ep.280 女将のスパルタ指導!インフラ根本治療への道
「あら、テラ様。その溶接、0.01ミリほど歪んでいらっしゃいますわよ?
そんなことでは、お客様(住人)に安心な水をお届けできませんわ」
波留の凛とした声が、十六夜館の特設作業場に響き渡る。
昨夜の酔いも完全に醒めたテラは、見たこともないほど必死な形相で
アンペリアの基幹パーツを組み直していた。
「は、はいっ! 修正しますわ! すぐに再計算を...!」
「あらあら、再計算する前に『手』を動かしてくださいな。
現場の空気を感じ取れないデータに、魂は宿りませんわよ」
波留は笑顔を絶やさないが、その背後には逃げ場を許さない圧倒的な
「プロの圧力」がある。管理の鬼であるテラさえも、波留の前では
新米の仲居さんのように縮こまっていた。
一方、咲姫は昨夜の「茶器団子」の応用編に挑戦していた。
「波留お姉様、できたのです! 茶器で練り上げた『高密度・魔力パテ』なのです!
これで配管の隙間を埋めれば、もう猫二ちゃんにもハッキングされないのです!」
「まあ、素敵ですわ咲姫様。茶器をそんな風に使うなんて、
自由な発想こそが最高の『おもてなし』に繋がりますわね」
咲姫の自由奔放さだけは、波留も手放しで褒めていた。
しかし、一番悲惨なのはリオとうさちぁんだった。
二人は波留から「インフラの基礎は足腰から」という理由で、
旅館の広大な廊下を雑巾がけするように命じられ、その摩擦熱で
配管を研磨するという、極めてアナログかつ過酷な作業に従事していた。
「波留ちゃん...これ、もうお酒が抜けるどころか、魂が抜けるよぉ...」
「リオ様も頑張って。ほら、そこ、猫二様の足跡が残っていますわよ。
嫌な思い出は、すべて磨いて消してしまいましょうね」
「...。...。波留さん、丁寧なのに言葉のナイフが鋭すぎる...!」
波留の指導は、猫二の騒動で露呈した「システムの隙」だけでなく、
一行の「心の油断」も完璧に補完していった。
彼女の提案する改修案は、テラの論理、咲姫の直感、そして波留の
「現場主義」が見事に融合し、次第にエトスフェリアのインフラを
かつてないほど強固なものへと作り変えていく。
夕暮れ時。磨き上げられた配管から、澄み渡るような心地よい
音色が響き始めた。それは、アンペリアの精霊たちが「居心地が良い」
と喜んでいる歌声だった。
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【空の章:進捗状況 4/6】
・波留:テラを教育し、リオを叩き上げ、咲姫を称賛する。完璧な采配。
・テラ:波留を「生涯の師」と仰ぎたい一方で、その厳しさに胃を痛める。
・インフラ:猫二のハッキング跡が消滅し、魔法と物理の二重装甲が完成。
・うさちぁん:雑巾がけのしすぎで、二の腕が少し引き締まった。
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