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第三十五話 盗難

「ど、どどどどどうしよう!?」

 パスポートを失い、弧見こみがパニックに。

「弧見、落ちつけ」
「盗作とは......けしからん輩がいたものだな」

 宥める仙せんと、いつも通りの千佳伊ちかい。

「こんなときに創作論を始めんなよ」
「何を言うのか! こんなときだからこそだろう!」

 ノートルダム前の広場。
 自己中じこチューの化身である千佳伊が、高らかに創作論を語りだす。

「私としては、全文パクッてキャラ名だけ変えている作者の気が知れん」
「パスポートの名前は変えらんないだろ?」
「は? いまパスポートの話題が必要か?」

 弧見と仙が首をかしげる。

「ウチのパスポート盗られたんだけど......」
「まずは警察と大使館に相談かな? チャッピーに聞くか」
「そのような些事などどうでも良いわ!」

 ヒールをまるで鉄槌のように打ちおろす千佳伊。

「今ちょっと足首いたいと思ったよねチカチカ?」
「何シレっと何もなかった顔してんの千佳伊?」
「......フランスの大地は私に反抗的なようだ。それよりも!」

 千佳伊が天を指差し吠える。

「この世の有象無象は私の作品を盗みすぎではないか!?」
「ないない」
「さすがにウチでもチカチカのそれが被害妄想だってわかるよ」

 千佳伊が足を持ち上げ、思いとどまったのかゆっくりと下ろす。

「〝盗作はビジネスモデル。盗作されるのは名誉〟とのたまう奴もいたのだぞ!」
「だとしても千佳伊のは盗まねーだろ」
「盗作者を晒すスレも乱立しているではないか! 揚げセミのアイデアが!」
「アイデアだけなら著作権的にもセーフだし、チカチカのは自作自演」

 以前から千佳伊は、似ている作品を片っ端から晒していた。
 仙と弧見が警察に向かおうとしたら、不機嫌そうな千佳伊が呼び止める。

「そんなことをせずとも良い。場所は分かる」
「なんでだ?」
「ほれ」

 千佳伊がスマホに地図を表示した。
 赤いマークが点滅していて、何やら音声も聞こえてくる。

「チャッピーが言うには、これスリ犯の会話じゃん!」

 弧見の叫びに千佳伊が頷く。

「こんなこともあろうかと発信機と盗聴器を忍ばせておいた」
「え? え!? ど、どどどどういうことチカチカ!?」

 爆弾発言に弧見がさらなるパニックを引き起こす。
 仙もハッとした表情になり、慌てて自身の体をまさぐった。

「......なぁ、千佳伊。これらはなんだ?」
「見て分からんのか? 盗聴器と盗撮カメラだ」

 ともあれ犯人の場所は判明。
 警察とも連携し、アジトへと急行してスピード解決を果たす。

「ふぅ、日が沈む前に解決できて良かったな。さて、夕飯はどうする?」
「いーや、まだ事件は解決してねーぞ」
「そうだよチカチカ」

 スリ犯を捕まえてくれた警察官へ二人は告げる。

「「お巡りさん!! この人、犯罪者です!!」」
「二人とも惜しいな。そんな発音カタコトでは通じんぞ?」
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間違った創作論を語る作家の話作者:元毛玉(もとけだま)
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第三十五話 盗難

「ど、どどどどどうしよう!?」

 パスポートを失い、弧見こみがパニックに。

「弧見、落ちつけ」
「盗作とは......けしからん輩がいたものだな」

 宥める仙せんと、いつも通りの千佳伊ちかい。

「こんなときに創作論を始めんなよ」
「何を言うのか! こんなときだからこそだろう!」

 ノートルダム前の広場。
 自己中じこチューの化身である千佳伊が、高らかに創作論を語りだす。

「私としては、全文パクッてキャラ名だけ変えている作者の気が知れん」
「パスポートの名前は変えらんないだろ?」
「は? いまパスポートの話題が必要か?」

 弧見と仙が首をかしげる。

「ウチのパスポート盗られたんだけど......」
「まずは警察と大使館に相談かな? チャッピーに聞くか」
「そのような些事などどうでも良いわ!」

 ヒールをまるで鉄槌のように打ちおろす千佳伊。

「今ちょっと足首いたいと思ったよねチカチカ?」
「何シレっと何もなかった顔してんの千佳伊?」
「......フランスの大地は私に反抗的なようだ。それよりも!」

 千佳伊が天を指差し吠える。

「この世の有象無象は私の作品を盗みすぎではないか!?」
「ないない」
「さすがにウチでもチカチカのそれが被害妄想だってわかるよ」

 千佳伊が足を持ち上げ、思いとどまったのかゆっくりと下ろす。

「〝盗作はビジネスモデル。盗作されるのは名誉〟とのたまう奴もいたのだぞ!」
「だとしても千佳伊のは盗まねーだろ」
「盗作者を晒すスレも乱立しているではないか! 揚げセミのアイデアが!」
「アイデアだけなら著作権的にもセーフだし、チカチカのは自作自演」

 以前から千佳伊は、似ている作品を片っ端から晒していた。
 仙と弧見が警察に向かおうとしたら、不機嫌そうな千佳伊が呼び止める。

「そんなことをせずとも良い。場所は分かる」
「なんでだ?」
「ほれ」

 千佳伊がスマホに地図を表示した。
 赤いマークが点滅していて、何やら音声も聞こえてくる。

「チャッピーが言うには、これスリ犯の会話じゃん!」

 弧見の叫びに千佳伊が頷く。

「こんなこともあろうかと発信機と盗聴器を忍ばせておいた」
「え? え!? ど、どどどどういうことチカチカ!?」

 爆弾発言に弧見がさらなるパニックを引き起こす。
 仙もハッとした表情になり、慌てて自身の体をまさぐった。

「......なぁ、千佳伊。これらはなんだ?」
「見て分からんのか? 盗聴器と盗撮カメラだ」

 ともあれ犯人の場所は判明。
 警察とも連携し、アジトへと急行してスピード解決を果たす。

「ふぅ、日が沈む前に解決できて良かったな。さて、夕飯はどうする?」
「いーや、まだ事件は解決してねーぞ」
「そうだよチカチカ」

 スリ犯を捕まえてくれた警察官へ二人は告げる。

「「お巡りさん!! この人、犯罪者です!!」」
「二人とも惜しいな。そんな発音カタコトでは通じんぞ?」
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間違った創作論を語る作家の話作者:元毛玉(もとけだま)
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