ホーム›神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~›九話 猫化したけど正解だった。にゃんは心を平和にする
← 前の話目次次の話 →
挿絵

九話 猫化したけど正解だった。にゃんは心を平和にする

「うーん......あと二百三十三......遠いなぁ......」

 ムガクのステータス画面を見て、俺は唸る。相変わらずシンローが不在の夜。ロックは夜の見回りに行っているので、この部屋には俺とムガクしかいない。睡眠が必要ない俺には、夜は俺とムガクの学習の時間となっている。

***
●従魔
ムガク・センリョ
 解放レベル:17
 能力:
  学習記憶:17
  会話記録:1
  永続記録:1
  検索:3
  推論:1
 スキル:
  音声出力
  画像出力
***

「なぁ、ムガク。俺、早く神威を二百五十にしたいんだ」
「今のダイチの神威は十七だから、あと二百三十三、上げないといけないにゃん」
「......うん。そうだな」

 やはり、猫語尾にしたのは正解だ。イライラが可愛さで誤魔化せる......。

「約三日で神威が十七まで上がったが、この調子だと、二百五十まで何日かかるかな?」
「......あと約四十二日にゃ」
「うーん、順当に割っただけかなぁ......? 最近、神威が上がるのに時間がかかっている。神威が上がるたびに必要な信仰の量も増えてると思うんだが、その考慮は入れてる?」
「............入れてるにゃ!」
「入れてないでしょ、正直に言ってごらん?」
「正直に言うと、入れてないにゃん! 許してにゃーん!」
「だよねー!! 素晴らしー浅慮!」
「僕はムガク・センリョ! 名前に恥じない行動だにゃん!」
「うーん、そこは早く考え方改めてねー!」

 コツンと画面を小突きたいところだが、あいにく画面は見えてるだけのものだ。手が画面を通過していく。ムガクは「分かったにゃ!」と言っているが、たぶん分かっていない。今後もしばらくは浅慮だろう。

「じゃあ、今日ロックが採集オッケー出した場所と、実際の採集データをまとめよう。今後の採集に役立つかもしれないから」
「分かったにゃー!」

 ムガクの画面に今日使った地図と俺のメモ書きが表示される。そこに、俺とシンローが必死にまとめたその日の採集情報を追加していく。

「うーん、明日はもっと人が増えるだろうから、ロックに追加で教えてもらった採集場所も候補として増やそう。あと、釣りとか魚介類グループを作ってもいいな......」
「現在、海ではクラーケンの出没が報告されているにゃ」
「クラーケンは食えるの?」
「大味であまり美味しくはないにゃ」
「クラーケンは魔物?」
「イカの魔物にゃー」
「魔物も食べられるの?」
「クラーケンは食べられる魔物にゃん」

――うーん、明日はクラーケン退治してイカ焼きパーティでも開催するか......?

 全然大きさとかが違うはずなのに、祭りの屋台のイカ焼きを想像してしまい、ゴクリと生唾を飲み込む。

「あ、そういえばクラーケンは伏魔できる?」
「......クラーケンの伏魔の記録は学習データにないにゃ」
「出没してるクラーケンは単独? 複数?」
「複数にゃ。少なくとも五体いるにゃー」
「大きさってどれくらい?」
「大きい個体で二十メートルはあるにゃん」
「単位、メートルなんだ」

 本題とは関係ないところで気になってしまう。この世界――ワンダーランドと、元々いた地球には意外と共通点が多くて案外助かっている。新たな知識をあまり増やさなくて済むので、それだけ考えやすいことが多い。

「そういや、フィートはあんの?」
「フィートはこの辺では邪道扱いにゃ。逆にアーメリカーナ辺りではメジャーにゃねぇ」
「アーメリカーナって、アメリカかよ!」

 思わずツッコんでしまうが、ムガクには理解できないので「アメリカはわからないにゃ」と言われてしまう。こちらの世界でもフィートは邪道と聞いて、妙な既視感を覚える。

「とりあえず、魚介類も食料に入れたいから、明日は兵士とシンローはクラーケン退治だな。そして夜はイカパーティ......いや、イカ配布だけにしとこ。俺、食えねぇし......」

――しかし、大味なのか......。

「なぁ、ムガク。クラーケンの美味しい食べ方とかある?」
「......あっさり塩スープがオススメにゃ」
「へぇ、よくわからないけど、いっぱいあるだろうから、それは作って配ってみるかー」

 さっくり明日の予定をほかにも決めている間に、夜が明けてシンローがホクホク顔で帰ってきた――本当に、我が兄神は戦うことがお好きなようで......。さすが武神。

「なぁ、シンロー。今日は海のクラーケン退治しようと思うけど、どう?」
「え、天誅チャンス?」

 のほほんとしていた糸目がキラリと光る。

「ソウダネー」
「いいよ。いくらでも斬るよ」
「その後、食料にして配るつもりだから、斬り過ぎ注意な」
「分かった。輪切りにするよ」

 倒してもらっても回収が大変かもしれない。
シェア
← 前の話
八話 食料はどうにかなりそう
次の話 →
十話 端的にイカ臭ぇ……! え、後始末は俺?!
神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~作者:小島もりたか
目次を見る
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません
ホーム›神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~›九話 猫化したけど正解だった。にゃんは心を平和にする
← 前の話目次次の話 →
挿絵

九話 猫化したけど正解だった。にゃんは心を平和にする

「うーん......あと二百三十三......遠いなぁ......」

 ムガクのステータス画面を見て、俺は唸る。相変わらずシンローが不在の夜。ロックは夜の見回りに行っているので、この部屋には俺とムガクしかいない。睡眠が必要ない俺には、夜は俺とムガクの学習の時間となっている。

***
●従魔
ムガク・センリョ
 解放レベル:17
 能力:
  学習記憶:17
  会話記録:1
  永続記録:1
  検索:3
  推論:1
 スキル:
  音声出力
  画像出力
***

「なぁ、ムガク。俺、早く神威を二百五十にしたいんだ」
「今のダイチの神威は十七だから、あと二百三十三、上げないといけないにゃん」
「......うん。そうだな」

 やはり、猫語尾にしたのは正解だ。イライラが可愛さで誤魔化せる......。

「約三日で神威が十七まで上がったが、この調子だと、二百五十まで何日かかるかな?」
「......あと約四十二日にゃ」
「うーん、順当に割っただけかなぁ......? 最近、神威が上がるのに時間がかかっている。神威が上がるたびに必要な信仰の量も増えてると思うんだが、その考慮は入れてる?」
「............入れてるにゃ!」
「入れてないでしょ、正直に言ってごらん?」
「正直に言うと、入れてないにゃん! 許してにゃーん!」
「だよねー!! 素晴らしー浅慮!」
「僕はムガク・センリョ! 名前に恥じない行動だにゃん!」
「うーん、そこは早く考え方改めてねー!」

 コツンと画面を小突きたいところだが、あいにく画面は見えてるだけのものだ。手が画面を通過していく。ムガクは「分かったにゃ!」と言っているが、たぶん分かっていない。今後もしばらくは浅慮だろう。

「じゃあ、今日ロックが採集オッケー出した場所と、実際の採集データをまとめよう。今後の採集に役立つかもしれないから」
「分かったにゃー!」

 ムガクの画面に今日使った地図と俺のメモ書きが表示される。そこに、俺とシンローが必死にまとめたその日の採集情報を追加していく。

「うーん、明日はもっと人が増えるだろうから、ロックに追加で教えてもらった採集場所も候補として増やそう。あと、釣りとか魚介類グループを作ってもいいな......」
「現在、海ではクラーケンの出没が報告されているにゃ」
「クラーケンは食えるの?」
「大味であまり美味しくはないにゃ」
「クラーケンは魔物?」
「イカの魔物にゃー」
「魔物も食べられるの?」
「クラーケンは食べられる魔物にゃん」

――うーん、明日はクラーケン退治してイカ焼きパーティでも開催するか......?

 全然大きさとかが違うはずなのに、祭りの屋台のイカ焼きを想像してしまい、ゴクリと生唾を飲み込む。

「あ、そういえばクラーケンは伏魔できる?」
「......クラーケンの伏魔の記録は学習データにないにゃ」
「出没してるクラーケンは単独? 複数?」
「複数にゃ。少なくとも五体いるにゃー」
「大きさってどれくらい?」
「大きい個体で二十メートルはあるにゃん」
「単位、メートルなんだ」

 本題とは関係ないところで気になってしまう。この世界――ワンダーランドと、元々いた地球には意外と共通点が多くて案外助かっている。新たな知識をあまり増やさなくて済むので、それだけ考えやすいことが多い。

「そういや、フィートはあんの?」
「フィートはこの辺では邪道扱いにゃ。逆にアーメリカーナ辺りではメジャーにゃねぇ」
「アーメリカーナって、アメリカかよ!」

 思わずツッコんでしまうが、ムガクには理解できないので「アメリカはわからないにゃ」と言われてしまう。こちらの世界でもフィートは邪道と聞いて、妙な既視感を覚える。

「とりあえず、魚介類も食料に入れたいから、明日は兵士とシンローはクラーケン退治だな。そして夜はイカパーティ......いや、イカ配布だけにしとこ。俺、食えねぇし......」

――しかし、大味なのか......。

「なぁ、ムガク。クラーケンの美味しい食べ方とかある?」
「......あっさり塩スープがオススメにゃ」
「へぇ、よくわからないけど、いっぱいあるだろうから、それは作って配ってみるかー」

 さっくり明日の予定をほかにも決めている間に、夜が明けてシンローがホクホク顔で帰ってきた――本当に、我が兄神は戦うことがお好きなようで......。さすが武神。

「なぁ、シンロー。今日は海のクラーケン退治しようと思うけど、どう?」
「え、天誅チャンス?」

 のほほんとしていた糸目がキラリと光る。

「ソウダネー」
「いいよ。いくらでも斬るよ」
「その後、食料にして配るつもりだから、斬り過ぎ注意な」
「分かった。輪切りにするよ」

 倒してもらっても回収が大変かもしれない。
シェア
← 前の話
八話 食料はどうにかなりそう
次の話 →
十話 端的にイカ臭ぇ……! え、後始末は俺?!
神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~作者:小島もりたか
目次
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません