第七十五話 戦争
「癖を詰め込みすぎだろう? 読者を変態プレイに誘うのか?」
いつものように千佳伊がネットでレスバを繰り広げる。
「自信がないのになぜ世に出す? あぁ、それも分からないから底辺なのだな」
千佳伊の無差別攻撃は弧見にも突き刺さった。
「チカチカ! いい加減にして! 多伊奈ちゃん返さないからね!」
「さ、さすがに娘を人質にとるのはやりすぎではないのか?」
多伊奈と愛の育児に追われる弧見。
「育児しないなら、ツイッターばかりやってないで執筆しなよ」
「世の中に対する不満を発散しているのだ。弧見には不満はないのか?」
「ウチ? ウチはレビューするなって言われたことがカチンときたかなぁ」
弧見はカケヨメでレビューを積極的に送っている。
「作者のは忖度や見返り込みだから、どっちか辞めろってさ~ふざけんなし」
「よし、私がいっちょ......」
「マジやめて。チカチカのせいでダーリンが忙しいんだからね!」
騒動の火消しに仙は奔走し、ほとんど家を空けていた。
千佳伊の瞳が輝きを増す。
「そうだな。旦那を返せとツイートしておくか!」
「ウチの旦那です!」
ネットではアンチとの戦争。
家の中では嫁バトルが続く。
「ところで弧見。最近、読み合いをやっていないそうじゃないか」
「それも不満の一つかな?」
条件を書いて募集しても、要項や締切を守らない、1話だけ読んで終わり。
〝応援する〟のハート連打だけで読まない。
コメントも「良かったです」で済ませる。
「モラルハザードがひどかったからやめたし」
「私のアンチのモラルも大概だな」
「チカチカはエゴサとレスバをやめるべき!」
だが千佳伊は止まらない。
アンチが複数の派閥に割れるよう画策をしていく。
季節が変わり、アンチの三国時代がやってきた。
弧見が室温を数度あげるほどの怒りをみせる。
「チカチカ! アンチだってファンなんだよ! 大事にしないと!」
「私は手を出していない。三大派閥が勝手に戦争をしているのだ」
テンプレ至上主義の派閥。
ナーロッパ不要論の派閥。
お手軽で変わり種の派閥。
「昔ながらのハイファンタジーファンは、アンチにすらなってくれなんだ」
「残念がるのそこ!? 迷惑をかけていることの自覚はある?」
千佳伊は遠い目をする。
「運営もだが、戦争のときの国連も弱腰すぎると思わんか?」
「話を逸らすなし!」
「いやいや、弧見ほどではない」
嫌そうな目を弧見へ向ける千佳伊。
「私をしつこく叱っているが、本音は?」
「ウチ、ダーリンと一ヵ月以上もしてないし!」
「よし、もっと忙しくしてやるか」
千佳伊の顔に邪悪な笑みが浮かぶ。
「国連へ殴り込みをかけるぞ!」