ep.221 月夜の晩酌、黄金のたまご
「ふにゃ~......お湯は最高なのです。でも、何か、決定的な『アレ』が足りないのです!」 お風呂を満喫していた咲姫が、突然バシャーン!と湯船から立ち上がりました。 「温泉といえば、お風呂上がりを待てない食いしん坊の味方――温泉たまごがないのは、エトスフェリアの法に触れるのです!」
【エトスフェリア・三色温泉】
咲姫はすぐさまガラムを呼びつけ、お湯の流路を三つに分割させました。
右ルート:殿方用の「男湯」
左ルート:姫君用の「女湯」
中央ルート:そして、絶妙な温度を保つ「たまご湯」
「至福なのです......。お湯に浸かりながら、自分もたまごも美味しくなるなんて、効率的なのです!」 咲姫がたまご湯の様子をニコニコと眺めていると、湯気の向こうから不思議な光が差し込みました。
「咲姫ちぁん~♪ うさちぁんはお酒欲しい~!」
なんと、空から降ってきたのは、白くてふわふわした不思議な存在――「うさちぁん」ご本人(?)でした! 「うさちぁん!? 降臨したのです! でも、お酒はまだ仕込んでないのです。醸造には時間がかかるってミナが......」
「そんなの待てない~! うさちぁんパワー!!」
うさちぁんがパシッと指を鳴らすと、ハクの畑で採れた『うさちぁんポテト』が宙に舞い、ガラムの石窯の熱と、滝の清らかな水と、うさちぁんの不思議な魔力が混ざり合いました。 本来なら数ヶ月かかる蒸留の工程が、一瞬の光の中に凝縮され......。
トクトクトク......と、テトが急遽作った陶器のボトルに、透明で芳醇な香りを放つ「エトス・芋焼酎」が満たされたのです!
「うひょ~! これこれ! 温泉で飲む一杯は最高なんだよ~♪」 うさちぁんはそのまま女湯の縁に座り込み、キュッと一杯。 「うさちぁん、お行儀が悪いのです......。でも、お酒があるなら、こっちも完成なのです!」
咲姫はたまご湯から、絶妙な半熟加減になった温泉たまごを引き上げました。 お出汁のような香りを放つ「醸し出すネギ」を散らし、ガラム特製の岩塩をパラリ。
「......んん~! トロトロなのです! 幸せが口の中で溶けるのです~!」
お酒を煽って上機嫌なうさちぁんと、温泉たまごを頬張って至福の表情を浮かべる咲姫。 月明かりの下、エトスフェリアの夜は、神様も人間も一緒くたになった「宴」へと変わっていくのでした。