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第八幕 未来人の中から英雄、そして突然のタイムトラベル

地獄でバサラを退け、一行はようやく現世に戻ってくる。どのように現世に戻れたのかは、誰にもわからない。

「やっと戻って来れたズラー!」

兵士が率先してセリフを奪っていく。

......この帰還先、名前はマドリード。地獄からの帰還先が、なぜスペインなのか。当時、社会科の地図帳を目をつぶって指さしたら出てきたのがマドリードだった。実に単純である。当時はなんの疑問もなかったが、サッカーが強いことで有名な街だと気づくのは、もっと先の話である。

ちなみに、この街はこれまで作ってきたイベントで入れきれなかったものをひたすら詰め込んだ街である。脈絡のないイベントが続くことを、先に謝っておく。

現世に戻って早々、犬のベンが突然倒れた。

「キャィーン......」

......突然、というが、実際はシャフトの仕業だったらしい。犯行に及んだ動機は、当然のように語られない。

ベンの飼い主らしき青年が、泣き崩れながら現れる。

「ベン......ベーーーーン!!!」

......ベン自身は、この後戦闘に参加することはない。ただ鳴いて倒れるだけの役割で、直接手を下したのはシャフトである。代わりに、悲しみに暮れた青年が戦闘相手として立ちはだかることになる。

「よくも......よくもベンを!!!」

青年を相手に、一戦交える梅太郎たち。

......倫理観については、この物語ではやはり期待しない方がいい。

戦いを終えたところで、今度は馬が背後から現れた。

「にんじんよこせ」

......正確には「...............ニンジンくれ」だったらしい。表記のニュアンスまで、細部にこだわっていたようだ。

にんじんの持ち合わせがなかったため、代わりに村長からもらった切り干し大根を渡すことにする。

「......サンキュー」

......大根で納得する馬。

本来はにんじんを渡すはずの場面だったのだろうが、切り干し大根の使い道が他になかったので、とりあえず馬に渡すことにした。

馬は満足げに一声鳴いた。

「ヒヒーン」

そして、遥か彼方へと走り去っていった。

......大根一本で解決する動物の懐の深さに、拍手を送りたい。

道中、未来人のメットらしきものを拾う。

「むむ......これは未来人のメットだべ。きっとこの街に他の部分があるに違いないっちゃ、探すズラー!」

......未来人、バラバラだったのか。

その途中、小さな墓を見つける。

「アンソニー、ここに眠る......」

......三途の川で「いや、むしろ助けろよ」と文句を言っていたはずの男が、なぜか現世の墓に眠っている。整合性については、もう誰も気にしていない。

さらに進むと、いかにも面倒そうな老人に呼び止められた。

「私は厳格な老人だ、ここを通りたくば、私を倒すんだな」

......また戦闘か。しかも、この老人と戦う前のやり取り自体が謎に包まれている。

戦いの最中、聞き覚えのある声が割り込んでくる。

「わしも参戦するぞ!!」

あーいおじさんである。

......ショスタコビッチ討伐前の道中で分岐を連発していたあの男が、まさかの助っ人参戦。

老人とあーいおじさんは、息の合った連携技を披露する。

「見よ! 厳格な老人コンボ!!」

......名前だけは景気がいい。

苦戦の末、なんとか二人を退けることに成功する。

「一生の不覚」

......厳格な老人コンボ、まさかの完全敗北。なお、このコンボ技は色々な技エフェクトを組み合わせただけの、いわばラーメンで言う「全部乗せ」のようなものである。

そして、光プチと言う交換屋なのかなんだからわからん店に着いた。なお光プチとは、熱帯魚の餌から名前が由来。筆者は友人Sが持っていた知らなかったどうでいいフラグをまた回収してしまった。

未来人のパーツ集めを続けていたシャフトが、あるときふと違和感に気づく。

「なんかこう......一つずつ集めて行くようなイベントもっとあったんじゃないか?」

......その通りだった。実は未来人のパーツは本来、地獄で集めるはずだったのだが、友人Sに指摘されるまで筆者がそれをすっかり忘れていたため、苦し紛れにお店でごく普通に売られていることにしたらしい。

必要なパーツをすべて買い集め、梅太郎たちはとりあえず未来人を組み立ててみることにした。

「中身がないけどいいのかこれ?」

スライム大統領の疑問に、誰も答えられない。

組み立てた瞬間、急な光に包まれ、一行は目もくらむような閃光に飲み込まれた。

「うわっ!!」

......こんな街中で、いきなり閃光。

光がおさまると、そこに一人の男が降臨していた。

「私は、英雄ナカシマ」

......自分で「英雄」と名乗る男。

......ナカシマ。なぜ彼が「英雄」と呼ばれるのか。それは、当時RPGツクール3のテストプレイに唯一付き合ってくれた人物だったからである。その敬意を込めて、彼を英雄ナカシマとして物語に迎え入れたのだ。

「助けてくれてありがとう。私は長いこと未来人の中に封印されていたのだよ。ぜひ君たちの力になりたい」

......あの未来人、中に人が入っていた。

そんな折、聞き慣れた着信音が鳴り響く。

「プルルルル」

「ん? また電話か。カクさんか。何! わかった! ......すまない、また急用ができたっぺ! さらばズラー、梅太郎!!」

......また電話。また離脱。パーティー離脱の理由が、毎回電話一本で片付けられている。パーティーの最大人数が四人までという制約上、仕方のないことではある。

ナカシマが、有力な情報を切り出す。

「......事情は、理解した。この街に過去に戻れる装置があると噂で聞いたことがある。ただ、どこにあるかまではわからないんだ」

......唐突なタイムトラベル要素。夫婦喧嘩を止める旅のはずが、いつの間にかSFに片足を突っ込んでいる。

スライム大統領が、妙な目撃情報を口にする。

「今さっき、以前負かされたいかれたジジイが入って行くのを見たんだ......」

スライム大統領についていくと、そこは異空間だった。

やがて一行は、謎の転送装置を発見する。

「きっと、これがナカシマが言っていた、転送装置だ! 乗り込もうぜ!」

......このあたりの記憶は、正直かなり飛んでいる。この先は「未来の鬼ヶ島編」に続いているようだが、筆者の記憶からはほとんど消えている。ただ、棺を守る濁竜、クチャドック、クチャバード、クチャモンキーという敵キャラクターの名前だけは、なぜか鮮明に覚えていた。その顛末は、また別の機会に。

装置に近づくと、見張りらしき二人組に呼び止められた。

「チョットマテ、カッテ二ツカウンジャナイ」

レフト兄弟である。

......勝手に使うな、と至極まっとうな注意を受ける一行。

このレフト兄弟の存在は、当時の記憶からほぼ完全に抜け落ちていたらしい。Sからの指摘がなければ、そのまま忘れ去られていたキャラクターである。名前のモチーフはもちろんライト兄弟。「飛ぶ」というところに共感したのだろう。

一戦を交え、これを倒すと、レフト兄弟はあっさり使用を許可した。

「イイヨ......ノッテ......」

......許可を出すのは早い。

転送装置が起動し、一行は光に包まれる。

「うわぁぁぁ......!!!」

......飛ばされた先がどこなのかは、飛ばされている本人たちにも分からない。
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梅太郎伝説作者:シャフト
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地獄でバサラを退け、一行はようやく現世に戻ってくる。どのように現世に戻れたのかは、誰にもわからない。

「やっと戻って来れたズラー!」

兵士が率先してセリフを奪っていく。

......この帰還先、名前はマドリード。地獄からの帰還先が、なぜスペインなのか。当時、社会科の地図帳を目をつぶって指さしたら出てきたのがマドリードだった。実に単純である。当時はなんの疑問もなかったが、サッカーが強いことで有名な街だと気づくのは、もっと先の話である。

ちなみに、この街はこれまで作ってきたイベントで入れきれなかったものをひたすら詰め込んだ街である。脈絡のないイベントが続くことを、先に謝っておく。

現世に戻って早々、犬のベンが突然倒れた。

「キャィーン......」

......突然、というが、実際はシャフトの仕業だったらしい。犯行に及んだ動機は、当然のように語られない。

ベンの飼い主らしき青年が、泣き崩れながら現れる。

「ベン......ベーーーーン!!!」

......ベン自身は、この後戦闘に参加することはない。ただ鳴いて倒れるだけの役割で、直接手を下したのはシャフトである。代わりに、悲しみに暮れた青年が戦闘相手として立ちはだかることになる。

「よくも......よくもベンを!!!」

青年を相手に、一戦交える梅太郎たち。

......倫理観については、この物語ではやはり期待しない方がいい。

戦いを終えたところで、今度は馬が背後から現れた。

「にんじんよこせ」

......正確には「...............ニンジンくれ」だったらしい。表記のニュアンスまで、細部にこだわっていたようだ。

にんじんの持ち合わせがなかったため、代わりに村長からもらった切り干し大根を渡すことにする。

「......サンキュー」

......大根で納得する馬。

本来はにんじんを渡すはずの場面だったのだろうが、切り干し大根の使い道が他になかったので、とりあえず馬に渡すことにした。

馬は満足げに一声鳴いた。

「ヒヒーン」

そして、遥か彼方へと走り去っていった。

......大根一本で解決する動物の懐の深さに、拍手を送りたい。

道中、未来人のメットらしきものを拾う。

「むむ......これは未来人のメットだべ。きっとこの街に他の部分があるに違いないっちゃ、探すズラー!」

......未来人、バラバラだったのか。

その途中、小さな墓を見つける。

「アンソニー、ここに眠る......」

......三途の川で「いや、むしろ助けろよ」と文句を言っていたはずの男が、なぜか現世の墓に眠っている。整合性については、もう誰も気にしていない。

さらに進むと、いかにも面倒そうな老人に呼び止められた。

「私は厳格な老人だ、ここを通りたくば、私を倒すんだな」

......また戦闘か。しかも、この老人と戦う前のやり取り自体が謎に包まれている。

戦いの最中、聞き覚えのある声が割り込んでくる。

「わしも参戦するぞ!!」

あーいおじさんである。

......ショスタコビッチ討伐前の道中で分岐を連発していたあの男が、まさかの助っ人参戦。

老人とあーいおじさんは、息の合った連携技を披露する。

「見よ! 厳格な老人コンボ!!」

......名前だけは景気がいい。

苦戦の末、なんとか二人を退けることに成功する。

「一生の不覚」

......厳格な老人コンボ、まさかの完全敗北。なお、このコンボ技は色々な技エフェクトを組み合わせただけの、いわばラーメンで言う「全部乗せ」のようなものである。

そして、光プチと言う交換屋なのかなんだからわからん店に着いた。なお光プチとは、熱帯魚の餌から名前が由来。筆者は友人Sが持っていた知らなかったどうでいいフラグをまた回収してしまった。

未来人のパーツ集めを続けていたシャフトが、あるときふと違和感に気づく。

「なんかこう......一つずつ集めて行くようなイベントもっとあったんじゃないか?」

......その通りだった。実は未来人のパーツは本来、地獄で集めるはずだったのだが、友人Sに指摘されるまで筆者がそれをすっかり忘れていたため、苦し紛れにお店でごく普通に売られていることにしたらしい。

必要なパーツをすべて買い集め、梅太郎たちはとりあえず未来人を組み立ててみることにした。

「中身がないけどいいのかこれ?」

スライム大統領の疑問に、誰も答えられない。

組み立てた瞬間、急な光に包まれ、一行は目もくらむような閃光に飲み込まれた。

「うわっ!!」

......こんな街中で、いきなり閃光。

光がおさまると、そこに一人の男が降臨していた。

「私は、英雄ナカシマ」

......自分で「英雄」と名乗る男。

......ナカシマ。なぜ彼が「英雄」と呼ばれるのか。それは、当時RPGツクール3のテストプレイに唯一付き合ってくれた人物だったからである。その敬意を込めて、彼を英雄ナカシマとして物語に迎え入れたのだ。

「助けてくれてありがとう。私は長いこと未来人の中に封印されていたのだよ。ぜひ君たちの力になりたい」

......あの未来人、中に人が入っていた。

そんな折、聞き慣れた着信音が鳴り響く。

「プルルルル」

「ん? また電話か。カクさんか。何! わかった! ......すまない、また急用ができたっぺ! さらばズラー、梅太郎!!」

......また電話。また離脱。パーティー離脱の理由が、毎回電話一本で片付けられている。パーティーの最大人数が四人までという制約上、仕方のないことではある。

ナカシマが、有力な情報を切り出す。

「......事情は、理解した。この街に過去に戻れる装置があると噂で聞いたことがある。ただ、どこにあるかまではわからないんだ」

......唐突なタイムトラベル要素。夫婦喧嘩を止める旅のはずが、いつの間にかSFに片足を突っ込んでいる。

スライム大統領が、妙な目撃情報を口にする。

「今さっき、以前負かされたいかれたジジイが入って行くのを見たんだ......」

スライム大統領についていくと、そこは異空間だった。

やがて一行は、謎の転送装置を発見する。

「きっと、これがナカシマが言っていた、転送装置だ! 乗り込もうぜ!」

......このあたりの記憶は、正直かなり飛んでいる。この先は「未来の鬼ヶ島編」に続いているようだが、筆者の記憶からはほとんど消えている。ただ、棺を守る濁竜、クチャドック、クチャバード、クチャモンキーという敵キャラクターの名前だけは、なぜか鮮明に覚えていた。その顛末は、また別の機会に。

装置に近づくと、見張りらしき二人組に呼び止められた。

「チョットマテ、カッテ二ツカウンジャナイ」

レフト兄弟である。

......勝手に使うな、と至極まっとうな注意を受ける一行。

このレフト兄弟の存在は、当時の記憶からほぼ完全に抜け落ちていたらしい。Sからの指摘がなければ、そのまま忘れ去られていたキャラクターである。名前のモチーフはもちろんライト兄弟。「飛ぶ」というところに共感したのだろう。

一戦を交え、これを倒すと、レフト兄弟はあっさり使用を許可した。

「イイヨ......ノッテ......」

......許可を出すのは早い。

転送装置が起動し、一行は光に包まれる。

「うわぁぁぁ......!!!」

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