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ep121 船の進捗状況は?

 蓮はまた椅子を回してパソコンの前に体を向けると、迷わずにマウスを掴んで、一つの映像を画面に映し出した。
 それは、森の近くにあるログハウスだった。

「あっ、これは外の映像やった」

 蓮が慌てて、隣のカメラ映像に切り替える。
 それは先程映っていたログハウス内のようだ。室内には2人の女性がいた。
 1人は、チャコールブラウンの髪を後ろで適当に結んでいる女――坂下綾乃。もう一人は短髪をラベンダーシルバーに染めている女性――白鷺立華だ。

 先程の映像で船を作成するのと見学すると話していた人だと蒼はすぐに気付いた。そこそこ広い室内に船首、中央、船尾の3つに分けて制作しているようだ。そして目算して2/3程完成しているようにみえる。流石に室内で元の大きさでは作れないよなと蒼は笑う。
 
「なぁ、REN」

 蒼は一つ気になって、蓮に話しかける。蓮は視線だけで話の続きを促す。
 それで察した蒼は、疑問をそのまま口にする。

「これってリアタイの映像?」
「そうだけど、なんかあったん?」
「......いや、室内に見覚えのある三毛猫が」
「三毛猫? 別にいても不思議じゃなくね?」
「いや、普通はそうなのは分かるけど、この猫基本ゆいの近くをうろついてるんだよなぁ」

 蒼は、うーんと考えるように顎に手を当てた。でも、唯華がここに来るわけないし、あの三毛猫の首輪に隠しカメラ仕掛けてるのも知ってるしと思い出して「あっ」と声を上げる。
 突然の声に3人は驚いたように蒼を見た。蒼は笑ってごまかす。

 流石にこの情報を"サーカス"や神庭会にバラしたら、唯華に怒られる。というか怒られるだけですめばいいレベルだ。依存先の一つがなくなるのは蒼にとっては死活問題だ。
 だから、蒼は話をそらすことにした。

「それより、室内に猫入れていいのか?」
「あー、うん。白鷺さんは自由人だから」

 答えにならない答えを視線をそらしながら蓮は言う。

「なんというか、読めんのよな、あの人」
「......個性的な方ですよね」
「というように、リーダーでさえ上手くフォロー出来ない性格なんよ」
「個性的は俺もよくすーさんに言われるけど!」
「うん、それは納得しかないんよ」

 蓮に蒼は手を上げて伝えると、蓮は納得しか出来ないという顔で頷いた。腑に落ちないが話がそれたことに蒼はホッとする。

「で、これが現在進行形の映像なら、船の完成はそう遠くないってことだよな」

 無言で映像を見ていた天音が話を戻す。視線はモニターから外さずに2人の容姿や行動を見逃さないようにしている。きっと神庭会に戻ったら独自の情報網でカメラから顔を漁って共有するのだろう。"サーカス"の危険分子として。
 神庭会は能力者のための組織ではあるが、数多の能力者にとって敵だと認識されれば、能力者だろうと関係ない。極道が、牙をむくのだ。

 綾乃は少し前までは普通の人として生きていたのは映像で確認できている。"サーカス"のメンバーになったとはいえ生活圏はここではないだろう。
 綾乃が通いで船の制作をしているならすぐに神庭会に捕まってこの計画はご破算になる可能性が高い。

 しかし、唯華が猫を使ってまで監視しているということは家に帰らずに住み込みで制作している可能性も否定できない。能力を使うほどでもない、しかし監視カメラだと死角になる。そんな場所に猫は現れるのだ。
 自分達が来てることは、バレてはいないはず。唯華が以前、仕事以外で関わりたくない奴には絶対に能力を使用して情報を仕入れない、それをやると高確率でそいつが関わってくる。そう蒼を嫌そうに見ながらいっていたのでそこは断言していい。

「で、どうするん? 俺はもう少し泳がせてもいいと思うんやけどさ」

 蓮がモニターから昴へと視線を移した。昴は少し考えるそぶりを見せながら、モニターから視線はそらさない。

「出来れば早めに止めたいです。でも、今の戦力だと......」
「やろうと思えば、やれるな」
「確かに! 俺と天音さんで余裕だな。まっ、過激派だっけ? を取り逃がしたら面倒だからまとめて計画決行時に叩くのが一番いいと思う」
「そうだなぁ、場合によっては、うちの奴らも出せるぜ?」

 蒼と天音は計画を潰す作戦を立案し始める。

「待ってください、そこまでさせるわけには。それに、天童さんは下っ端なんですよね? そんなことをこの場のノリで決めていいんですか?」

 蒼と天音は顔を見合わせると笑う。

「おー問題ないぜ、昴クン? それに俺は下っ端で間違いない。なぁ、蒼」
「そうそう! 天音さんは下っ端!」

 明らかに神庭会という自分が所属する組織を顎で使おうとしていることに昴も違和感を覚えたようだ。
 実際の天音は下っ端ではなく、幹部クラスだ。しかし、蒼とは初対面の時から下っ端と名乗っている。理由も知っているからこそ、蒼は天音のごまかしに乗った。
 それに役割がどうであれ、天音は天音以外の何者でもない。

「そうですか」
 
 昴は納得がいかない様子で小さくつぶやく。

「今日はやめましょう。もう少し情報も仕入れた方がいいと思います。蓮君、あとで私の今の連絡先を教えますので何か分かったら教えてください。本日は、ノアズ計画の全貌が分かっただけでよしとしましょう」
「それに、協力者のRENが出来たしな!」
「えっ、待って。俺協力者なん?」

 蒼が元気に成果を口にすると蓮は不服そうに肩を落とした。
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ぱんどら ―治外法権の島で巻き起こる異能サスペンスと秘された謎―作者:星川宙
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ep121 船の進捗状況は?

 蓮はまた椅子を回してパソコンの前に体を向けると、迷わずにマウスを掴んで、一つの映像を画面に映し出した。
 それは、森の近くにあるログハウスだった。

「あっ、これは外の映像やった」

 蓮が慌てて、隣のカメラ映像に切り替える。
 それは先程映っていたログハウス内のようだ。室内には2人の女性がいた。
 1人は、チャコールブラウンの髪を後ろで適当に結んでいる女――坂下綾乃。もう一人は短髪をラベンダーシルバーに染めている女性――白鷺立華だ。

 先程の映像で船を作成するのと見学すると話していた人だと蒼はすぐに気付いた。そこそこ広い室内に船首、中央、船尾の3つに分けて制作しているようだ。そして目算して2/3程完成しているようにみえる。流石に室内で元の大きさでは作れないよなと蒼は笑う。
 
「なぁ、REN」

 蒼は一つ気になって、蓮に話しかける。蓮は視線だけで話の続きを促す。
 それで察した蒼は、疑問をそのまま口にする。

「これってリアタイの映像?」
「そうだけど、なんかあったん?」
「......いや、室内に見覚えのある三毛猫が」
「三毛猫? 別にいても不思議じゃなくね?」
「いや、普通はそうなのは分かるけど、この猫基本ゆいの近くをうろついてるんだよなぁ」

 蒼は、うーんと考えるように顎に手を当てた。でも、唯華がここに来るわけないし、あの三毛猫の首輪に隠しカメラ仕掛けてるのも知ってるしと思い出して「あっ」と声を上げる。
 突然の声に3人は驚いたように蒼を見た。蒼は笑ってごまかす。

 流石にこの情報を"サーカス"や神庭会にバラしたら、唯華に怒られる。というか怒られるだけですめばいいレベルだ。依存先の一つがなくなるのは蒼にとっては死活問題だ。
 だから、蒼は話をそらすことにした。

「それより、室内に猫入れていいのか?」
「あー、うん。白鷺さんは自由人だから」

 答えにならない答えを視線をそらしながら蓮は言う。

「なんというか、読めんのよな、あの人」
「......個性的な方ですよね」
「というように、リーダーでさえ上手くフォロー出来ない性格なんよ」
「個性的は俺もよくすーさんに言われるけど!」
「うん、それは納得しかないんよ」

 蓮に蒼は手を上げて伝えると、蓮は納得しか出来ないという顔で頷いた。腑に落ちないが話がそれたことに蒼はホッとする。

「で、これが現在進行形の映像なら、船の完成はそう遠くないってことだよな」

 無言で映像を見ていた天音が話を戻す。視線はモニターから外さずに2人の容姿や行動を見逃さないようにしている。きっと神庭会に戻ったら独自の情報網でカメラから顔を漁って共有するのだろう。"サーカス"の危険分子として。
 神庭会は能力者のための組織ではあるが、数多の能力者にとって敵だと認識されれば、能力者だろうと関係ない。極道が、牙をむくのだ。

 綾乃は少し前までは普通の人として生きていたのは映像で確認できている。"サーカス"のメンバーになったとはいえ生活圏はここではないだろう。
 綾乃が通いで船の制作をしているならすぐに神庭会に捕まってこの計画はご破算になる可能性が高い。

 しかし、唯華が猫を使ってまで監視しているということは家に帰らずに住み込みで制作している可能性も否定できない。能力を使うほどでもない、しかし監視カメラだと死角になる。そんな場所に猫は現れるのだ。
 自分達が来てることは、バレてはいないはず。唯華が以前、仕事以外で関わりたくない奴には絶対に能力を使用して情報を仕入れない、それをやると高確率でそいつが関わってくる。そう蒼を嫌そうに見ながらいっていたのでそこは断言していい。

「で、どうするん? 俺はもう少し泳がせてもいいと思うんやけどさ」

 蓮がモニターから昴へと視線を移した。昴は少し考えるそぶりを見せながら、モニターから視線はそらさない。

「出来れば早めに止めたいです。でも、今の戦力だと......」
「やろうと思えば、やれるな」
「確かに! 俺と天音さんで余裕だな。まっ、過激派だっけ? を取り逃がしたら面倒だからまとめて計画決行時に叩くのが一番いいと思う」
「そうだなぁ、場合によっては、うちの奴らも出せるぜ?」

 蒼と天音は計画を潰す作戦を立案し始める。

「待ってください、そこまでさせるわけには。それに、天童さんは下っ端なんですよね? そんなことをこの場のノリで決めていいんですか?」

 蒼と天音は顔を見合わせると笑う。

「おー問題ないぜ、昴クン? それに俺は下っ端で間違いない。なぁ、蒼」
「そうそう! 天音さんは下っ端!」

 明らかに神庭会という自分が所属する組織を顎で使おうとしていることに昴も違和感を覚えたようだ。
 実際の天音は下っ端ではなく、幹部クラスだ。しかし、蒼とは初対面の時から下っ端と名乗っている。理由も知っているからこそ、蒼は天音のごまかしに乗った。
 それに役割がどうであれ、天音は天音以外の何者でもない。

「そうですか」
 
 昴は納得がいかない様子で小さくつぶやく。

「今日はやめましょう。もう少し情報も仕入れた方がいいと思います。蓮君、あとで私の今の連絡先を教えますので何か分かったら教えてください。本日は、ノアズ計画の全貌が分かっただけでよしとしましょう」
「それに、協力者のRENが出来たしな!」
「えっ、待って。俺協力者なん?」

 蒼が元気に成果を口にすると蓮は不服そうに肩を落とした。
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次の話ep122 様々な陰謀?
ぱんどら ―治外法権の島で巻き起こる異能サスペンスと秘された謎―作者:星川宙
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