

第九幕 怒涛の展開、そして真の黒幕
たどり着いた先は、見覚えのある光景だった。
「......なんだ貴様は......我々の戦いに水を差すのは許されない。覚悟せよ!!!」
シャイニング婆とアルティメット爺。
......過去に戻ってきた。しかも、あの夫婦喧嘩の真っ最中に。
まさかの展開に、当の梅太郎自身も驚いているに違いない。過去へ戻る装置がここに直結しているとは、当時の制作者本人も予想していなかったようだ。制作者はおじいさんとおばあさんの喧嘩をどう止めるかというオチを考えておらず、最後は無理やりこじつけたのだ。某バトル漫画の成長した子供キャラ、某猫型ロボット、デロリアン。タイムマシン系のネタは豊富で、そこから話を広げていった。
なお、戻り先は家の中の棚の上。宝箱みたいなところから、梅太郎一行がゾロゾロ出てくる演出である。
そして激闘の末、ついに夫婦喧嘩は決着する。
「う、梅太郎!? なぜ成長しているんじゃ? さっき吹っ飛ばしたはずじゃ......まぁええ。助けてくれてありがとな」
......過去のおばあさんが、成長した梅太郎を見て戸惑いながらも声をかけてくる。
時系列の矛盾については、本人たちも深くは追及しないことにしたらしい。とにかく、長きにわたる夫婦喧嘩は、ここでようやく収束を見せた。
しかし、平和は長くは続かない。
「我々は四天王」
「エンマは我々四天王の中で最弱」
「あのお方のため、覚悟せよ!!」
とほ、りゃはく、まうかうねんと名乗る三人が現れる。
......とほ。名前が、そのまま「徒歩」である。
ネーミングセンスは斜め上を突き抜けており、もはや検証の余地もない。
なお、これらのキャラクターは聞き覚えがある人も多いかもしれないが、当時古典の教科書で出てきた、杜甫、李白、孟浩然である。読み方は、漢文の読み方をそのまま採用するガバガバな名前設定だ。
「く、無念」
三人はあっけなく倒れる。
......ちなみに、筆者はエンマも四天王の一人だと思い込んでいたのだが、Sによると、この後さらに「たのおほきみ(額田王)」というキャラクターが出てくるらしい。また、四天王の三人が出てくるのは、未来の鬼ヶ島の次らしい。もはや筆者も覚えていない。
ただ、わかるのは、当時四天王を入れたくて最後の最後に詰め込んだことだ。
夫婦喧嘩を鎮めたのも束の間、アルティメット爺がなぜかまだ立ち上がる。
「ワシは......ワシはまだ最終形態があるんじゃ!!!」
......何段階変身を残しているんだ、このおじいさん。
さらに激闘を繰り広げた末、ついに本物の英雄が力尽きる。
「すまない、長い間封印されて体力がなくなってこれ以上戦えない......」
英雄ナカシマである。
......散々「私が力になる」と頼もしいことを言っていたわりに、いざという肝心の場面で真っ先に脱落する。
そして、ついに真の黒幕が姿を現した。
「私の名前は、くないきゃう」
「よくも喧嘩を止めてくれたな......私の仕返しはこれで終わらせる訳にはいかない!! 覚悟せよ!!」
くないきゃう。古典でいくと宮内卿(くないきょう)。もはや古典猛者バトルである。
......夫婦喧嘩を止めたことに、これほど執念を燃やす敵。もはやこの物語で一番、夫婦の平和を心の底から憎んでいる存在かもしれない。
なお、ここまで戦闘内容がないのは、全然覚えてないからである。