ホーム›神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~›六話 思ってた伏魔と違うんですが?
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挿絵AIで作った挿絵

六話 思ってた伏魔と違うんですが?

 ギロリ、と音がしそうな程の眼力でトロールが俺を睨む。

(――なぜ?)

 トロールは俺に従わない。え? 伏魔ってスキルって存在するの? 起動してないの??
 そうしている間にもシンローはもの凄い笑顔でトロール達を切り伏せていく。子分は残り六体。

「お前ら、このままだと全滅させられるぞ?」
(問題ない。我等は山を護るのみ)
「みろ、あとお前含めて五体しかいねぇぞ?」
(我等が朽ちようとも、別の我等が山を護る)
「なんでそんなに山を護りたいんだ?」
(山はマナの源......山を護る、世界を護る......)
「あー、なるほど?」

 こいつら的には人間を倒すことが、世界を護ることに繋がっているのか。ついでに、人間はこいつらの世界を荒らしてるって認識っぽいな?

「お前らが追い出そうとしている人間なんて、倒しても追い出してもどっかから湧いて出てくるだろ?」
(そうだ......とても、邪魔)

「天誅!」

 残りトロールは三体。全て斬り殺している訳じゃないだろうが、何故だか冷や汗が流れる。
 これが正しい従魔の方法かは分からない。ただ、今の俺には対話しか方法が見つからなかった――いや、教えろよクソ上司。

「どんどん湧いてくるなら、元を断とうぜ」
(元を断つ......?)
「一緒に暮らしていないから、山が荒らされるって腹が立つんだよ。だから、一緒に暮らして――そして指導したらいい。山が荒れない方法を」

「天誅!」
 ドシン――あと二体。

(......よく分からない)
「まだよく分からなくていい。けど、俺に着いてこいよ。人間を殺すより、人間と一緒に山を護りながら育てようぜ!」
(山を、育てる......)

「天誅!」
「あがァァァ」
 ドシン――あと一体。

 勢い余って本当に殺してしまいそうだ。だってすっごい楽しそうに目がギラギラしてんだもん......怖いっ!

 トロールが悩む姿が非常に焦れったい。お前ら殺されそうだからっ! 早く折れて!

 そして、ゆっくりとトロールが頷いた。ちょうど最後のトロールが倒れた瞬間だった。チャキリとトロールの脇腹に刃が光る。

「シンロー、ストップ! ストップ!!」
「天――あぁ、もう最後だったんだ。残念」

 シンローがスラリと刀を鞘にしまう姿を見て、大きなため息がこぼれた。

(わかった、お前についていこう......)

 トロールの言葉と共に、俺の目の前に黄色い透き通った画面が展開される。

―――――
トロールが従魔になります。
名前を決定してください。
―――――

「おぉ、良かったね。伏魔成功だよ。さっさと名前をつけてあげてね」
「えーっと......うーん......じゃあ、『ロック』はどうだ?」
(ロック......いい名前。ありがとう)

―――――
従魔が増えました(2/50)
名前:ロック
種族:トロール
―――――

 そして、画面の表示と共にロックが消えた。

「え? どこいった?」
「ココ、ココにいる」
「おっ、ちっこくなったねぇ!」

 辺りを見渡すと、ロック以外のトロールもみんな三十センチ程度の丸岩に手足が生えた生き物に変貌していた。

「なんでこんな弱そうになったの?!」

 トロールに村おこしの手伝いをしてもらえたら便利かとか企んでいたのに、こんなチビチビではちょっとしか戦力にならないではないか......!

「ダイチの神威と同期するようになったからねぇ......子分達はロックの力と同期してたみたいだし」
「えぇ......」
「神威が一じゃなくて良かったねー。一だったら、ただの岩だったかも?」
「え? そうなの?」

 ロックに問いかけるが、ロックは可愛らしく身体を捻るだけだ――そう、まだ頭から手足が生えた状態だ。

「我等は元々岩であった――そうかもしれぬ」

 つぶらな目をパチパチさせながら、ロックは言った。

「さぁて、一旦帰りますかー」

 シンローから先程の切り裂き魔の様相はなくなり、いつもの胡散臭い、のんびり風の爽やかな雰囲気が戻る。

「......こいつら全部どうすんの?」
「あー、子分達? どうしようねぇ?」
「周辺の警備してもらう? 魔物って通知以外にも攻めてくるか?」
「今回みたいな大きいのは通知来たりするけど、二、三匹とか少ないのはないよ。だから、警備してもらうと場所も取られないし、一石二鳥だね」
「ロック、頼んだ」
「了承した」

 ロックが子分たちの前に立つと、シンローに切り伏せられて散らばっていたちびトロール達が集まってくる。何か声をかけると、ちび達は散らばって行った。

「......なぁ、伏魔ってもっと簡単なものだと思ってたけど、毎回あんな交渉しないといけないの?」
「あー、なんかやり取りしてたね? そうなんじゃない?」
「えー、なんかこう......もっと格好いい方法とかさぁ......」
「神威が上がればなんか変わるかもよ」
「あー、頑張ります」

 肩を落とすと、シンローに笑いながら背中を叩かれた。激励のつもりだったのか、戦闘の余韻か、力が強すぎて俺は吹っ飛んだ――シンロー!!


***
ダイチ・コヤーマ・ビッジョ
 神威:7
 信仰:83
 権能:従魔
 ステータス:新生神
 不敬:12pt

●従魔
ムガク・センリョ
 解放レベル:7
 能力:記憶・検索

ロック
 解放レベル:5
 能力:擬態、怪力
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神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~作者:小島もりたか
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六話 思ってた伏魔と違うんですが?

 ギロリ、と音がしそうな程の眼力でトロールが俺を睨む。

(――なぜ?)

 トロールは俺に従わない。え? 伏魔ってスキルって存在するの? 起動してないの??
 そうしている間にもシンローはもの凄い笑顔でトロール達を切り伏せていく。子分は残り六体。

「お前ら、このままだと全滅させられるぞ?」
(問題ない。我等は山を護るのみ)
「みろ、あとお前含めて五体しかいねぇぞ?」
(我等が朽ちようとも、別の我等が山を護る)
「なんでそんなに山を護りたいんだ?」
(山はマナの源......山を護る、世界を護る......)
「あー、なるほど?」

 こいつら的には人間を倒すことが、世界を護ることに繋がっているのか。ついでに、人間はこいつらの世界を荒らしてるって認識っぽいな?

「お前らが追い出そうとしている人間なんて、倒しても追い出してもどっかから湧いて出てくるだろ?」
(そうだ......とても、邪魔)

「天誅!」

 残りトロールは三体。全て斬り殺している訳じゃないだろうが、何故だか冷や汗が流れる。
 これが正しい従魔の方法かは分からない。ただ、今の俺には対話しか方法が見つからなかった――いや、教えろよクソ上司。

「どんどん湧いてくるなら、元を断とうぜ」
(元を断つ......?)
「一緒に暮らしていないから、山が荒らされるって腹が立つんだよ。だから、一緒に暮らして――そして指導したらいい。山が荒れない方法を」

「天誅!」
 ドシン――あと二体。

(......よく分からない)
「まだよく分からなくていい。けど、俺に着いてこいよ。人間を殺すより、人間と一緒に山を護りながら育てようぜ!」
(山を、育てる......)

「天誅!」
「あがァァァ」
 ドシン――あと一体。

 勢い余って本当に殺してしまいそうだ。だってすっごい楽しそうに目がギラギラしてんだもん......怖いっ!

 トロールが悩む姿が非常に焦れったい。お前ら殺されそうだからっ! 早く折れて!

 そして、ゆっくりとトロールが頷いた。ちょうど最後のトロールが倒れた瞬間だった。チャキリとトロールの脇腹に刃が光る。

「シンロー、ストップ! ストップ!!」
「天――あぁ、もう最後だったんだ。残念」

 シンローがスラリと刀を鞘にしまう姿を見て、大きなため息がこぼれた。

(わかった、お前についていこう......)

 トロールの言葉と共に、俺の目の前に黄色い透き通った画面が展開される。

―――――
トロールが従魔になります。
名前を決定してください。
―――――

「おぉ、良かったね。伏魔成功だよ。さっさと名前をつけてあげてね」
「えーっと......うーん......じゃあ、『ロック』はどうだ?」
(ロック......いい名前。ありがとう)

―――――
従魔が増えました(2/50)
名前:ロック
種族:トロール
―――――

 そして、画面の表示と共にロックが消えた。

「え? どこいった?」
「ココ、ココにいる」
「おっ、ちっこくなったねぇ!」

 辺りを見渡すと、ロック以外のトロールもみんな三十センチ程度の丸岩に手足が生えた生き物に変貌していた。

「なんでこんな弱そうになったの?!」

 トロールに村おこしの手伝いをしてもらえたら便利かとか企んでいたのに、こんなチビチビではちょっとしか戦力にならないではないか......!

「ダイチの神威と同期するようになったからねぇ......子分達はロックの力と同期してたみたいだし」
「えぇ......」
「神威が一じゃなくて良かったねー。一だったら、ただの岩だったかも?」
「え? そうなの?」

 ロックに問いかけるが、ロックは可愛らしく身体を捻るだけだ――そう、まだ頭から手足が生えた状態だ。

「我等は元々岩であった――そうかもしれぬ」

 つぶらな目をパチパチさせながら、ロックは言った。

「さぁて、一旦帰りますかー」

 シンローから先程の切り裂き魔の様相はなくなり、いつもの胡散臭い、のんびり風の爽やかな雰囲気が戻る。

「......こいつら全部どうすんの?」
「あー、子分達? どうしようねぇ?」
「周辺の警備してもらう? 魔物って通知以外にも攻めてくるか?」
「今回みたいな大きいのは通知来たりするけど、二、三匹とか少ないのはないよ。だから、警備してもらうと場所も取られないし、一石二鳥だね」
「ロック、頼んだ」
「了承した」

 ロックが子分たちの前に立つと、シンローに切り伏せられて散らばっていたちびトロール達が集まってくる。何か声をかけると、ちび達は散らばって行った。

「......なぁ、伏魔ってもっと簡単なものだと思ってたけど、毎回あんな交渉しないといけないの?」
「あー、なんかやり取りしてたね? そうなんじゃない?」
「えー、なんかこう......もっと格好いい方法とかさぁ......」
「神威が上がればなんか変わるかもよ」
「あー、頑張ります」

 肩を落とすと、シンローに笑いながら背中を叩かれた。激励のつもりだったのか、戦闘の余韻か、力が強すぎて俺は吹っ飛んだ――シンロー!!


***
ダイチ・コヤーマ・ビッジョ
 神威:7
 信仰:83
 権能:従魔
 ステータス:新生神
 不敬:12pt

●従魔
ムガク・センリョ
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 能力:記憶・検索

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