第四十八話 離婚
「バカな!? 俺は一切、手を出してない!」
「フッ......だから私も苦労したぞ」
錯乱する仙と、いつも通りの千佳伊。
修羅場を察した弧見が、間に割って入る。
「すとぉぉっぷ! 落ちつこ~二人とも! まずはチカチカから話きかせて!」
千佳伊を連れ出し、弧見の自室に移動する。
「いつヤったし?」
弧見は毎晩のように聞き耳を立てていた。
〝いつ聞き逃したのか?〟の疑問が最初の問いにつながる。
「先月くらいからは割と頻繁に」
「起きている間には音がしなかったけど!?」
「仙と弧見が眠った後に手を出したからな。ほれ、媚薬と睡眠薬はこれだ」
弧見は思い出す。
その頃から妙に千佳伊が晩ご飯担当をやりたがっていたことを。
「チカチカ! 犯罪!」
「どうしてだ? 夫婦なのだし構わんだろう?」
「夫婦でもこれはいけないことだよ! 創作で言ったら盗作だよ!」
倫理的にアウトなことを説明していく。
だが、千佳伊は納得していない。
「では、真実を仙に打ち明けたらマズいのか?」
「100%不同意で訴えられるね」
「ふむ、どうするか......」
どうにかしろという圧と共に、千佳伊がチラチラと弧見へ視線を送る。
「こういうときこそ創作だよ!」
「どういうことだ?」
「仙にとって都合の悪いストーリーを捏造しようよ!」
そうしてあらすじは作られた。
酔った日に勢いで千佳伊を襲ったことに。
リビングに戻り、仙へと説明を行う。
弧見もその場を目撃したと証言した。
「バ、バカな......」
膝から崩れ落ちる仙。
責任感と猜疑心の狭間で心は揺れる。
「けど、勝手に屋号を変えるのはダメだろ?」
「不同意で無理やりいたす方が問題だ。タイトル変更などよくあること」
仙が言葉に詰まったので、ドヤ顔の千佳伊が創作論を語りだす。
「PV感謝、書籍化。忙しなくタイトル変えられるのは覚えにくくて敵わん」
「チカチカ~、それ嫉妬が入ってない~?」
弧見のちゃちゃ入れに、千佳伊が眼光で殺気を放つ。
「ならば別で例えよう。伸びなかったからと頻繁に変える輩とかだな」
「なにウチのことを刺しにきてんの? 口裏あわせるのやめるよ?」
「口裏? なんのことだ?」
我に返った仙が、高速で弧見の肩を揺らす。
それに構わず話を続ける千佳伊。
「長文タイトルにしておいて、あらすじに略称を添える作品も爆死する!」
「え? ちょっと仙、あとにして。いま、重要なことが聞こえた気が......」
「大丈夫だ。弧見が手遅れな事実は変わらないぞ!」
「え?」
カオスな夜は深まっていく。
翌日。
離婚届を提出し、二人はバツイチになる。
さらに二週間後。
「DNA鑑定結果が出たぞ! さぁ今すぐヨリを戻さないか?」
「いや、俺は一度読むのをやめた作品には手を出さない。嫁はすでに決めた」