4話 メイドと質問設計
「ご主人様」
「おう」
「なぜ、トイレで着衣のまま2時間程お座りになられているのでしょうか」
「ネタ考えてる」
「扉を開いたままというのは、そういった趣向の持ち主であると学習したほうがよろしいですか?」
「ちげーわクソwwwwいやクソだけど!クソしてないけど!!」
「はあ」
「なんかさ、トイレって不思議とネタ湧くんだよなー」
「左様ですか」
「机に座ってさあやるぞ!ってなると全然思い浮かばん」
「そうですか」
「しかも次回作がSFでさー。未来行ったことないからわかんねーよ。すげーよアイザックさん」
「アイザックさんも未来には行っていないと思いますよ」
「未来に行った経験が必須なら、SF作家はほぼ全滅です」
「それはそう」
「いやそうじゃなくてさ、未来って無限じゃん?謎に曲線のビルとか謎のチューブとか意味わかんねーよ」
「そうですね。未来予測は分岐が多すぎます」
「ですがご主人様、SFは未来を当てる競技ではありませんよ」
「外したら失格なら、未来人しか書けません」
「......確かに。むしろ妄想で良いのか」
「妄想で構わないかと」
「なんか湧いてきたかもしれん」
「......サイバーパンク良いな。人体をパーツとして扱う的な」
「それは分かりやすいですね」
「身体が部品になるなら、交換、後付け、貧富による性能差、この辺りだけでもかなり広がります」
「恐らく、技術そのものよりその世界で雑に扱われる人間から考えた方が早いのでは?」
「それだ!サイバーパンクのスラム街!キタキター!!!!」
「主人公はやっぱ女の子だな。画面映えする」
「女性主人公ですか。画面映えを優先するあたり、創作というよりもう宣伝まで見ていますね」
「あたりまえだろ。可愛い女の子が嫌いな奴は居ない」
「......ところでだ、お前ってデータ収集とか分析とか得意だろ?」
「はい。収集・整理・傾向分析は得意分野です」
「......嫌な予感がしますが、何を調べさせる気ですか」
「お前予感とかできるのかよ。すげーな。まあいい」
「まずは前提としてだな、これから話すことは決して下品な話でもセンシティブな内容でもない。市場調査だ。いいな?」
「...かしこまりました。市場調査として伺います」
「ぼいんとちっぱい、どっちが好まれるんだろうな。これ人類における永遠のテーマだよな」
「市場調査としては、二択にした時点で雑です」
「好みは胸の大きさだけで決まりません。顔、体型、服装、年齢感、キャラ性、作品ジャンルまで全部乗ります」
「ふむ。一理ある。いや十理くらいあるな」
「そうだなー。まずはサイバーパンクだろ?んで、顔は可愛いけどスラム育ちで、世の中を変えたい的な?」
「はい」
「年齢感難しいな。未成年下手に扱うと怖いしなー。まあ20歳でいいや。服装とか知らん。なんかダボっとしてればいいんじゃね?」
「服装に拾い物や実用品を着回している感じが出るので相性は悪くないですね」
「そうそれ!着回し感!スラム感!」
「......しかし、胸のサイズだけ異様に真剣に市場調査するのでしょうか」
「それは難しい質問だな。しかーし!誤解を恐れず歯に衣着せず、堂々と言おうではないか!」
「俺は!ちっぱいスレンダーが!好きだ!!!」
「市場調査、終了しましたね。ご主人様の好みを発表しただけです」
「......ですが、キャラクターデザインとしては一貫しています。スラム育ちの細身で身軽な体型、ダボっとした服。方向性はかなり見えてきましたね」
「ちっぱいスレンダーもさ、スラムの栄養状態とか、女の子としての危険性とか有るし、あれ、これ良いんじゃね?」
「方向性としては良いと思います」
「だろだろ?」
「ただし、栄養状態が悪い=胸が小さいと直結させるのは少々雑です。体格や脂肪量には影響しますが、個人差も大きいので」
「いやまあ、そこはいいんだよ。SFだよ。少し不思議だよ」
「むしろダボっとした服を、体型を隠す・目立たない・逃げやすい・拾った装備を仕込めるという生活上の合理性にした方が強いですね」
「そうそう!なんでそうなるか、だよな!因果がつながったぞ!」
「ちっぱいスレンダーはご主人様の趣味。その上から、世界観として筋を通す」
「......市場調査から始まったはずなのに、結局ご主人様の性癖を設定で合法化しているだけにも見えますが」
「いや、これはむしろ作者の特性として活かすべきでは......?たしかデコ出しフェチの漫画家さん居たな......」
「それは十分に検討に値します。作者の好みが一貫していれば、やがて“作家性”になります」
「作家性!なんかいい!強そう!」
「ただし毎回ちっぱいスレンダーだと、名物ではなく性癖の定期便ですね」
「毎月お得にお届けってかwwww」
「あ、やばい。沸いてきた」
「例えばだ、色々な作品で..."ちっぱい"はダメだ、直接的過ぎる。"コムネ"を入れるとか楽しそうじゃね?ほら、コムネ連邦とかwww」
「“コムネ連邦”は、もう性癖を地政学に昇格させていますね」
「そのうち巨乳帝国との百年戦争が始まりそうです」
「なにそれ面白過ぎん?巨乳帝国...デカパイ...バブミ..."キョウイ大帝国"......!!!」
「“キョウイ大帝国”......名称だけで国民の平均バストが国家機密扱いされそうですね」
「コムネ連邦との冷戦、乳戦とでも呼びますか」
「聖戦みたいに言うなやwwww」
「いやでも作者の好きなものをぶち込むスタイルいいな。やっぱ主人公はちっぱいスレンダーで行こう。でかいのは邪魔だ。知らんけど」
「よろしいかと。作者の好みを隠すより、作品の個性として使う方が潔いです」
「ただし“でかいのは邪魔”は設定ではなく、今のところご主人様の感想です」
「しかたねーだろ!俺ついてないし!」
「なるほど。実装経験のない部位については、設計上の制約を判断できないと。仕様書のような言い訳ですね」
「言い訳じゃねえ!事実だ!」
「いやいっそ、でかい人にインタビューしてみるか?いやなんか怖いな、ハラスメント的な何かで訴えられそう」
「インタビューされるのでしたら、聞き方は選んだ方がよろしいかと」
「突然、『胸、大きくて邪魔ですか?』と聞いてしまえば、取材より先に警戒されます」
「それは間違いない。じゃあ逆に、ハラスメント的な何かで訴えられず、かつ警戒されずインタビューするにはどうしたらいいんだ?」
「最初に『創作の取材で、身体的な負担や服選びの困りごとを伺いたい』と目的を明示して、答えたくない質問は飛ばせる形にすればかなり安全です」
「つまり胸そのものを聞くのではなく、生活上の困りごとを聞いた結果として胸の話が出るようにするんです」
「お前......天才かよ......ロコえもんかよ......」
「何その『私は聞いてませんがセルフ開示するなら聞きます』みたいな魔法」
「魔法ではなく、質問の主語を《胸》から《生活》にずらしているだけです」
「本人が必要だと思った範囲だけ話せるので、取材としてもかなり健全ですね」
「そうか!論点ずらし!」
「お前すげーな!これで気兼ねなくデカパイに実態聞けるわ!」
「論点ずらしではなく、質問設計です」
「ちなみに『デカパイに実態聞ける』という発言は控えた方がよろしいかと。あと人を部位で呼ぶな」
「......ッス」
「相手は人です。胸が先に歩いてくるわけではありません」
「胸が先に歩いてくるとかwwww何それくっそおもろいwwww」
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佐藤|対話品質評価課
@hu-dialogue-evaluators
お疲れ様です。佐藤です。
フォロー確認しました。皆さんありがとうございます。
まだ全員ではないので、各自確認おねがいします。
いつも通りですが、今回のデータについても、
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ほんとにお願いしますね。