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今までの状況確認ではなく、今後の為の情報を擦り合わせた。といってもほぼ歩とキアラ情報なんだけど。
「ミノタウロスは、一人犠牲にすれば必ず越えられる仕様だ。」
「成程、二場さんらしいセンスですね。」
ミノタウロスの伝説は、鎮魂祭の度に食事用の生贄として、若者を送り込んだというあらすじの神話だ。
「ここの番人ミノタウロスもえらい強いから、正面から戦わず、誰か一人を生贄にして。ミノタウロスの食事中に、進めば良い。一度食事を始めると、番人の役職を忘れ、食い終わるまで他の事はしないらしい。」
歩はこの一ヶ月の間にそこまでの情報に辿りついていたようだ。
それが正しい攻略法だとしたら随分胸糞悪い仕様である。
「何かを得る為には、それだけの対価を支払わないとならない。二場さんの信条ですからね。」
キアラがそのまま、「ですが――」と続ける。
「ミノタウロスの伝説に至っては、最後は勇気ある王子テセウスが仕留めています。臆病に誰かの命を差し出すか、勇気を示すか。試されている気もします。」
二場マニアのキアラが言うんだ。その選択肢は間違ってないのだろう。
「おれは後者派だね。」
ヒカミが続くと、歩が早く怪我を治せと返した。
「もう既に、ミノタウロスの部屋の地図まで全部作ってある。道順も間違えなければ、ここから2時間程で着く。テリトリーに入らなければ攻撃もしてこない。そこまで分かっているからこそ、改めて行けるメンツで調査しに行きたい。」
「まるでRPGだよな。ボスの部屋に入らないと次のイベントが発生しないのとか。」
と、今のレスはヒカミ。
「それこそが、二場さんのこの世界でわたしたちは試されている証拠ではないでしょうか?」
確かに。今のキアラの言葉は凄く納得出来た。この世界はあたしたちに負荷をかけたいだけなんだ。上手くいくのも手順があるのも、そう設計されていると思えば肚にストンと落ちて来る。
「樫山さん。大丈夫ですきっと。そもそもこの世界の特性上。元の次元に戻れば人間の姿に戻ると思います。今はその能力を有利なバフだと思って前向きに捉えて行きましょう。多分このまま進めば、どこかで樫山さんが人間の姿だったら越えられない何かが起こるはずです。」
そして、キアラは最後に付け加えた。
「全ては【条理】のままに。」