ep.296 巨木の展望カフェと、小さすぎる先住者
銀河しれっと特急を降りた一行の前に広がっていたのは、見上げることも困難な巨木の壁――惑星『メガロ・フォレスト』だった。 木の一本一本がエトスフェリアの超高層ビルを遥かに凌ぎ、巨大な葉が空を覆って、地上には心地よい木漏れ日が「滝」のように降り注いでいる。
「わぁ! 葉っぱ一枚がテニスコートくらいあるのです! サヤ、あそこの一番高くて眺めがいい枝に、お茶会用のテーブルを置くのです!」 「かしこまりました。...ささっと」
サヤが指を鳴らすと、しれっと空間が反転。地上から数百メートル上空の太い枝に、真っ白なテーブルセットとパラソルが、熟練の早業で出現した。 だが、いざテラスで優雅にお茶を点てようとした咲姫は、巨木特有の「ある問題」に直面する。
「...咲姫様。これ、眺めはいいですけれど、あまりにも木が大きすぎて、地上の景色が何も見えませんわ。見えるのは、隣の木の巨大な皮だけですわよ」 テラの指摘通り、スケールが大きすぎて距離感が狂い、ただ「緑の壁」に囲まれているようにしか見えないのだ。
「あらあら、それは大変ですね。...では、視点を変えてみましょうか。...さらっと」 アリシアがバインダーから取り出したのは、事務用の虫眼鏡をさらっと改造した、【生産品:概念縮小の眼鏡】
これを通すと、巨大な木々がしれっと箱庭サイズに縮小して見え、逆に自分たちの存在がこの星の「精霊」のように馴染んで感じられるようになる。 「すごーい! お星様が全部お庭に見えるのです!」
喜ぶ咲姫だったが、眼鏡をかけた彼女の視界に、ピョコピョコと動く「何か」が映った。 巨大な葉の裏。そこには、体長わずか数ミリの、透き通った羽を持つ小さな住人たちがいた。
「あっ! 先住者さんを発見したのです! ...でも、私たちが歩くとこの人たちには大地震になっちゃうのです!」 「おっとぉ、それは困ったねぇ。じゃあ、うさちぁん特製の『重さゼロ・カクテル』を振りまこうかぁ!」
うさちぁんがシェーカーを振り、周囲の重力を「親切モード」に撹拌する。 こうして、咲姫たちは巨木の上をタンポポの綿毛より軽く歩きながら、小さな住人たちを驚かせずに別荘開発を続けることになった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【拓の章:進捗状況 4/8】
・咲姫:眼鏡を使い、巨大な森を自分サイズに調整。
・サヤ:「ささっと」カフェを設営し、巨神の蜜パンケーキを供する。
・アリシア:「さらっと」眼鏡を供出し、先住者との共生プランを立案。
・うさちぁん:重力を混ぜて「ふわふわ散歩」を楽しむ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━