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第三十四話 撮影

 翌朝。

「やーめーろ! 俺はまだベッドが恋しいー!」
「いい加減諦めろ」

 明後日のジャパンエキスポまでは休暇。
 時差ボケの解消に充てるという仙せん。

 抵抗むなしく、千佳伊ちかいに強制連行ドナドナされていく。
 エントランスの外を見ていた弧見こみが手をふる。

「あ、チカチカ、タクシー来たよ」

 二人がかりでパジャマ姿の男をタクシーへ積みこんだ。

「まずは凱旋門だ」
「チャッピー、通訳お願いね」
「せ、せめて着替えさせて......」

 意識高い系ファッション、ガーリースタイル、ボーダーパジャマ。
 まざるな危険に思える三人が、パリの街をねり歩く。

「さっき撮った写真をさっそくアップするか」
「エッフェル塔のポーズうまく撮れてたよね~」

 エッフェル塔前のありふれた記念撮影。
 だが、千佳伊の余計なコメントが水素爆弾と化した。

「うっわ、めっちゃ炎上してるよチカチカ」
「千佳伊さぁ、どうして余計な一言を添えるんだよ」

 写真に加え「フランス人の血税で豪遊中!」とツイート。
 フランス国民が発狂し、日本でも「けしからん!」と引火した。

「日本からの特使として招かれた事実を言っただけだ」
「後で謝罪会見すんのどうせ俺なんだろうな......」

 お通夜モードとなる仙。
 逆に弧見と千佳伊は、会話を弾ませる。

「チカチカ、次はどこ回る?」
「各自で自由行動としようか」

 慌てた仙が叫ぶ。

「俺は財布も持たずに連れ出されたんだぞ! 勝手に動くな!」
「ふむ。キャラが勝手に動くのは創作あるあるだな」

 立ち去ろうとする千佳伊。
 その肩をがっしりと仙が掴んだ。

「キャラの解像度が低くて制御不能なだけだろ!」
「それは違う。弧見のは解像度が低いからかもしれんが、私は別だ」

 すでにどこかへ消えた弧見をソッコーでディスる千佳伊。
 仙も頷く。

「弧見に関しては同意だが、プロット立ててないからお前も同罪だぞ」
「いーや、私は違う。執筆中にキャラが動くのはプロでもあることだ」

 さも自分がプロであるかのようなセリフに、仙が嚙みついた。

「すぐ収拾つかなくなって更新止まるじゃねーかよ!」
「なんと不快な。いい加減放せ。フランス語で〝犯される〟と叫ぶぞ?」
「さらっと社会的な殺意マックスで仕返ししようとすんな!」

 二人がノートルダム大聖堂前で揉み合う中、高速で近寄ってくる影。
 号泣した弧見が、土煙を巻きあげながら全力ダッシュしていた。

「うわ~ん! チカチカ! 仙! バッグ盗まれた~!」

 失ったのは、パスポートの入ったバッグ。
 弧見の絶叫が、サイレンのようにパリの空へ溶けていった。
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間違った創作論を語る作家の話作者:元毛玉(もとけだま)
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第三十四話 撮影

 翌朝。

「やーめーろ! 俺はまだベッドが恋しいー!」
「いい加減諦めろ」

 明後日のジャパンエキスポまでは休暇。
 時差ボケの解消に充てるという仙せん。

 抵抗むなしく、千佳伊ちかいに強制連行ドナドナされていく。
 エントランスの外を見ていた弧見こみが手をふる。

「あ、チカチカ、タクシー来たよ」

 二人がかりでパジャマ姿の男をタクシーへ積みこんだ。

「まずは凱旋門だ」
「チャッピー、通訳お願いね」
「せ、せめて着替えさせて......」

 意識高い系ファッション、ガーリースタイル、ボーダーパジャマ。
 まざるな危険に思える三人が、パリの街をねり歩く。

「さっき撮った写真をさっそくアップするか」
「エッフェル塔のポーズうまく撮れてたよね~」

 エッフェル塔前のありふれた記念撮影。
 だが、千佳伊の余計なコメントが水素爆弾と化した。

「うっわ、めっちゃ炎上してるよチカチカ」
「千佳伊さぁ、どうして余計な一言を添えるんだよ」

 写真に加え「フランス人の血税で豪遊中!」とツイート。
 フランス国民が発狂し、日本でも「けしからん!」と引火した。

「日本からの特使として招かれた事実を言っただけだ」
「後で謝罪会見すんのどうせ俺なんだろうな......」

 お通夜モードとなる仙。
 逆に弧見と千佳伊は、会話を弾ませる。

「チカチカ、次はどこ回る?」
「各自で自由行動としようか」

 慌てた仙が叫ぶ。

「俺は財布も持たずに連れ出されたんだぞ! 勝手に動くな!」
「ふむ。キャラが勝手に動くのは創作あるあるだな」

 立ち去ろうとする千佳伊。
 その肩をがっしりと仙が掴んだ。

「キャラの解像度が低くて制御不能なだけだろ!」
「それは違う。弧見のは解像度が低いからかもしれんが、私は別だ」

 すでにどこかへ消えた弧見をソッコーでディスる千佳伊。
 仙も頷く。

「弧見に関しては同意だが、プロット立ててないからお前も同罪だぞ」
「いーや、私は違う。執筆中にキャラが動くのはプロでもあることだ」

 さも自分がプロであるかのようなセリフに、仙が嚙みついた。

「すぐ収拾つかなくなって更新止まるじゃねーかよ!」
「なんと不快な。いい加減放せ。フランス語で〝犯される〟と叫ぶぞ?」
「さらっと社会的な殺意マックスで仕返ししようとすんな!」

 二人がノートルダム大聖堂前で揉み合う中、高速で近寄ってくる影。
 号泣した弧見が、土煙を巻きあげながら全力ダッシュしていた。

「うわ~ん! チカチカ! 仙! バッグ盗まれた~!」

 失ったのは、パスポートの入ったバッグ。
 弧見の絶叫が、サイレンのようにパリの空へ溶けていった。
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間違った創作論を語る作家の話作者:元毛玉(もとけだま)
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