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第三幕 王への遠すぎる道、パンプキンの陰謀

鬼ヶ島から町に戻った梅太郎は、村長のもとへ向かい、エンマ討伐と新たな旅立ちを報告した。

「寂しくなるのう。それよりわしは切り干し大根が食べたいんじゃ」

......そもそも町なのに、なぜ「村長」なのか。そして討伐報告への返答が、なぜ「切り干し大根」なのか。

村長はこの後もしばらく、切り干し大根を作りたいのか食べたいのか判然としない妄言を続ける。なぜこんな設定にしたのか、いまだにさっぱり分からない。ただ一つ確かなのは、村長の中で梅太郎たちの冒険は切り干し大根以下の価値しかなかったということだ。

始まりの町から先は森が続き、南へ進む道は大きな関所によって塞がれていた。

「ここを通りたくば、王様の許可を得よ」

......このあたりは和風の世界観だったはずなのに、門番の格好だけはなぜか中世ヨーロッパ風のフルフェイス鎧である。もはや時代も国も世界観もバラバラだが、作っている当人たちが誰も気にしていない。

「しかし、王の許可ってどうやって取れば良いんだ?」

シャフトの至極まっとうな疑問に答える者は、誰一人としていなかった。

仕方なく、近くの城下町に入る。物語で初めて武器や道具が買えるショップだが、防具は梅太郎もシャフトも同じものを装備できる使い回し仕様。なぜか武器だけは個別専用のものが用意されていた。手抜き?そう言われても過言ではない。

そこで出会うのが、この物語を語る上で絶対に欠かせない重要人物。

「これを持っていけば、王様に会えるよ。うひひひひ」

パンプキンである。

専用グラフィックなど用意されているはずもなく、正体はオレンジ色の帽子をかぶったただのおじさんだ。名前だけは「パンプキン」なのに、カボチャ要素は帽子くらいしかない。実はツクール3のデフォルトマップに「カボチャの形をした土地」が存在し、「マップがあるからパンプキンというキャラを出そう」という、中2制作者特有の安易な逆算から生み出された悲しき産物であった。

パンプキンから手紙をもらうとイベントフラグが立ち、城の門番の判定が変わる。

「これがあれば大丈夫だな!」と意気揚々と城へ向かう梅太郎たちだったが――

「なんだこれは? ふざけてないで、立ち去れ!」

手紙は、当たり前のように城の門番に一蹴され突き返された。

......そうだろう。その辺を歩いている謎の帽子おじさんからもらった手紙一枚で、国の城に入れるわけがない。逆になぜいけると思ったんだ。

「文句を言ってやろうぜ」

梅太郎とシャフトは素直にパンプキンへ文句を言いに行くことにする。しかし、パンプキンの家を探そうにも、枯れ木のようなグラフィックに話しかけないと入ることができなく、作った本人にしか分からないレベルの鬼畜仕様だった。

アジトは、気にぶら下がっていふ大きなパンプキンの家。背景は遠くにお城が見える美しいグラフィック。これはもちろんデフォルトマップだ。

枝から梯子がかかっておりアジトの中に入ることができる。

中にはもちろんパンプキンが潜んでおり、話しかけると悪びれもせず笑った。

「王への手紙? そんなもの使えるわけないじゃないか。騙されるほうが悪い。ケッケッケ」

......開き直った。騙した側が「騙されるほうが悪い」と堂々と言い放つ始末である。

ちなみにこの時、手紙の代金として、ちゃっかり手持ちのお金(ゴールド)まで取られていたらしい。詐欺の手口が、思っていた以上に丁寧でタチが悪い。

アジトから出て、梯子を登った直後である。

「くたばれ!!」

ブチギレたシャフトが叫び、切り刻むような効果音が鳴り響き、パンプキンの家ごと切り落とした。

......デフォルトマップには、パンプキンの家がないものもあったので、落としたら面白いんじゃね?と言うことで、ただ落とされた。と言うより、場面が変わったと言った方が良いであろう。ある意味不憫なパンプキン。

町には枯れ木の隣に何かが潰れたようなグラフィック(トマトが潰れたような1マスのグラフィック)だけがポツンと残された。

手がかりを失い、一旦村長のもとへ戻ると、いつも通りのやり取りが待っていた。

「王とはマブダチよ。ほれ、これを読めば王もイチコロよ。しかし、大根が欲しいのう......」

村長の謎に広い交友関係が、急に判明する。

村長から本物の紹介状を手に城へ向かうと、今度はあっさりと門が開いた。

「あいつからの頼みは断れない。あい、わかった。ほれ、通行書と大根じゃ」

......王様がわざわざ「大根」まで手渡してくるあたり、村長の裏の力関係が透けて見える。ただし、今後そこに触れることは一切ない。

入手した大根を村長に渡すと、村長は満面の笑みを見せた。

「おー、大根じゃ! 礼を言うぞ!」

『梅太郎は、切り干し大根を手に入れた』

......ちなみに、このアイテムの使い方は記憶の彼方に葬られている。

こうしてようやく、王様への正規の道が開かれた。

もっとも、ここまでに費やした労力と時間の大部分は、「パンプキンに騙されて金を取られたことへの私怨の仕返し」だったのだが。
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梅太郎伝説作者:シャフト
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第三幕 王への遠すぎる道、パンプキンの陰謀

鬼ヶ島から町に戻った梅太郎は、村長のもとへ向かい、エンマ討伐と新たな旅立ちを報告した。

「寂しくなるのう。それよりわしは切り干し大根が食べたいんじゃ」

......そもそも町なのに、なぜ「村長」なのか。そして討伐報告への返答が、なぜ「切り干し大根」なのか。

村長はこの後もしばらく、切り干し大根を作りたいのか食べたいのか判然としない妄言を続ける。なぜこんな設定にしたのか、いまだにさっぱり分からない。ただ一つ確かなのは、村長の中で梅太郎たちの冒険は切り干し大根以下の価値しかなかったということだ。

始まりの町から先は森が続き、南へ進む道は大きな関所によって塞がれていた。

「ここを通りたくば、王様の許可を得よ」

......このあたりは和風の世界観だったはずなのに、門番の格好だけはなぜか中世ヨーロッパ風のフルフェイス鎧である。もはや時代も国も世界観もバラバラだが、作っている当人たちが誰も気にしていない。

「しかし、王の許可ってどうやって取れば良いんだ?」

シャフトの至極まっとうな疑問に答える者は、誰一人としていなかった。

仕方なく、近くの城下町に入る。物語で初めて武器や道具が買えるショップだが、防具は梅太郎もシャフトも同じものを装備できる使い回し仕様。なぜか武器だけは個別専用のものが用意されていた。手抜き?そう言われても過言ではない。

そこで出会うのが、この物語を語る上で絶対に欠かせない重要人物。

「これを持っていけば、王様に会えるよ。うひひひひ」

パンプキンである。

専用グラフィックなど用意されているはずもなく、正体はオレンジ色の帽子をかぶったただのおじさんだ。名前だけは「パンプキン」なのに、カボチャ要素は帽子くらいしかない。実はツクール3のデフォルトマップに「カボチャの形をした土地」が存在し、「マップがあるからパンプキンというキャラを出そう」という、中2制作者特有の安易な逆算から生み出された悲しき産物であった。

パンプキンから手紙をもらうとイベントフラグが立ち、城の門番の判定が変わる。

「これがあれば大丈夫だな!」と意気揚々と城へ向かう梅太郎たちだったが――

「なんだこれは? ふざけてないで、立ち去れ!」

手紙は、当たり前のように城の門番に一蹴され突き返された。

......そうだろう。その辺を歩いている謎の帽子おじさんからもらった手紙一枚で、国の城に入れるわけがない。逆になぜいけると思ったんだ。

「文句を言ってやろうぜ」

梅太郎とシャフトは素直にパンプキンへ文句を言いに行くことにする。しかし、パンプキンの家を探そうにも、枯れ木のようなグラフィックに話しかけないと入ることができなく、作った本人にしか分からないレベルの鬼畜仕様だった。

アジトは、気にぶら下がっていふ大きなパンプキンの家。背景は遠くにお城が見える美しいグラフィック。これはもちろんデフォルトマップだ。

枝から梯子がかかっておりアジトの中に入ることができる。

中にはもちろんパンプキンが潜んでおり、話しかけると悪びれもせず笑った。

「王への手紙? そんなもの使えるわけないじゃないか。騙されるほうが悪い。ケッケッケ」

......開き直った。騙した側が「騙されるほうが悪い」と堂々と言い放つ始末である。

ちなみにこの時、手紙の代金として、ちゃっかり手持ちのお金(ゴールド)まで取られていたらしい。詐欺の手口が、思っていた以上に丁寧でタチが悪い。

アジトから出て、梯子を登った直後である。

「くたばれ!!」

ブチギレたシャフトが叫び、切り刻むような効果音が鳴り響き、パンプキンの家ごと切り落とした。

......デフォルトマップには、パンプキンの家がないものもあったので、落としたら面白いんじゃね?と言うことで、ただ落とされた。と言うより、場面が変わったと言った方が良いであろう。ある意味不憫なパンプキン。

町には枯れ木の隣に何かが潰れたようなグラフィック(トマトが潰れたような1マスのグラフィック)だけがポツンと残された。

手がかりを失い、一旦村長のもとへ戻ると、いつも通りのやり取りが待っていた。

「王とはマブダチよ。ほれ、これを読めば王もイチコロよ。しかし、大根が欲しいのう......」

村長の謎に広い交友関係が、急に判明する。

村長から本物の紹介状を手に城へ向かうと、今度はあっさりと門が開いた。

「あいつからの頼みは断れない。あい、わかった。ほれ、通行書と大根じゃ」

......王様がわざわざ「大根」まで手渡してくるあたり、村長の裏の力関係が透けて見える。ただし、今後そこに触れることは一切ない。

入手した大根を村長に渡すと、村長は満面の笑みを見せた。

「おー、大根じゃ! 礼を言うぞ!」

『梅太郎は、切り干し大根を手に入れた』

......ちなみに、このアイテムの使い方は記憶の彼方に葬られている。

こうしてようやく、王様への正規の道が開かれた。

もっとも、ここまでに費やした労力と時間の大部分は、「パンプキンに騙されて金を取られたことへの私怨の仕返し」だったのだが。
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