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第八十話 経済

 イーロン・フェイスが動く。
 あっという間にNUとANUの電脳仮想国土と経済圏を作り上げた。

 NUの通貨はナーロ。ANUの通貨はイーロ。
 今まさに、世紀最大の為替ブームが到来している。

 深夜の千佳伊ちかいの自室。
 後ろで髪を縛って変動相場を眺める千佳伊。

「まさかあの大富豪。ゲーム感覚で経済圏を作り上げるとはな......」
「フェイス氏の本気をみた気がするな。ドナルド大統領とは実行力が違うぜ」
「まぁ、大統領ピエロも実行はするが、結果が伴わないからそういう評価にもなるか」

 仙せんもNUの法整備のため、激務が続く。

「色んな国から参加者が殺到してるから、価値観が違い過ぎてキッツイ!」

 異世界に求めるものも千差万別。
 人の趣向や性癖と同じ数だけ、妙なこだわりの声が届く。

「なぁ、小説の経済圏じゃねーの? 嘆願書の内容が変なんだが......」

 嘆願には違いないが、漫画やゲームと思える要望が多い。
 千佳伊がデータをチラ見する。

「ラノベ志望はゲームや漫画ばかりだからな。読書というのを知らんのだろう」

 バサッと切り捨てた。
 それと同時、部屋の壁が蹴破られる。
 弧見が二人の娘を両腕に抱えて現れた。

「ダーリン! チカチカ! こんな夜更けまで二人きりは良くないから!」
「俺はハニーひと筋だから大丈夫だよ」
「でもチカチカがマッパじゃない!」

 ベッドに寝そべって作業する裸の千佳伊。
 それを指差す弧見も、仙は無視してひたすら作業を続ける。

「色々と好みが捻じれて、歪んでいる。ストライクにはほど遠い」
「どゆことダーリン?」
「ストライクゾーンどころか、異世界のボールは打てないってこと」

 ムクリと千佳伊が体を起こす。
 慌てて弧見がブランケットをかけていた。

「ありがとう弧見」
「服、ちゃんと着て!」
「それよりも創作論だ。今回は視点揺れ警察と文の捻じれ問題だな」

 ノートパソコンに表示されるパワポ。
 視点揺れ・文の捻じれの3つのケースが書かれていた。

 ───────────────────
 Aが発砲すると、Bは辛うじて銃弾を躱された。
 Cは刀を構えて跳躍し、そして刀が敵の背中に振り下ろされる。
 Dは目覚め、Eは指一本動かさないためDに起こしてもらった。
 ───────────────────

 仙は絶句。
 弧見は目をパチクリさせている。

「何か問題なの? 普通っしょ?」
「弧見......本気か? そうか。名医のいる病院を紹介してやろう」
「え!? 山田院長のところは絶対ヤだよ!?」

 一週間後。
 WHOからパンデミック宣言が発出された。

《爆発的な感染──ナロウシンドロームが蔓延し、極めて危険である》
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間違った創作論を語る作家の話作者:元毛玉(もとけだま)
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第八十話 経済

 イーロン・フェイスが動く。
 あっという間にNUとANUの電脳仮想国土と経済圏を作り上げた。

 NUの通貨はナーロ。ANUの通貨はイーロ。
 今まさに、世紀最大の為替ブームが到来している。

 深夜の千佳伊ちかいの自室。
 後ろで髪を縛って変動相場を眺める千佳伊。

「まさかあの大富豪。ゲーム感覚で経済圏を作り上げるとはな......」
「フェイス氏の本気をみた気がするな。ドナルド大統領とは実行力が違うぜ」
「まぁ、大統領ピエロも実行はするが、結果が伴わないからそういう評価にもなるか」

 仙せんもNUの法整備のため、激務が続く。

「色んな国から参加者が殺到してるから、価値観が違い過ぎてキッツイ!」

 異世界に求めるものも千差万別。
 人の趣向や性癖と同じ数だけ、妙なこだわりの声が届く。

「なぁ、小説の経済圏じゃねーの? 嘆願書の内容が変なんだが......」

 嘆願には違いないが、漫画やゲームと思える要望が多い。
 千佳伊がデータをチラ見する。

「ラノベ志望はゲームや漫画ばかりだからな。読書というのを知らんのだろう」

 バサッと切り捨てた。
 それと同時、部屋の壁が蹴破られる。
 弧見が二人の娘を両腕に抱えて現れた。

「ダーリン! チカチカ! こんな夜更けまで二人きりは良くないから!」
「俺はハニーひと筋だから大丈夫だよ」
「でもチカチカがマッパじゃない!」

 ベッドに寝そべって作業する裸の千佳伊。
 それを指差す弧見も、仙は無視してひたすら作業を続ける。

「色々と好みが捻じれて、歪んでいる。ストライクにはほど遠い」
「どゆことダーリン?」
「ストライクゾーンどころか、異世界のボールは打てないってこと」

 ムクリと千佳伊が体を起こす。
 慌てて弧見がブランケットをかけていた。

「ありがとう弧見」
「服、ちゃんと着て!」
「それよりも創作論だ。今回は視点揺れ警察と文の捻じれ問題だな」

 ノートパソコンに表示されるパワポ。
 視点揺れ・文の捻じれの3つのケースが書かれていた。

 ───────────────────
 Aが発砲すると、Bは辛うじて銃弾を躱された。
 Cは刀を構えて跳躍し、そして刀が敵の背中に振り下ろされる。
 Dは目覚め、Eは指一本動かさないためDに起こしてもらった。
 ───────────────────

 仙は絶句。
 弧見は目をパチクリさせている。

「何か問題なの? 普通っしょ?」
「弧見......本気か? そうか。名医のいる病院を紹介してやろう」
「え!? 山田院長のところは絶対ヤだよ!?」

 一週間後。
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