ep.295 星を渡る「しれっと」鉄道。アリシアの運行ダイヤ
咲姫のわがままと、うさちぁんの酒気が具現化した三つの極端な惑星――巨大森の『メガロ・フォレスト』、氷の『スノー・スフィア』そして琥珀色の海が広がる『ウイスキー・オーシャン』 別荘宇宙の庭先に浮かぶそれらを眺め、咲姫はテラス(という名の浮遊岩島)で優雅に茶を啜っていた。
「テラちゃん、いい眺めなのです! でも、あっちの星で雪合戦をしてから、こっちの星でウイスキー味の魚を食べるのに、いちいち宇宙船に乗るのは面倒なのです!」 「...。咲姫様、普通の人は宇宙船を使うのが最短ルートなのですわ。というか、そんな短時間で惑星間をハシゴしようと考えないでください」
テラの正論を、アリシアが「あらあら」と柔らかな微笑みで受け流した。 「テラ様、咲姫様の『すぐ遊びたい』は最優先事項ですよ。そこで...しれっと、惑星間を直結する交通網を整備しておきました」
アリシアがバインダーのページをめくると、虚空から「チンッ」という軽快なベルの音が響いた。 三つの惑星を縫うように、空間そのものをレールに変えた透明な線路が走り、そこをアンティーク調の豪華な列車が滑るように現れた。
【生産品:銀河しれっと特急(ギャラクシー・シレット)】
・仕様:うさちぁんが「距離の概念」をシェイクして引き延ばし、アリシアが「定刻」を事務的に固定した超特急。
・特徴:乗客が「次の星に着きたいな」と思った瞬間、線路の長さが概念的にゼロになり、一瞬で到着する。
・食堂車:サヤが常駐。どの惑星の素材を持ち込んでも、その場で「至高の駅弁」に調理してくれる。
「すごーい! まるでお星様の電車なのです!」 「でしょぉ? レールの中には、私の予備のウイスキーも流しておいたから、燃料切れの心配もないよぉ!」 「線路に可燃物を流さないでください!!」
テラの絶叫をBGMに、咲姫たちはさっそく一番列車に乗り込んだ。 目指すは、巨大な木々が雲を突き抜ける『メガロ・フォレスト』
列車が惑星の重力圏に突入した瞬間、車窓を埋め尽くしたのは、咲姫の身長(145cm)の10倍、いや100倍はある巨大な葉の緑だった。 「見てください、咲姫様。あの木の枝一つが、ちょうど別荘のテラスに最適な広さですね。あそこに『展望カフェ』を建設する手配、済ませておきました、ですね」
アリシアの「できる秘書」っぷりに、サヤも負けじとトランクを開く。 「では私は、あの巨大な葉から滴る『巨神の朝露』を回収して、明日のティータイムの準備をいたしますわ」
別荘宇宙の開発は、もはや誰にも止められない「拓(たく)」の領域へと突入していた。
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【拓の章:進捗状況 3/8】
・咲姫:しれっと特急の車窓から、自分の創った宇宙を眺めてご満悦。
・うさちぁん:列車の燃料(酒)をこっそり自分で飲もうとして、サヤに止められる。
・アリシア:惑星間の運行ダイヤと、巨木の上への建築確認申請(自分宛)を完了。
・サヤ:巨大惑星の素材を使った「特製駅弁」の開発に着手。
・テラ:列車の速度計算が「願望」に依存していることに気づき、物理学の教科書を閉じる。
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