ep.328 さらば黄金の私財、そして再建の夜明け
「にゃうにゃあああ!もう限界なのです!お財布が空っぽなのですー!」
遺跡の巨大モニターに映し出された咲姫が、ついに号泣した。その手には、スカスカになった黄金のガマ口財布と、真っ赤に染まった家計簿が握られていた。
「どういうことだニャ!?咲姫様!」
現場監督(時給2,000エトス)として怪獣たちをテキパキ動かしていた騎士と、時給15エトスで遺跡の床を舐めるように磨いていた新人が顔を上げる。
「実は...NUCの運営費は、全部咲姫のポケットマネーだったのです!新人の時給1,000エトスを払うために、昨日はお気に入りの『銀河特選プリン』を我慢し、今日はついに『予備の小惑星』も全部売り払ったのですー!」
衝撃の事実。アリシアが「さらっと」補足する。
「正確には、新人の実力(時給10エトス)と支払額の差額分を、咲姫様が『ヒーローは夢を持たなきゃダメなのです』という理由で補填し続けていました。...さらっと」
「そんな...僕の1,000エトスは、咲姫さんのプリン代だったのか...」
新人の目から涙が溢れる。自分をブラック企業の被害者だと思っていたが、実は世界一甘いパトロンに守られていたのだ。
「ふん、道理で経営がガタガタなわけだ」
怪獣リーダーが鼻を鳴らし、奪い取っていた経営権(端末)を咲姫に放り投げた。
「おい咲姫。俺たちは『面白い戦い』ができればそれでいい。あんたの私財が尽きたなら、これからは俺たちが現場で稼いでやる。...騎士、お前もだ。2,000エトス分、しっかり働けよ」
「ああ。...咲姫様、プリンの仇は俺たちが現場で取ってやる」
騎士が剣を掲げ、新人もボロボロの雑巾を捨てて立ち上がった。
うさちぁんは、空になった生樽を枕にしながら、幸せそうに寝言を漏らす。「むにゃむにゃ...咲姫ちゃん、次は私の『秘密の貯金』を貸してあげようかぁ...?利息は酒瓶3本でいいよぉ...」
こうして、理不尽な格差とマッチポンプに満ちた「広の章」は、全員が「咲姫の赤字」という真実を知ることで、奇妙な一体感と共に幕を閉じた。
【完】
咲姫:
私財を使い果たしたが、ヒーローと怪獣の間に「絆」が生まれたのを見て、「これで明日からも面白いシーンが見れるのです!」と立ち直る。
うさちぁん:
咲姫の破産を肴に最後の一杯を楽しみつつ、次の章の「利息ビジネス」を画策。
サヤ:
「ささっと」ギルドの看板を『NUC(再建中)』に書き換え。
アリシア:
「さらっと」咲姫の負債を「銀河振興債権」として他国に売りつける準備を開始。
わんわん:
「さくっと」咲姫のために、遺跡の地下に「隠し金庫(空っぽ)」を新設。
果林:
「くいっと」泣き止んだ咲姫に、「あんた、本当におバカね」と笑いながら安い酒を分けてあげる。
猫二:
常務取締役の肩書きを維持しつつ、「これからは健全経営だニャ!」と怪獣たちに号令。