ep.278 女将の全肯定!酔いどれ改修案、まさかの実効化
『十六夜館』の宴は、夜が深まるにつれて「真面目な会議」の皮を脱ぎ捨て、
純度100%の「夢物語」へと変貌していた。
「テラちゃん、聞くのです! アンペリアの配管は、ただ水を運ぶだけじゃ
つまらないのです。配管自体が意思を持って、住人の寂しさを察知して
『よしよし』って、お掃除しに来るべきなのです!」
「......。咲姫様、素晴らしい着眼点です。寂しさを検知するセンサーと、
触手型......いえ、猫の尻尾型アームの実装。これこそが、猫二が残した
バグを逆手に取った『精神的インフラ』の完成形ですわ!」
テラが真っ赤な顔で、事務ボードに「配管の擬人化および愛撫機能」という
正気とは思えない設計図を高速で書き込んでいく。
「ちょっと二人とも! 配管が動いたら壁が全部壊れるだろ!
リオ、もう限界です! 波留さん、止めてください、この酔っ払いたちを!」
リオが泣きついた先で、波留は優雅に盃を回しながら、ふふっと微笑んだ。
「あらあらリオ様。皆様、これほど熱心にエトスフェリアの未来を
語っていらっしゃるのですもの。止めるなんて無粋なことはできませんわ。
......むしろ、当館の地下にある『試作魔力炉』をお貸ししましょうか?
そこで今すぐ、その『よしよし配管』のプロトタイプを作れますわよ」
「「女将さん、話がわかるのです!!」」
「波留さん!? あなた、そっち側の人だったの!?」
リオの絶叫も虚しく、波留は「仕事が早いのが私の自慢ですもの」と
丁寧な口調で言い放ち、仲居の精霊たちに命じて、宴会場の床をパカッと
開かせた。そこには最新鋭の魔力旋盤と、アンペリアの予備パーツが
ズラリと並んでいた。
「お酒と肴は、作業場までお運びさせますわね。
うさちぁん様、アルコール度数を上げた『燃料用のお酒』も必要かしら?」
「波留ちゃん最高ぉ! これを動力源にすれば、配管も千鳥足で踊るよぉ♪」
テラは白目を剥きながらも、指先だけは精密機械のように動き、
「効率的に、かつ愛らしく動く配管」を次々と錬成していく。
波留はそれを見守りながら、リオのコップにそっと薬草茶を注いだ。
「リオ様、ご安心なさいませ。どんなにハチャメチャなものが出来上がっても、
最後は私が『綺麗に』片付けさせていただきますから。
......それまでは、皆様の『情熱』を出し切っていただきましょう」
その瞳の奥にある、揺るぎない「芯の強さ」と「少しのいたずら心」
リオは確信した。この女将、優しくて有能だが、一番の「お祭り好き」だ。
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【空の章:進捗状況 2/6】
・波留:改修会議(宴会)を全面バックアップ。実は技術面でも超一流と判明。
・テラ:酔拳ならぬ「酔いどれ錬金術」で、謎のクリーチャー配管を量産中。
・リオ:介抱役から、いつの間にか「魔力炉の火の番」に降格させられた。
・現在の成果物:触るとゴロゴロ鳴る、自律走行型アンペリア配管(試作1号)
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