鑑だ。どうだ、俺たちの下で『現場マネージャー』として働かねえか?時給は一気に2,000エトスまで上げてやる」
「...2,000エトスだと?」
騎士の目が鋭く光る。これまで地道に積み上げてきたキャリアが、まさかの「敵」から最高評価を受けたのだ。
「...断る理由はないな。経営者が怪獣だろうが、労働条件の良い方につく。それがプロの社畜だ」
「よし、交渉成立だ!騎士、今日からお前はこのダメ新人の教育係兼、現場の総監督だ」
怪獣リーダーと騎士がガッチリと握手を交わす。新人と騎士の間に、かつてない「圧倒的な格差」が生まれた瞬間だった。
その頃、お酒の匂いに釣られてフラフラと現れたうさちぁんは、怪獣たちが差し出した「極冷えの生樽」を抱えてご機嫌だった。
「あはは、経営再建おめでとぉ~。お酒さえくれれば、私はどっちの味方でもないよぉ。あ、でも咲姫ちゃん、向こうのモニターで顔真っ赤にしてプルプルしてるけど大丈夫~?」
「にゃうにゃー!!私の騎士が、怪獣に引き抜かれたのですー!でも...『かつての仲間が、格差によって支配・被支配の関係に変わる』...あああ、このシチュエーション、興奮で心臓がもたないのですー!!」
咲姫は怒りと興奮で暴走しながらも、手元の家計簿が「2,000エトス」という新たな人件費でさらに赤字を拡大させていることに、まだ気づいていなかった。
【進捗状況11/12】
咲姫:
騎士の裏切り(転職)という劇的な展開に悶絶。ヘイトを集めつつも、実はその高額時給も彼女の私財から出ているという矛盾に突き進む。
うさちぁん:
完全なるオブザーバー。怪獣から提供される「おつまみ」を評価しつつ、新人の15エトスでは一生買えない高級酒をラッパ飲みする。
サヤ:
「ささっと」騎士の役職手当を計算。新人の15エトスとの対比を強調するため、騎士にだけ「豪華な社員食堂パス」を発行。
アリシア:
「さらっと」労働契約法を改正。「怪獣企業への転職は、ギルド内規定により合法的である」と咲姫に報告。
わんわん:
「さくっと」騎士のために、専用のマネージャー席(座り心地抜群)を遺跡の特等席に設置。
果林:
「くいっと」騎士の昇進祝いと称して、彼にだけ上等な酒を振る舞い、新人をさらに惨めな気持ちにさせる。
猫二:
常務取締役として騎士に「現場の効率化」を丸投げ。「騎士殿、あとは頼んだニャ...」と丸くなって寝始める。