ep.326 怪獣コンサルタントと、逆転の経営権
「パリン、パリン、パリン...」
遺跡に響き続ける不吉な音。新人がボーナス欲しさに放った空振りが、遺跡の歴史的な石柱を粉々に砕いた。
「あああ!また500エトス天引きだ!これじゃボーナスどころか、今月の時給がゼロになっちゃう!」
「...だから言っただろう。お前は自分の価値を過信している」
騎士が呆れたように溜息をつくが、その時、遺跡の空気が一変した。
「おい...ちょっと待て。...今、何て言った?」
猫二を担いでいた武闘派怪獣のリーダー格が、動きを止めた。その大きな爪には、戦闘の混乱でアリシアが落とした「NUC資産報告書(極秘)」が握られている。
「なんだこの数字は!このギルド、新人の給料を払うために、昨日は小惑星を売り、今日は咲姫の私物コレクションを質に入れてるじゃねえか!超絶大赤字だぞ、おい!」
怪獣たちの間に、戦慄が走る。彼らにとって、咲姫は「遊んでくれる(戦わせてくれる)スポンサー」だ。そのスポンサーが破産すれば、自分たちのエサ代や、あの無駄に豪華なピアノの維持費も消える。
「猫二!咲姫様はバカなのか!?市場価値10エトスもねえ新人に、なんで1,000エトスも払ってんだ!経営センスが絶望的だぞ!」
「ひ、ひえぇ!それは咲姫様の『ヒーローへの愛』というか、ただのわがままというか...ニャ!」
怪獣リーダーは、拳を地面に叩きつけて宣言した。
「決めた。俺たちがこの遺跡を占拠し、経営を立て直す!ヒーロー(おもちゃ)が壊れる前に、ギルドが潰れちまうからな!」
「えええっ!?敵がギルドを運営するんですか!?」
驚愕する新人を尻目に、怪獣たちはテキパキと動き出した。
「まず、新人の時給は適正価格の15エトスまで下げろ!その代わり、俺たちが『効率的な壊され方』を指導して、咲姫様から高額な『鑑賞料』を分捕ってやる!」
モニターの向こうで、咲姫がポップコーンをひっくり返して絶叫する。
「にゃうにゃー!私のギルドが、勝手に再建されていくのですー!でも...『敵に支配された基地』というシチュエーション...それはそれで、最高に萌えるのです!」
【進捗状況10/12】
咲姫:
経営権を怪獣に奪われるという屈辱的展開に、逆に新しい「ヒーローの苦難」を見出して興奮が止まらない。
うさちぁん:
経営者が怪獣になった途端、酒の仕入れルートを怪獣たちに握られ、「お酒のために協力しちゃうよぉ」と速攻で寝返る。
サヤ:
「ささっと」怪獣たちの厳しい経費削減案を採用。新人の備品から「トイレットペーパー」を没収する。
アリシア:
「さらっと」ギルドの定款を書き換え。代表取締役を「怪獣A」に変更する事務手続きを完了。
わんわん:
「さくっと」怪獣たちの指示で、遺跡を「壊れにくいが、派手な音が鳴る」防音エンタメ会場に改装。
果林:
「くいっと」怪獣が持ってきた「強烈な密造酒」を気に入り、「あんたたち、経営の素質あるわね」と太鼓判。
猫二:
現場監督から「常務取締役」に昇進。怪獣たちに「数字で語れ!」と詰め寄られ、胃に穴が空き始める。