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ep113 潜入準備

パーキングに停めた車の中で蒼達は作戦会議をすることになった。

「天音さん、面倒だから怪我とかなんかあっても自己責任な? 俺は関係ないでいいよね?」
「あー、そこは自分の意思だから問題ねぇ。オヤジ達にも何も言わせねぇよ」
「よし! なら問題なし!」

 蒼はまず1番気になっていた点を天音に確認する。そして、懸念材料がなくなったことがわかり、蒼の頭にはどうやって天音を利用するかに天秤が傾いた。

「すーさん、今から忍び込む場所って知ってる?」
「......はい。そもそも、私があの場所を隠れ家にと仕入れましたので......吹雪の手を借りて」
「マジか。"サーカス"の創設に実は関わってたりすんの」

 昴の情報に蒼はお腹を抱えて笑った。早い段階で唯華が"サーカス"に感ではいるとは思っていたが予想以上に早かった。流石だとしか言いようがない。

「吹雪か。俺、あったことねぇーんだよな。噂は聞くけど」
「あー、天音さんとか絶対手玉に取られるから、会わない方がいいと思うぜ?」

 運転席から後ろを向いて興味深そうにしている天音に蒼は思ったことをそのまま伝える。

「ああ? んだとぉ、蒼」
「いや、凄んでも怖くないからな。それに事実だし」

 明らかな威嚇を蒼はいなす。どれだけ考えても、唯華に手玉に取られている様子しか浮かばない。

「......あの、天童さん。吹雪の性格は蒼さんをさらに悪化の方向に進化した方です」
「は? 蒼よりもやべぇのか。そりゃ、会いたくないわ」
「それ、どう言う意味だよ!」

 聞き捨てならない言葉に蒼は天音に吠える。しかし、話が横道に逸れてることに気付き、言及は控えた。

「っと、違う違う。俺らが話し合うのは侵入についてだった! とりあえず、建物の昔の見取り図は入手してるんだけどさ」

 蒼は昨日のうちにハッキングで仕入れた見取り図をコピーしたものをポッケから取り出すと、広げて2人に見せた。

「とりあえず、本来はこの建物の横にある窓から侵入しようと思ってたんだけどさ。天音さんがいるなら、正面突破でいっか!」
「まあ、そうだなぁ。道案内も見取り図じゃなくて、昴クンにしてもらえばいいだろうしよぉ」
「......えっと、こんなことを聞いていいのかはわからないのですが、天童さんの能力は?」

 控えめな昴の質問にニタァと天音は笑う。

「俺はステルス系だ。触れている物は人だろうがなんだろうが一緒に消せる。音や匂いもな」
「ようは、やっくんの上位互換!」
「なるほど。確かに、潜入にはもってこいですね」
「だろぉ?」

 天音が胸を張るのを見ながら、蒼はもう一度見取り図を見て、頭の中に叩き込んだ。そしてまた折りたたみポケットに仕舞う。
 
「じゃ、行くか」

 いつまでも車内で時間を潰すのは勿体無い。目的の建物までは少し距離がある。蒼は後部座席の扉を開けると、車から飛び降りた。
 トンっと地面に着地すると、そのままクルリと180度回転して車内の2人を見る。
 2人は顔を見合わせると、それぞれ車を降りて蒼に合流する。

「で、どうする? もう姿消すか? それとも建物の近くに行ったらにするか?」
「できれば、気付かれたくないからここらか姿は消した方がいいとは思うけど、天音さん問題ない感じか?」
「はっ、別に能力使って疲れるとかねぇーから。昴クンもそうだよな?」
「そうですね。私の場合は長時間使うってことがないので、また別かもしれませんが」
「へぇー、昴クンの能力って何?」

 天音の疑問に昴が固まる。蒼はその様子をチラリと盗み見る。そういえば、昴の能力については知らなかったなとふと気付いた。
 知らなくても興味はそんなにないが、便乗して聞くかと考え込んでいる昴を無言で見守る。
 少し躊躇う様子を見せながら、昴は決意したように天音を見た。

「私だけ聞いて、言わないのはフェアじゃありませんもんね。私の能力は物の記憶を読むことと自分の記憶を相手に見せることです」
「あっ、それでひーさんに景色見せてたのか! 納得!」

 昴が来てから、姫が色々なものを知ったと言っていた意味がわかり、スッキリした。

「へぇ、便利そうだな、それ」
「本当にな! これ侵入して過激派の奴らがいた場所の記憶読めばノアズ計画の全貌がわかるかもしれないってことだな! めっちゃ便利!」
「待ってください、蒼さんはそのつもりで私を連れて来たわけじゃないんですか?」
「えっ? いや、俺今まですーさんの能力知らなかったよ?」

 驚く昴に蒼は首を傾げた。それを見て天音が爆笑する。

「昴クン、蒼は人懐っこいけど、人に興味ないからこれが通常運転だぜ?」
「人に興味ないとか言い方!」
「事実だろ?」

 天音の軽口を叩きながら、昴を盗み見るとなんとも言えない表情をしている。そんなに意外かと思いながらも、蒼はこの件については触れるのをやめた。
 
「とりあえず、侵入作戦開始だな! 一切作戦立ててないけど」

 蒼は笑いながら天音の手を掴む。それだけで天音は察したようで蒼の手を握り直して、ズカズカと昴に近づくと、腕を掴んだ。

「――っ」
「今から能力使うから、お前らは俺から離れるなよ?」

 驚く昴を無視して天音は能力を発動されたようだ。能力を発動といっても、蒼には本当に発動しているのかわからない。
 それぐらい変わり映えがなかった。天音の能力は見たことがあるが、一緒に能力を発動してもらったことはない。

「本当にこれで姿消えてるの?」
「ああ、実感はないだろうがな。もう少し先にカーブミラーがある。そこで確認しろ」
「了解! すーさんは大丈夫?」
「はい、問題ありません」

 昴の様子も確認し、3人は目的地へと向かって歩き出した。
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ぱんどら ―治外法権の島で巻き起こる異能サスペンスと秘された謎―作者:星川宙
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パーキングに停めた車の中で蒼達は作戦会議をすることになった。

「天音さん、面倒だから怪我とかなんかあっても自己責任な? 俺は関係ないでいいよね?」
「あー、そこは自分の意思だから問題ねぇ。オヤジ達にも何も言わせねぇよ」
「よし! なら問題なし!」

 蒼はまず1番気になっていた点を天音に確認する。そして、懸念材料がなくなったことがわかり、蒼の頭にはどうやって天音を利用するかに天秤が傾いた。

「すーさん、今から忍び込む場所って知ってる?」
「......はい。そもそも、私があの場所を隠れ家にと仕入れましたので......吹雪の手を借りて」
「マジか。"サーカス"の創設に実は関わってたりすんの」

 昴の情報に蒼はお腹を抱えて笑った。早い段階で唯華が"サーカス"に感ではいるとは思っていたが予想以上に早かった。流石だとしか言いようがない。

「吹雪か。俺、あったことねぇーんだよな。噂は聞くけど」
「あー、天音さんとか絶対手玉に取られるから、会わない方がいいと思うぜ?」

 運転席から後ろを向いて興味深そうにしている天音に蒼は思ったことをそのまま伝える。

「ああ? んだとぉ、蒼」
「いや、凄んでも怖くないからな。それに事実だし」

 明らかな威嚇を蒼はいなす。どれだけ考えても、唯華に手玉に取られている様子しか浮かばない。

「......あの、天童さん。吹雪の性格は蒼さんをさらに悪化の方向に進化した方です」
「は? 蒼よりもやべぇのか。そりゃ、会いたくないわ」
「それ、どう言う意味だよ!」

 聞き捨てならない言葉に蒼は天音に吠える。しかし、話が横道に逸れてることに気付き、言及は控えた。

「っと、違う違う。俺らが話し合うのは侵入についてだった! とりあえず、建物の昔の見取り図は入手してるんだけどさ」

 蒼は昨日のうちにハッキングで仕入れた見取り図をコピーしたものをポッケから取り出すと、広げて2人に見せた。

「とりあえず、本来はこの建物の横にある窓から侵入しようと思ってたんだけどさ。天音さんがいるなら、正面突破でいっか!」
「まあ、そうだなぁ。道案内も見取り図じゃなくて、昴クンにしてもらえばいいだろうしよぉ」
「......えっと、こんなことを聞いていいのかはわからないのですが、天童さんの能力は?」

 控えめな昴の質問にニタァと天音は笑う。

「俺はステルス系だ。触れている物は人だろうがなんだろうが一緒に消せる。音や匂いもな」
「ようは、やっくんの上位互換!」
「なるほど。確かに、潜入にはもってこいですね」
「だろぉ?」

 天音が胸を張るのを見ながら、蒼はもう一度見取り図を見て、頭の中に叩き込んだ。そしてまた折りたたみポケットに仕舞う。
 
「じゃ、行くか」

 いつまでも車内で時間を潰すのは勿体無い。目的の建物までは少し距離がある。蒼は後部座席の扉を開けると、車から飛び降りた。
 トンっと地面に着地すると、そのままクルリと180度回転して車内の2人を見る。
 2人は顔を見合わせると、それぞれ車を降りて蒼に合流する。

「で、どうする? もう姿消すか? それとも建物の近くに行ったらにするか?」
「できれば、気付かれたくないからここらか姿は消した方がいいとは思うけど、天音さん問題ない感じか?」
「はっ、別に能力使って疲れるとかねぇーから。昴クンもそうだよな?」
「そうですね。私の場合は長時間使うってことがないので、また別かもしれませんが」
「へぇー、昴クンの能力って何?」

 天音の疑問に昴が固まる。蒼はその様子をチラリと盗み見る。そういえば、昴の能力については知らなかったなとふと気付いた。
 知らなくても興味はそんなにないが、便乗して聞くかと考え込んでいる昴を無言で見守る。
 少し躊躇う様子を見せながら、昴は決意したように天音を見た。

「私だけ聞いて、言わないのはフェアじゃありませんもんね。私の能力は物の記憶を読むことと自分の記憶を相手に見せることです」
「あっ、それでひーさんに景色見せてたのか! 納得!」

 昴が来てから、姫が色々なものを知ったと言っていた意味がわかり、スッキリした。

「へぇ、便利そうだな、それ」
「本当にな! これ侵入して過激派の奴らがいた場所の記憶読めばノアズ計画の全貌がわかるかもしれないってことだな! めっちゃ便利!」
「待ってください、蒼さんはそのつもりで私を連れて来たわけじゃないんですか?」
「えっ? いや、俺今まですーさんの能力知らなかったよ?」

 驚く昴に蒼は首を傾げた。それを見て天音が爆笑する。

「昴クン、蒼は人懐っこいけど、人に興味ないからこれが通常運転だぜ?」
「人に興味ないとか言い方!」
「事実だろ?」

 天音の軽口を叩きながら、昴を盗み見るとなんとも言えない表情をしている。そんなに意外かと思いながらも、蒼はこの件については触れるのをやめた。
 
「とりあえず、侵入作戦開始だな! 一切作戦立ててないけど」

 蒼は笑いながら天音の手を掴む。それだけで天音は察したようで蒼の手を握り直して、ズカズカと昴に近づくと、腕を掴んだ。

「――っ」
「今から能力使うから、お前らは俺から離れるなよ?」

 驚く昴を無視して天音は能力を発動されたようだ。能力を発動といっても、蒼には本当に発動しているのかわからない。
 それぐらい変わり映えがなかった。天音の能力は見たことがあるが、一緒に能力を発動してもらったことはない。

「本当にこれで姿消えてるの?」
「ああ、実感はないだろうがな。もう少し先にカーブミラーがある。そこで確認しろ」
「了解! すーさんは大丈夫?」
「はい、問題ありません」

 昴の様子も確認し、3人は目的地へと向かって歩き出した。
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