ホーム›神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~›八話 食料はどうにかなりそう
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挿絵AIで作った挿絵

八話 食料はどうにかなりそう

 さて、分担をしようかと、シンローに地図を持ってきてもらって広げてもらう。広範囲のものではなく、この周辺のみの地図だ。

「この世界はあんまり地図の精度が高くないんだな」
「日本には伊能忠敬がいたもんねー」
「あの人はやべぇよな」
「だよねー。この世界に召喚して地図を作り直してほしいくらいだ。もうとうに転生しちゃってるから無理だけど」
「じゃあ、この世界は正確な地図がないんだな?」
「まぁ、あるっちゃあるけど、みんな公表しないかな。軍事的な関係で。流出したら危ないし」
「戦争バリバリなんだな」
「そうだよー。ワクワクするよね」
「それは、しないな......」

 ロックが地図を指さして「ここはいい、ここはダメ」と言っていく。地図に直接書き込んで、採集場所の分担と場所を決めていく。

「ダイチ様、集まりましたー!」
「うぉ――えっ?!」

 ユタカの弾んだ声に顔を上げると、かなりたくさんの人間が集まっていた。ざっくり百人はいるのではないだろうか? この国の約三分の一の人間が集まったことになる。予想外の人数の多さにたじろいでしまう。

――いやいや、百人レベルの部下はさすがに回したことがねぇが!!

 ピコン

 また俺の神威が上がったが、それどころではないので内容は無視する。
 集まった人間は、期待半分、諦め半分といった具合の表情をしている。とりあえずまとめ上げなければいけない。人数が多くても、少なくても伝えることに変わりはないので、もう開き直るしかない。

「集まってくれて感謝する。これから、俺の従魔となったこのトロールと共に山へ食料を取りに行く。こいつみたいな小さなトロールは仲間だから攻撃しないでくれ。あと、トロール達の指示には絶対従うこと! この二つは最低限絶対守ってくれ!」

 ソワソワとするシンローを横目に、声をかけ合った者を中心にグループ分けをしていく。一グループ三名~十名程度で、合計十二グループに分けた。ロックに呼んでもらった手下を一人ずつ付けて、さっさと出発させる。

「家族連れも多いなぁ......」
「そりゃあ、ご飯問題で一番困るのは子どもがいる世帯だからね」
「まぁそうか......」
「ほらほら、僕らも行こうよ! 魔物や動物から国民を守らないとね!」

 鼻息が荒いシンローに引っ張られて空を飛ぶ。参加しなかった町人の暗い瞳が気にはなったが、気にしないようにした。

「おぉ、早速出てるねぇ!」

 シンローが声を弾ませながら風のように山の中に消えていく――戦闘好きすぎだろ。

「そこはダメ」とか「天誅!」とか「これはいい?」とか「天誅!」とか、あちこちで聞こえてくるのを上空から聞き分ける――神の耳という、新しいスキルの力だ。

――うんうん。今日は意外とトロールとの連携も好調だな。

 今日来た国民はトロールへの偏見より、食欲が勝った部類なので、しばらくはトロールと喧嘩も少ないだろう。問題は食糧危機と分かっていてもなお、理由がないのに動かなかった国民だが......。

――まぁ、なんとかなるだろ。

 近くのようで遠くから「天誅!」という声がよく響いた。

 初日の収穫は上々。シンローが狩ってくれた動物も食料に追加し、参加者同士で偏りが出ない程度に収穫物を配分する。あと、全体から少し徴収して、トロール達が集めてきた分も合わせ、参加できなかった者にも少しずつ配った。大層感謝された。

「久しぶりにお腹いっぱい食べられます!」

 籠いっぱいの食材を抱えて、ユタカが嬉しそうに笑った。みんなからのお礼は俺の神威に反映されて、二つほど神威が上がった。意外と好調なペースで上がっているのかもしれない。

「ダイチ様」

 帰り際、ノソノソと出てきた国王が俺を呼び止める。冠を頭に載せていなければ、ガタイだけがやたらといいマッチョな民間人にしか見えない。
 俺が「何?」と振り向くと、深く頭を下げた。

「久しぶりに国民の笑顔が見られました。魔物から救っていただいただけでなく、食料まで......本当にありがとうございます......」
「神として当たり前のことをしただけだよ」

 信仰なくなると消滅するからな。という言葉はそっと胸の内にしまっておく。

「明日は兵士達も参加できるかな? 今日取ってきたぶんは、参加者の家族の一日分くらいだから、ある程度落ち着くまでは総出でやった方がいいと思う」
「そうですね。あと、可能であれば、畑等の確保もしたいです」
「した方がいいな......何か育てられそうなのある?」
「小麦、芋類ならまだ種は残っています。時期を見て、米も始めたいですね」
「米あんの?!」

 食い気味の俺の反応に、国王は若干引く。ごめんって、ちょっとテンション上がっただけ......っていうか、俺、神だからご飯いらなかったわ......食の楽しみ......。

「やっぱりお米が美味しいよねぇ」

 シンローが俺の隣で頷いた。家のあちこちからいい匂いが漂い始める。こんないい匂いの中、何も食べられないなんて軽く拷問では?

(餓死で死ぬ神とか意味わからないでしょ?)
(いやいや、趣味として食べてぇよ?)
(残念ね。今の神威では無理ね)

――え? 神威上げたらいけんの?

「......なぁ、シンロー。神威が上がったら、ご飯とか食べられるようになんの?」
「あ、お米食べたくなった? なるよー。たしか神威二百五十くらいで解放だったかな」
「まじか!! 頑張る!」
「気合いが入るのいいねぇ。解放されたらお祝いにおにぎりで乾杯しようか」
「おう!」

 初めて神威を上げる理由が明確にできた。頑張るぞー!! 美味い飯のために!!挿絵AIで作った挿絵
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神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~作者:小島もりたか
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八話 食料はどうにかなりそう

 さて、分担をしようかと、シンローに地図を持ってきてもらって広げてもらう。広範囲のものではなく、この周辺のみの地図だ。

「この世界はあんまり地図の精度が高くないんだな」
「日本には伊能忠敬がいたもんねー」
「あの人はやべぇよな」
「だよねー。この世界に召喚して地図を作り直してほしいくらいだ。もうとうに転生しちゃってるから無理だけど」
「じゃあ、この世界は正確な地図がないんだな?」
「まぁ、あるっちゃあるけど、みんな公表しないかな。軍事的な関係で。流出したら危ないし」
「戦争バリバリなんだな」
「そうだよー。ワクワクするよね」
「それは、しないな......」

 ロックが地図を指さして「ここはいい、ここはダメ」と言っていく。地図に直接書き込んで、採集場所の分担と場所を決めていく。

「ダイチ様、集まりましたー!」
「うぉ――えっ?!」

 ユタカの弾んだ声に顔を上げると、かなりたくさんの人間が集まっていた。ざっくり百人はいるのではないだろうか? この国の約三分の一の人間が集まったことになる。予想外の人数の多さにたじろいでしまう。

――いやいや、百人レベルの部下はさすがに回したことがねぇが!!

 ピコン

 また俺の神威が上がったが、それどころではないので内容は無視する。
 集まった人間は、期待半分、諦め半分といった具合の表情をしている。とりあえずまとめ上げなければいけない。人数が多くても、少なくても伝えることに変わりはないので、もう開き直るしかない。

「集まってくれて感謝する。これから、俺の従魔となったこのトロールと共に山へ食料を取りに行く。こいつみたいな小さなトロールは仲間だから攻撃しないでくれ。あと、トロール達の指示には絶対従うこと! この二つは最低限絶対守ってくれ!」

 ソワソワとするシンローを横目に、声をかけ合った者を中心にグループ分けをしていく。一グループ三名~十名程度で、合計十二グループに分けた。ロックに呼んでもらった手下を一人ずつ付けて、さっさと出発させる。

「家族連れも多いなぁ......」
「そりゃあ、ご飯問題で一番困るのは子どもがいる世帯だからね」
「まぁそうか......」
「ほらほら、僕らも行こうよ! 魔物や動物から国民を守らないとね!」

 鼻息が荒いシンローに引っ張られて空を飛ぶ。参加しなかった町人の暗い瞳が気にはなったが、気にしないようにした。

「おぉ、早速出てるねぇ!」

 シンローが声を弾ませながら風のように山の中に消えていく――戦闘好きすぎだろ。

「そこはダメ」とか「天誅!」とか「これはいい?」とか「天誅!」とか、あちこちで聞こえてくるのを上空から聞き分ける――神の耳という、新しいスキルの力だ。

――うんうん。今日は意外とトロールとの連携も好調だな。

 今日来た国民はトロールへの偏見より、食欲が勝った部類なので、しばらくはトロールと喧嘩も少ないだろう。問題は食糧危機と分かっていてもなお、理由がないのに動かなかった国民だが......。

――まぁ、なんとかなるだろ。

 近くのようで遠くから「天誅!」という声がよく響いた。

 初日の収穫は上々。シンローが狩ってくれた動物も食料に追加し、参加者同士で偏りが出ない程度に収穫物を配分する。あと、全体から少し徴収して、トロール達が集めてきた分も合わせ、参加できなかった者にも少しずつ配った。大層感謝された。

「久しぶりにお腹いっぱい食べられます!」

 籠いっぱいの食材を抱えて、ユタカが嬉しそうに笑った。みんなからのお礼は俺の神威に反映されて、二つほど神威が上がった。意外と好調なペースで上がっているのかもしれない。

「ダイチ様」

 帰り際、ノソノソと出てきた国王が俺を呼び止める。冠を頭に載せていなければ、ガタイだけがやたらといいマッチョな民間人にしか見えない。
 俺が「何?」と振り向くと、深く頭を下げた。

「久しぶりに国民の笑顔が見られました。魔物から救っていただいただけでなく、食料まで......本当にありがとうございます......」
「神として当たり前のことをしただけだよ」

 信仰なくなると消滅するからな。という言葉はそっと胸の内にしまっておく。

「明日は兵士達も参加できるかな? 今日取ってきたぶんは、参加者の家族の一日分くらいだから、ある程度落ち着くまでは総出でやった方がいいと思う」
「そうですね。あと、可能であれば、畑等の確保もしたいです」
「した方がいいな......何か育てられそうなのある?」
「小麦、芋類ならまだ種は残っています。時期を見て、米も始めたいですね」
「米あんの?!」

 食い気味の俺の反応に、国王は若干引く。ごめんって、ちょっとテンション上がっただけ......っていうか、俺、神だからご飯いらなかったわ......食の楽しみ......。

「やっぱりお米が美味しいよねぇ」

 シンローが俺の隣で頷いた。家のあちこちからいい匂いが漂い始める。こんないい匂いの中、何も食べられないなんて軽く拷問では?

(餓死で死ぬ神とか意味わからないでしょ?)
(いやいや、趣味として食べてぇよ?)
(残念ね。今の神威では無理ね)

――え? 神威上げたらいけんの?

「......なぁ、シンロー。神威が上がったら、ご飯とか食べられるようになんの?」
「あ、お米食べたくなった? なるよー。たしか神威二百五十くらいで解放だったかな」
「まじか!! 頑張る!」
「気合いが入るのいいねぇ。解放されたらお祝いにおにぎりで乾杯しようか」
「おう!」

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