ep.347 監督の狂気、あるいは玉葱の血闘
「甘い! 甘すぎるのです! 愛とは、もっと血の味がして、鼻の奥がツーンとするものなのですー!!」 咲姫はもはや水中ゴーグルすら投げ捨て、充血しきった真っ赤な瞳(ルビー・アイ)で叫んだ。彼女の周囲には、ボツになった大量の玉葱の皮が雪のように降り積もっている。
「咲姫様...。もう、指の感覚がありません...。アリスちゃんなんて、玉葱を剥きすぎて、計算機を叩く速度で皮を剥いています...」 サヨが涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら訴えるが、咲姫の耳には届かない。
「これでは視聴者は満足しないのです! 必要なのは『極限状態の奪い合い』なのです! ...魔王! 例の『アレ』を投入するのですー!!」
「...いいでしょう」 新人(魔王)が、玉葱の玉座から立ち上がる。その手には、緑色に輝く一本の「真実のネギ(ただの長ネギ)」が握られていた。 「この惑星に一本だけ存在する、涙の出ない聖なる野菜...。これを手に入れた者だけが、騎士さんと共に、この地獄を脱出できる権利を得る...。さあ、家族の絆を呪い合いながら、奪い合うがいい...!」
新人の背後で、ネギの精霊が「ゴゴゴ...」と不吉な笑みを浮かべる。
「ガハハ! ネギの争奪戦や! 現場(戦場)に女も子供も関係ねえ! 奪い取れや!」 怪獣リーダーが太鼓の連打で場を煽り、猫二が「負けた奴は玉葱の皮で全身タイツを作る刑だニャ!」と、最悪の罰ゲームを宣告する。
「...騎士さんとの、二人きりの脱出。...アリスちゃん、ごめんなさい。...仕事よりも、愛が重いこともあるんです」 「...サヨちゃん、それはこちらのセリフです。騎士さんの人生に、余計な『愛の共有』という負債は必要ありません。...私が、独占します」
二人の瞳からハイライトが消え、玉葱の汁で濡れた手足が、魔王の持つネギ一点へと集中する。
「あはは、いい目だねぇ~。これこそ『死闘の味』だよぉ。...さあ、賭けの時間だねぇ。どっちの女の子が勝つか、定価の25倍のチップで予想しようかぁ~」 うさちぁんが、地獄のブックメーカーを開店。騎士の首筋に冷たい酒瓶を押し当てながら、狂った宴の始まりを告げた。
「これなのです! このドロドロの愛憎劇! これこそが全銀河が求めた、最高に尊い地獄なのですー!!」 咲姫はカメラを抱えたまま、悦悦とした表情で泡を吹いて卒倒した。
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【結の章:進捗状況 3/8】
咲姫(主人公):狂気全開。監督としての最高傑作を撮るために、騎士家族を物理的に崩壊させる「ネギ争奪戦」を勃発させる。
新人(魔王):完全に役に憑依。16エトスの時給の重み(?)を背景に、冷酷なゲームマスターとして君臨。
サヨ & アリス:咲姫の演出フィルタに汚染され、ついに「騎士の独占」を懸けてガチの殴り合い(玉葱を投げ合う)を開始。
騎士:もはや自分の意志は1エトスの価値もないと悟り、虚空を見つめながら「玉葱の歌」を口ずさみ始める。
うさちぁん:乱闘を肴に、騎士の将来(退職金)を賭けの対象にして大盛り上がり。
怪獣リーダー:乱闘の審判を務めながら、自分もどさくさに紛れて玉葱を騎士に投げつける。
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物語は「家族の絆」が「ネギ一本」で崩壊する修羅場へ!