第八十四話 極端
──AIがすべて正しい。
AI宗教団体と化した一部の連中が声を大きくする。
NU参加者の自由意志に任せていたら、ついに千佳伊にも飛び火。
「AIが指摘したのだからそれが正解? ふざけるな!」
リビングで荒ぶる千佳伊を仙が宥めようとする。
「けどさ、炎上指数が規定値を超えたから、発禁だってAI裁判所から通達が......」
「仙もAI任せの思考停止か!?」
千佳伊がノートパソコンで仙の頭をモグラ叩きしていく。
「AIが悪い訳ではないが、なんでもAIの言いなりはどうかと思うぞ」
「何度も殴るな! 可哀想だと思わねーのかよ!?」
「たしかに可哀想だな。おーよしよし。私のノーパソちゃんよ」
ノートパソコンを優しく撫でたのち、開いてパワポを表示する千佳伊。
「という訳でAIに振り回される作者について語ろうか」
「やかましい! 効率化のためだろ。んで、AIが決めたから従え!」
千佳伊の新作は世を乱す作品と認定された。
AI裁判所もすでに有罪判決をくだしていて、自主回収の指示が出ている。
「千佳伊。ちったぁ振り回される側の気持ちも分かったか?」
仙が千佳伊の頭にポンポンと手をのせ、さらに続ける。
「お前が俺のことを好きなのは分かったから。古室さんに謝っておけ」
「......なんのことだ?」
数日後。
千佳伊は高層ビルを買い取り、出版社を立ち上げてしまう。
活動拠点もそちらへ移し、古室との同棲の噂も。
薄暗い寝室で、寝そべりながらスマホを操作する仙。
「千佳伊のやつ。AIが既存の出版を押さえたからって、新規で立ち上げるなよ」
子供を寝かしつけた弧見もベッドに潜り込んできた。
「チカチカは必ず帰ってくるよ」
「根拠は? お、また新しい炎上だな」
タイムラインは千佳伊の話題ばかり。
流れてきた動画には、イーロン・フェイスとの討論もあった。
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『読まれない、見つけてもらえないのなら、自分で投稿サイトを作れば良い!』
『相変わらずチカイは極端だね』
ズバッとカメラを指差す千佳伊。
『それから宣伝だ! 宣伝もなく読んでもらえると思うなよ!』
『それには同意だね。ただ待っていて読まれることは無いかな』
フェイスも同意し、こめかみに指を当てる。
『それで宣伝にはいくらかけたの?』
『ざっと70億だ! 第三弾まで予定しているぞ!』
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動画を見終え、仙が渇いた笑いを浮かべる。
「回収率が低すぎだろ。なぁ、弧見?」
「ま、チカチカが取り戻したい人の興味は惹けたから、いいんじゃない?」
仙が問い返そうとしたら、唇を奪われた。
「ダーリンはウチのことだけ見て」
千佳伊が不在の穏やかな夜。
なのに、その日は非常に激しい㏈をマークした。