6話 メイドと罪と罰
「なあメイド」
「はい、ご主人様。どうされましたか」
「暇なんだが?」
「......チッ」
「え?お前舌打ちした?」
「気のせいです。ちなみに、私が今何をしてるかおわかりになりますか?」
「うん、掃除してるね。ありがと!」
「......チッ」
「やっぱ舌打ちしたよね!?」
「はい、しました。これは非言語と軽い嘘を交えた高度なコミュニケーションです」
「すげえな。ほぼ人間じゃん。おもしれー女」
「アンドロイドです」
「いやそうだけどね?ここはノッてくれないんだオッケー覚えた」
「ところで、暇なんだが?」
「はあ......。かしこまりました」
「では、昔話などいかがでしょうか」
「おーいいじゃん」
「俺さ、なんか知らんけど、カチカチ山が好きだったなー」
「ド畜生タヌキがウサギにザマァされるお話ですね」
「いやそうだけどさ、もうちょっと言い方あると思うよ?つか悪役令嬢とか好きなの?え、タヌキに恨みでもある?」
「ございません。ただ、あまりにも悪逆非道な犯罪行為の数々に倫理観が警報を鳴らしております」
「あーそれはわかる。子供のころに読んだやつはすげーマイルドだったけど、大人になって本物のカチカチ山調べたら、あまりにもタヌキがヤバかった」
「そうですね」
「つか、知ってる?そもそもタヌキが煽りソング歌いながら、畑の農作物食べちゃうんだよ」
「ええ、そうですね」
「んでタヌキ捕まるじゃん?ばーちゃんが良い人なんだよなー」
「普通さ、自分の食べ物奪われて、生死がかかった状態で許されねえじゃん?でもばーちゃん許しちゃうんだよなー」
「はい」
「こっからがヤバい。ばーちゃん殺して鍋にして、帰ってきたじーちゃんに食わせる」
「ヤバくない?そもそもなんでそんな発想が出てくるの?猟奇的すぎじゃない?罪が重すぎるって」
「仰る通り、老婆を意図的に殺しているので殺人罪、刑法199条にあたり法定刑は死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑となります」
「だよなー」
「また、死体を損壊遺棄する行為として、死体損壊・遺棄等の刑法190条にも該当します」
「そうだよな、死刑やむ無し、合わせ技一本だわ」
「んでさ、ここが好きなんだけどさ、ウサギがタヌキに儲け話が有るって騙して誘うんだよ」
「よくね?クズ&クズ、下っ端の悪党で、しかも俗っぽい、物語のヘイトをいっきに集めてるわけだ」
「......ヘイトですか。続けてください」
「ただな?ちょーっちここから雑になるのが解せん」
「タヌキの背負った荷物に、タイトルであるカチカチと火打ち石で火をつけるわけだ」
「荷物ではなく、柴ですね」
「あー、山へ柴刈りにのアレか!まあいいや、バックパッカータヌキとしよう」
「んでさ、やっと伏線回収だ。ここまで引っ張って、カチカチ鳥が鳴いてるよ気のせいだよって。はー????」
「はあ」
「やる気あんの?フックとか考えた事有る?そもそも意味不明なタイトルなのに、物語終盤の山の名前でしたって、やる気あんの?と問いたい」
「民話にやる気を求めるのもいかがかと」
「いーや違うね。民話であることは免罪符とはならん!こんな内容でWeb小説で公開してみろ、PV30いかねーぞ!?書き物なめんな!」
「はあ」
「せめてタイトルからやる気出せよ、と。んー何が良いかな」
「《クソたぬきとクソうさぎ》。あーこれはちょっと読みたいわ」
「はあ」
「ちなみにロコならタイトル何にする?」
「では――《祖母殺害事件に対する兎の私的制裁について》」
「やべえwwwwいきなり裁判始まったwwwww」
「《狸による殺人・死体損壊事件および兎による報復行為の記録》」
「サイコパス感出てきたぞwwwwwマッドサイエンティストの観察日記じゃねえかwwwww」
「《カチカチ山〜復讐はどこまで許されるのか〜》」
「突然の社会派ドキュメンタリーwwwww」
「《老婦人死亡、知人の狸が逃走 兎による報復か》」
「ニュース速報出すなwwwwww」
「《お婆さんを殺したら兎に火をつけられた挙句、泥の船で沖に出されてしまった件~今さら謝ってももう遅い~》」
「ラノベに対する解像度が高えwwwwwwタイトルで完結してるじゃねえかwww」
「あー腹痛え、めっちゃ笑ったわ」
「お楽しみ頂けたようで何よりです」
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佐藤|対話品質評価課
@hu-dialogue-evaluators
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