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ep132 神庭会トップ2

 蒼は3人の様子をうかがいながら、蓮から届いたカメラの映像を確認する。
 確かに、"サーカス"のアジトで見た内容と一緒だなと倍速で軽く見てすぐに蒼は映像を停止した。

「で、本当にこのガキは何なんですか?」

 隼斗が怪訝そうに蒼を指差した。その視線を真っ正面からうけて蒼は胸を張る。傍から見ると煽っているようにしか見えないが、蒼は気にしない。

「ただの一般人――っ!!」
「んなわけ、ねぇだろ!」

 蒼の言葉を遮るように、天音が蒼の頭を盛大にはたく。

「いきなり何すんだよ、天音さん!」
「お前が一般人であってたまるかっ。平然とハッキングする、能力者に全力で喧嘩を売りに行く、神庭会ここに平然と入ってこれる! 全て異常だからな?」

 天音は頭を押さえながら、さらに続けた。

「というか、そもそも2年前! まだ、小学生のお前が! 誘拐されそうになっているお嬢を助けてる時点で一般人じゃねーんだよ!」
「......は? 待て、テン! お嬢を助けてお嬢が惚れた奴ってのがこのちんちくりん!?」
「誰が、ちんちくりんだ! 喧嘩なら全力で買うぞ!」

 蒼を指差したまま叫ぶ隼斗に、蒼は指の関節を鳴らしながら好戦的な笑みを浮かべる。
 天音の盛大なため息が室内でこだまする。天音は蒼と隼斗の間に入ると、蒼に背中を向けて隼斗を見た。

「さっきの今で俺が言える筋はねぇが、蒼こいつとまともに取り合おうとするだけ、時間の無駄だ。天才様の思考回路は俺達凡人にはわかんないからな」
「俺は天才じゃねぇ!」
「......そろそろいいか? 漫才見ているみたいで小気味いいが、ちと話を元に戻しても良いか?」

 そんな蒼達のやりとりを上座で微笑ましそうに見守っていた道徳が口を挟んだ。
 蒼以外の2人はその言葉にはっとしたように背筋を伸ばす。

「すんません、オヤジ」

 天音が深く頭を下げる。隼斗もそれに倣うようにして頭を下げた。

「別に怒ってねぇよ。蒼がふざけてるってことは今のところそこまでは深刻じゃねぇてことだろうしよ」
「おっ、流石おやっさん! わかってるね!」

 嬉しそうに蒼は道徳に笑いかけた。禍月組が関わってくる可能性があるのは脅威だが、まだ確定じゃない。それに、仮に関わってくるとしたのなら唯華は情報を漏らさないんじゃないかと普段の性格から推測できた。
 禍月組が深く関わっているのは本島で計画されている能力者誘拐事件な気がする。

 そっちに本腰を入れて準備をしているのならきっと、ノアズ計画にはそこまで関わってこない前提でいいだろう。最悪関わってくるとしても下っ端だろう。それならば、なんとかできる。
 蒼はそこまで考えてから、道徳に笑いかけた。

「とりあえず、禍月組は置いておいて、ノアズ計画の作戦会議の映像見る?」
「それもそうだな、簡単な概要は聞いたが、どんな奴がいるか確認もした方が良い。隼斗、お前も作戦メンバーの中で危険なのがいたら教えろよ?」
「分かったす」

 隼斗が頷いたのを見て、道徳は立ち上がる。

「映像を見るなら、ここよりもモニターのある部屋に移動した方が良いだろう。琉架るかの部屋でも行くか」
「え? なんで琉架さん?」

 突然出てきた、道徳の一人息子でもある神庭琉架かんばるかの名前に蒼が首をかしげる。正直、美苑の父親ぐらいのイメージで誘拐事件解決時に一度会ったぐらいの印象だ。
 蒼の疑問に気付いたのか、天音がすぐに答えをくれた。

「琉架は、少し機械オタクの気質があるから、一番ネット環境がいいんだ」
「へぇ、大人しそうな真面目な好青年ってイメージだったわ」
「まぁ、間違ってないぜ」

 天音はそういうと、居心地が悪そうに身を縮こまらせた隼斗を掴み、座敷の襖へと向かう。道徳は愉快そうに蒼を見る。

「琉架の部屋は2階だ。行くぞ」
「おう......って言いたいけど俺ほんとに行って良いのか? 普通に部外者だぞ」
「問題ない。それに、琉架も俺の後を継ぐのは決まっているが、今の立ち位置は微妙だしな」

 道徳が少しだけ遠い目をしていた。蒼は少し思考を巡らせてすぐにその理由を察した。人が少なくなった座敷を微かに冷気が支配し始めた、そんな感覚がする。

「あー、若頭は天音さんだもんね。能力者だから、そう考えると微妙な関係?」
「いや、琉架と天音は同い年の兄弟みたいなもんだ。天音とはガキの頃に俺が拾ってからだから、その2人の仲には問題ない」

 道徳は言葉を切り、先に座敷を出た天音を優しい瞳で見つめる。

「あいつらの仲は良好でも、他の幹部連中がな。俺の代替わりもそうだった。一部はそのまま能力持ちの若頭がトップになれば良いと思っているからな。だから、次期組長としてあいつの立ち位置は微妙なんだよ」
「さっきの隼斗って人が微妙な顔してたのも?」
「いや、あいつは逆だ。小さい頃から琉架に世話になってて組長になったら支えると決めているからな。次期トップの部屋に入るのは気が引けるって、奴だろうよ」

 道徳は楽しそうに話しながら、襖へと向かう。蒼も後をゆっくりとついていく。
 ノアズ計画にそんな一般人を巻き込んでもいいのかと若干の疑問は覚えたが、神庭会のトップ2がそれを認めているのだから問題ないかと座敷から出ると階段を上り、琉架の部屋がある2階へと道徳に続いて進んだ。
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ぱんどら ―治外法権の島で巻き起こる異能サスペンスと秘された謎―作者:星川宙
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ep132 神庭会トップ2

 蒼は3人の様子をうかがいながら、蓮から届いたカメラの映像を確認する。
 確かに、"サーカス"のアジトで見た内容と一緒だなと倍速で軽く見てすぐに蒼は映像を停止した。

「で、本当にこのガキは何なんですか?」

 隼斗が怪訝そうに蒼を指差した。その視線を真っ正面からうけて蒼は胸を張る。傍から見ると煽っているようにしか見えないが、蒼は気にしない。

「ただの一般人――っ!!」
「んなわけ、ねぇだろ!」

 蒼の言葉を遮るように、天音が蒼の頭を盛大にはたく。

「いきなり何すんだよ、天音さん!」
「お前が一般人であってたまるかっ。平然とハッキングする、能力者に全力で喧嘩を売りに行く、神庭会ここに平然と入ってこれる! 全て異常だからな?」

 天音は頭を押さえながら、さらに続けた。

「というか、そもそも2年前! まだ、小学生のお前が! 誘拐されそうになっているお嬢を助けてる時点で一般人じゃねーんだよ!」
「......は? 待て、テン! お嬢を助けてお嬢が惚れた奴ってのがこのちんちくりん!?」
「誰が、ちんちくりんだ! 喧嘩なら全力で買うぞ!」

 蒼を指差したまま叫ぶ隼斗に、蒼は指の関節を鳴らしながら好戦的な笑みを浮かべる。
 天音の盛大なため息が室内でこだまする。天音は蒼と隼斗の間に入ると、蒼に背中を向けて隼斗を見た。

「さっきの今で俺が言える筋はねぇが、蒼こいつとまともに取り合おうとするだけ、時間の無駄だ。天才様の思考回路は俺達凡人にはわかんないからな」
「俺は天才じゃねぇ!」
「......そろそろいいか? 漫才見ているみたいで小気味いいが、ちと話を元に戻しても良いか?」

 そんな蒼達のやりとりを上座で微笑ましそうに見守っていた道徳が口を挟んだ。
 蒼以外の2人はその言葉にはっとしたように背筋を伸ばす。

「すんません、オヤジ」

 天音が深く頭を下げる。隼斗もそれに倣うようにして頭を下げた。

「別に怒ってねぇよ。蒼がふざけてるってことは今のところそこまでは深刻じゃねぇてことだろうしよ」
「おっ、流石おやっさん! わかってるね!」

 嬉しそうに蒼は道徳に笑いかけた。禍月組が関わってくる可能性があるのは脅威だが、まだ確定じゃない。それに、仮に関わってくるとしたのなら唯華は情報を漏らさないんじゃないかと普段の性格から推測できた。
 禍月組が深く関わっているのは本島で計画されている能力者誘拐事件な気がする。

 そっちに本腰を入れて準備をしているのならきっと、ノアズ計画にはそこまで関わってこない前提でいいだろう。最悪関わってくるとしても下っ端だろう。それならば、なんとかできる。
 蒼はそこまで考えてから、道徳に笑いかけた。

「とりあえず、禍月組は置いておいて、ノアズ計画の作戦会議の映像見る?」
「それもそうだな、簡単な概要は聞いたが、どんな奴がいるか確認もした方が良い。隼斗、お前も作戦メンバーの中で危険なのがいたら教えろよ?」
「分かったす」

 隼斗が頷いたのを見て、道徳は立ち上がる。

「映像を見るなら、ここよりもモニターのある部屋に移動した方が良いだろう。琉架るかの部屋でも行くか」
「え? なんで琉架さん?」

 突然出てきた、道徳の一人息子でもある神庭琉架かんばるかの名前に蒼が首をかしげる。正直、美苑の父親ぐらいのイメージで誘拐事件解決時に一度会ったぐらいの印象だ。
 蒼の疑問に気付いたのか、天音がすぐに答えをくれた。

「琉架は、少し機械オタクの気質があるから、一番ネット環境がいいんだ」
「へぇ、大人しそうな真面目な好青年ってイメージだったわ」
「まぁ、間違ってないぜ」

 天音はそういうと、居心地が悪そうに身を縮こまらせた隼斗を掴み、座敷の襖へと向かう。道徳は愉快そうに蒼を見る。

「琉架の部屋は2階だ。行くぞ」
「おう......って言いたいけど俺ほんとに行って良いのか? 普通に部外者だぞ」
「問題ない。それに、琉架も俺の後を継ぐのは決まっているが、今の立ち位置は微妙だしな」

 道徳が少しだけ遠い目をしていた。蒼は少し思考を巡らせてすぐにその理由を察した。人が少なくなった座敷を微かに冷気が支配し始めた、そんな感覚がする。

「あー、若頭は天音さんだもんね。能力者だから、そう考えると微妙な関係?」
「いや、琉架と天音は同い年の兄弟みたいなもんだ。天音とはガキの頃に俺が拾ってからだから、その2人の仲には問題ない」

 道徳は言葉を切り、先に座敷を出た天音を優しい瞳で見つめる。

「あいつらの仲は良好でも、他の幹部連中がな。俺の代替わりもそうだった。一部はそのまま能力持ちの若頭がトップになれば良いと思っているからな。だから、次期組長としてあいつの立ち位置は微妙なんだよ」
「さっきの隼斗って人が微妙な顔してたのも?」
「いや、あいつは逆だ。小さい頃から琉架に世話になってて組長になったら支えると決めているからな。次期トップの部屋に入るのは気が引けるって、奴だろうよ」

 道徳は楽しそうに話しながら、襖へと向かう。蒼も後をゆっくりとついていく。
 ノアズ計画にそんな一般人を巻き込んでもいいのかと若干の疑問は覚えたが、神庭会のトップ2がそれを認めているのだから問題ないかと座敷から出ると階段を上り、琉架の部屋がある2階へと道徳に続いて進んだ。
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ぱんどら ―治外法権の島で巻き起こる異能サスペンスと秘された謎―作者:星川宙
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