ホーム›百合の国のプリンセス♂›大好きな友達でアナタ
← 前の話目次次の話 →

大好きな友達でアナタ

 空中庭園での謎の召喚陣による王女襲撃事件から騎士団本部に戻った頃にはカチューシャのライカン状態も解除され、元(?)に戻っていた。
「なるほど、ベルメットさんの実の娘っていうのは本当なのね」
 そしてカチューシャがライカンである事情を根掘り葉掘り説明させられるたのであった。
「興奮すると力が制御できなくて耳や尻尾が出ちゃうからヒーラーになったと」
「仮にライカンでなくてもお母さんは私に前衛はさせなかったと思うけど...」
 カチューシャは興奮すると力が暴走まではなくとも、隠している耳や尻尾が出てきてしまうのである、今では不意に出てきてしまうことはないが、幼い頃はフード被って誤魔化していた。
「そして普段の生活でも抑えている力が溜まってしまうのですね」
「だから溜まり過ぎないよう一人で発散させてるんだけど...」
「「ほう、一人で発散...!」」
 ティアラとプリムがニヤニヤとその響きに反応する。
「ちょっちが! 変な意味じゃなくて!」
「ほー具体的にどういった感じに発散するのかなー?」
「だから! 誰もいないところで一晩中興奮が収まるまで...」
「「一晩中興奮が収まるまで!?」」
「だからそう言う意味じゃなくてー!」
 真っ赤になって否定するカチューシャの様子はむしろ二人には逆効果だった。


 百合の国のプリンセス♂#6 大好きな友達でアナタ
挿絵AIで作った挿絵


「お二人とも、からかうのはその辺に」
 ウィッグさんが戻ってきて二人をいさめてくれる。
 うぅ...私命の恩人なのになんでこんな扱い...黙ってた私が悪いんだけど...。
 でも結局、ライカンだから男だってことは気付いてもらえなかったな...、お母さんが私を女として育てたのもライカンが男しかいないからなんだけど...。まさか超珍しい女のライカンと思われるなんて...。
「確認がとれた、キミが力を発散させたところと、報告にあった何者かが暴れた場所は全く別の場所だ」
 先の報告が自分だと思ってたのはどうやら私の早とちりだったらしい。
「てことは、そこは召喚の実験場ってこと?」
「恐らくな。やはり何者かがこの国に敵意か悪意を持って活動しているのは間違いないようだ」
「うぅ...ゴメンナサイ...。私が勘違いしてなければ二人を危険な目に合わすことも無かったのに...」
 ちゃんと危険な存在がいることを警戒して、デートにも行かなかったかもしれない...。
「しかし、キミが一緒の時に襲撃を受けたのは幸いとも言えるな」
「王母様たちのデートの時に発生してたらと思うとゾッとしないわ」
 襲撃こそあったけど私がいたことで大事にならなかったのは、これも魔王の加護の力なのかな?
「私の方で調査は進めておくが、それ故に殿下の警護につくことができない。今後もキミにはできる限り殿下と一緒にいてもらいたい、構わないだろうか?」
「あ、はい。それはいいですけど...」
 私もティアラの事が心配だし、この力が助けになるなら尚更だ。ただこれ以上多くの人にライカンだとバレないか心配...。
「ありがたい、それとキミがライカンに付いてだが報告の都合上、王族と騎士団員、それとボンネットと共有する事になるが許してくれ」
「ふぇぇ!? そんな大勢に!?」
「四人でも大勢なんだ?」
「だって今までお母さんともう一人くらいにしか知られてなかったんだもん!」
 我ながらよく隠し通せたなぁとは思う...。今までは長く一箇所に留まらないから深い仲になる事が無かったおかげかもしれないけど。思えば唯一バレたのもセントラル防衛戦でだしなぁ...。


「あのぉ...王族と騎士団員は仕方ないですが、ボンネットさんには秘密にできませんか?」
 珍しくカチューシャがゴネている、よほどライカンである事に後ろめたさがあるらしい。
「あいつは宰相の代わりもしていてな...残念だが全部知られることになる」
「あの人仕事嫌がる割になんでもやってるね!?」
「むしろ王族の公務とか普段の仕事量が多いからメイドの仕事を嫌がるんですよあの人」
「なんでメイドやってるの!?」
「ぶっちゃけ今までは王族よりボンネットがこの国の政(まつりごと)やってたらしいからね、王母様は政治に熱心だからあの人に任せきりじゃないけど」
 ていうか政治に関してはボンネットが、軍事に関してはヅラがその気になればエルフ組に乗っ取られるわよねこの国。
「そもそもライカンである事知られたって、大して気にしないわよ」
 まぁ女のライカンってのは珍しがられるだろうけど。
「そりゃ二人は命を助けたしウィッグさんなら私くらい倒せるだろうけど、他の人はライカン怖がるだろうし...」
 あぁもう、シュンとしてるカチューシャ可愛すぎ! 今すぐ撫で回したい! という衝動は抑えて...そうか、カチューシャはこの国の常識知らないのか。
「えっと、カチューシャ? そもそもこの国の住人にライカンを怖がってるのなんて、殆どいないわよ?」
「へ?」
 ライカンは恐れられている、それは他の国の常識で、カチューシャの誤解だ。
「そもそもからして、因果関係が逆なのよ」
「えっと...どういう事?」
「ライカンは魔王に与して魔族になったから恐れらたんじゃなくて、他の種族の迫害から生き残るため、魔王に与したのよ」
「ほえ?」
 初めて聞くらしいライカンの事実にカチューシャがキョトンとしてる、さっき巨大な魔物をシュンコロした子と同一人物と思えないわね。
「初代国王の残した記録によると、ライカンは男しか産まれない魔物であるゴブリンと同一の性質のために魔物として他の種族から迫害を受けいたようだ」
「んで、種の存続のために魔王に与して力をつける必要があった訳」
「それでも...魔族になって、人間と敵対して、恐れられているのには変わり無いんじゃ?」
 まぁたしかに、事情はどうあれ魔族になったのは事実なんだけど。
「魔王討伐後、事情を知った初代国王は領土の一部を彼らの領地として与え、彼らの安寧を約束した」
「いつか言ってた、ライカンの里?」
「そう、そして何年かおきに子供を作るためにうちの国から“ライカンの母"を募集して送り、ライカンたちはそれらの見返りとしてこの国に何かあれば守護者として参じる、そういう盟約なのよ」
「それって生贄じゃ...」
 あーうん、今の説明じゃそう聞こえるか。
「まっさか! ライカンたちに女王様のように大事にされますから、国のノーマルな女たちは、こぞってライカンの母になりたがりますよ!」
「ライカンたちは小柄でイケメン揃いだしね」
 逆ハーレムってやつ? ライカンって精力旺盛でそれを複数相手にしなきゃいけないからエッチは相当大変らしいけどね。


「そういう訳で、うちの国ではライカンは恐怖の対象じゃないのよ」
 前にティアラからライカンへの恐れを感じなかったのはそういうことだったんだ...。お母さんが知ってたわけもないんだけど、私がこの国に来たのって運命だったのかも...。
「しかしライカンが里の外で子供を作るとは珍しい。しかもあの強さ、余程色濃く魔族としての血を残していると見える」
「みんなが私みたいじゃないんだ?」
 他のライカンに会った事なかったのはエルフ同様に里に籠もってるからみたいだけど、そのせいでライカンはみんな私みたいなものだと思ってた、そりゃ怖がれて当然だなって。
「父親のことは何か聞いてないの?」
「お父さんの事は聞いてもはぐらかすから聞かないようしてて...。お母さん私を産む前には既に名うての冒険者だったから、無理矢理にって事はないと思うんだけど...」
 私への愛情と過保護っぷりを見るに、望まないで産んだって事もないはずだし。
「アレほど魔族の血を残したライカンならばさしものベルメット殿も...と考えるのは流石に失礼か、先祖返りということもあるだろうしな」
 そういう可能性はあの人の子である私が一番考えたくないところだし...。
「誤解も解けたようだし、敵の正体も目的も不明だが宵闇の悪魔の脅威が無いというのは朗報だ、私はバレッタに情報を共有して調査に行くとしよう」
「帰ってきたばかりなのにホント仕事熱心ねアンタ」
 そもそもウィッグさんはお城に入れないから報告はバレッタさんに任せるしかないらしいのだけど、息付く暇もないなぁ。ティアラには私が一緒だから安心して出られるってことなのかもしれないけど。
「私がこの国にいるのも仕事熱心なのも魔王の加護のウチということだ。殿下もくれぐれも城内以外でお一人にならぬよう」
 そう言ってウィッグさんは忙しなく部屋を後にした。
「まずは王母様に言って暫く王城への出入り制限させなきゃね」
「そもそもがザル過ぎると思うのだけど...」
 美人と美少女はフリーパスて...。
「はぁ...でもよかった...ティアラに嫌われなくて...」
 結局男であることはますます言い出しにくくなった気がするけど、ライカンであることが受け入れられてひとまずホッとした。
 と、私が一息つくとティアラとプリムが顔を見合わせて怪しく笑った...。
「うーん、それはそれとしてー」
「黙ってたカチューシャ様にはペナルティが必要ですねぇ」
「えぇ!? でもライカン受け入られてる国なんだよねえ!?」
「それはそれー」
「コレはコレですぅ」
 たしかにライカンが受け入れられてる環境とはいえ力の暴走の事もあるし、それのせいで勘違いして危険な目に合わせたり...あ、ダメだ完全にペナルティ案件だ...。 
「うぅ...ペナルティって?」
 覚悟を決めて何やら企んでかつてないほど息の合ってる二人に尋ねる。なんかすごく嫌な予感がするけど命の恩人だし酷いことはされないはず...。
「「モフらせて!」下さいまし!」
 もふ!?
「え...えぇ...」
 うぅ、それくらいなら? お母さんにしか触られたことないから恥ずかしいけど...。
「わかりました、はい...」
 覚悟を決めて耳と尻尾を再び出して、スカートの後ろをたくし上げる。
「「ヒャッホー!」」
「ちょ!?」
 その瞬間、二人のケモノ...もといケダモノに私は襲い掛かられた。
「ちょ...まっ、せめて一人づつ...あっ、ダメ...」
 自分の身体のことなのに二人がかりの愛撫に身体がどうなってるかもわからなくて...
「待って! やっ...はげしっ...そこ敏感、あっ! あァっ!」
 耳と尻尾を隠したいのに触れられると身体が反応して全然引っ込まなくて...
「噛むの...ダメっ! 付け根のとこ弱いのっ...やんっ!」
 私の言葉はケダモノになった二人には届かないどころか逆効果で...
「やぁ...力抜けちゃ...こんなの知らなっ...あ、あ、あ、あぁっ!」
 あられもない声を出しながらケダモノ二人に耳と尻尾を小一時間もみくちゃにされたのでした...。(体感三時間...)
挿絵AIで作った挿絵



「いやー! ライカン娘サイコー!」
 小一時間カチューシャのモフりを堪能してプリムと共に自室に戻ってきた。
 いやもうホント、カチューシャヤバ過ぎエロ過ぎ可愛過ぎ、声も顔も完全っにトロットロにして終始嫌がり続けるとかどんだけこっちの劣情煽るのあの子! まぁ後の方はなんかプリムか気を利かせてくれたのか一人で楽しんじゃったけど。
 しかもモフってただけだからね!? 合法! 健全! 過失なし!
 これ以上好きになれないって思うくらい好きだったけど限界の天井三枚くらいぶち抜いたわ! 月まで行くわ! 天元突破だわ!
 溜まってた欲求不満もスッキリしたし、今夜は捗るなーコリャ、捗りすぎて寝られないかもしれない。
「カチューシャ様を堪能してお忘れのようですが、姫様命を狙われたんですよ」
「あー...そうだった、王母様たちにも話さなきゃ」
 ようやく溜まってた欲求の一部を発散できてスッカリ今日の大事件が忘却の彼方だった。我ながら命を狙われた王女の自覚を持たなきゃね。
「でもなぁ、母様過保護だから話を聞いたら外出禁止!とか言いそうなのよねぇ」
「王妃様なら言いそうですね」
「カチューシャのあの強さなら一緒にいれば平気...ていうのも、私たちは直にあれを見たからこそだしなぁ」
 あの可愛いカチューシャがあんな強いなんて、実際にみないと想像できないわね。
 と、妙に静かなプリムを見てみたら落ち込んでいるようだった。
「あ、プリムの護衛が信頼できないって訳ではなくてね?」
 思えばプリムは私の護衛なのにあの怪物相手に何もできなかった、落ち込むのも無理はないわよね...。
「その事について、お話があります」
「ど、どうしたの?」
 落ち込んでいるだけと思っていたのだけど、なんだかさっきからプリムがよそよそしい...。
「姫様、私との約束を破られましたよね?」
「約束...あー...あの...」
 "もしもの時は護衛の自分を見捨てて逃げる事“プリムが一人前になって、私のお付メイド兼ロイヤル・ガードになった時の約束だ。 「たしかに約束は破ったけど...私に親友を見捨てるなんて無理だし...」
 あの約束をした時を思い出す、あの時のプリムは本当に真剣だったのに...私は...。
「ごめん、プリムにはその覚悟があったのに、私はもしもの時なんか来ないだろうって軽い気持ちで約束しちゃってた」
 私は親友の覚悟を裏切ってしまったのだろうけど、でも本当に見捨てるなんてできなくて...。
「でもほら、こうしてみんな無事なわけだし...ね?」
 謝りつつも結果的にみんな助かったんだからよかったじゃんとプリムに笑いかけるが、いつになく真剣な表情は崩れない。
「えぇそうですね...。ですが、姫様は約束を破られました、ですので」
「うん?」
 この時まだ私は能天気にプリムの言葉を待っていて...
「本日を持って、姫様付きのメイド兼護衛をやめさせていただきます」
 プリムから想像しない言葉が飛びした。
「ちょ...なんで!? たしかに約束は破ったけど、そしたら私の護衛メイドをやめるなんて話では無かったよね!?」
 約束はした、けれど、その場合のペナルティや契約破棄はなかったはず。
「それともあの魔物から私を守れなかったことに責任を感じてるの!? あんなの規格外じゃん!」
 それこそロイヤル・ガードの中で一番強いメイド長にだって勝てるか疑問だ、プリムが負い目を感じるのような事じゃない。
「私では...」
 私の言葉に反論するでもなく、プリムは言葉を溜める...
「親友の私では、姫様を守れないからです!」
「そんな...」
「親友だから、私たちは幼馴染だから...姫様はあの時私を庇われてしまった...」
 見捨てられるはずないじゃん...
「王女がメイドを庇うよう事があってはいけないんです!」
「だって、大事な友達だよ!?」
「親友だからメイドを庇うというなら! 親友の私はアナタの盾になれないじゃないですか!!」
「っ...」
 涙を零しながらプリムは私に訴えた、私に王女としての自覚が足りないと責めるように...。
「ですから、私に姫様の護衛は勤まりません...」
「それは、そうだけど...何もお付きのメイドまでやめることは...」
「明日の朝までには後任のお付が決まると思います、私はこれで...」
「待って! プリム!」
 あのプリムがこんなことを言い出すなんて思えなくて...ようやく事態の重さに気がついた時はもう遅くて...
「最後に、友達として...こんなダメなメイドの私を庇ってくれた姫様の優しさは、嬉しかったですよ」
「プリム...!」
 私の静止を聞くこともなく、プリムは部屋を去ってしまった...。
 追いかける...? なんて言えばいいの? 私はプリムを、幼馴染で...親友で...主従であっても対等の関係だと...思い込んでいたんだ...。
「私の一方的な、信頼だったってこと...?」
 王女とメイドではなく、お互いただのティアラとプリムとして、仲良くしていると思っていた...。だけどそれは私の思い込みで...王女という立場の傲慢で...プリムにとって私は"王女“で、自分は"メイド“だった...。
 そんな事に今更気が付かされて...親友の覚悟を裏切り、一方的に寄せてた信頼を裏切られ...私にプリムにかける言葉なんてなかった...。


 ケダモノ二人から解放された私は息も絶え絶えになりながら王宮の自室にたどり着いて、ベッドに倒れ込んだ。
「うぅ...もうお嫁にいけない...」
 私あんなはしたない声出して...。いや男だから元々お嫁にはいけないんだけど...。
「ティアラ様が貰ってくれますよ」
「ボンネットさん...」
 どうやら部屋で待ってたらしいボンネットさんがクローゼットの部屋から出てくる。人がいるのにその気配(匂い)にも気付けないなんて今日はもうダメそう...。
「事情は伺いました、随分揉まれたようですね」
「それはもう物理的に...」
 後半はティアラ一人が楽しんで気もするけど感覚がめちゃくちゃだったからよくわかんない...。
「迂闊でしたね、この国のビアン方は皆テクニシャンですので、ライカン特有の耳尻尾に限らず体の何処かを自由にさせるのは危険ですよ」
「肝に銘じます...」
 そういう情報はもっと早く欲しかったです...。それとも私が秘密を隠すために世話係のボンネットさんを蔑ろにしてたせい?
「わたくしであれば、手指を自由にさせて頂くだけでも極上の体験へお誘いできますよ」
「手指だけで!?」
 300歳(以上)のエルフってそこまで極まるの!?
「お試しになさいますか?」
「けけけ結構です!」
 この国怖すぎる...。
「冗談です、ティアラ様のプリンセス候補には手を出しませんよ」
 以前もそう言ってたからボンネットさんは安心...していいのかなあ。
「わたくしはメイド一筋です」
「そのメイドへの拘りが今は返って安心です...」
 この人も大概危ない人だけど、ひとまず安心していいらしい。
「ところでカチューシャ様、わたくしからもペナルティを出させて頂いてよろしいですか?」
「ちょっ!? プリンセス候補には手を出さないじゃ!?」
 ベッドから飛び起きて身構える。安心した途端これなんだから!
「身構えないで下さいませ。秘密もなくなったことですし、これからはもう少しわたくしにお世話をさせて欲しいとお願いさせて頂きたく」
「あーそれは...まぁ...今までゴメンナサイ...」
 ホントはまだ特大の秘密が残ってるのだけど...、これ以上お世話を拒否るのはボンネットさんに悪いし怪しまれるし...。
「というかボンネットさん、最初は私に世話いらないとか言ってたような?」
 私がそのつもりだったとは言え、暗に床で寝ろとか言ってたよね?
「嫌がられるとやりたくなるのです」
 この人面倒くさい...。
「あの...早速ですけど下着の替えを用意して欲しいのだけど...」
 二人にもみくちゃにされて変な汗大量にかいたせいで下着が張り付いて気持ち悪い...ていうかもうどうなってるかわからないから確認するの怖いんだけど...。
「お召し物ですか...なるほど」
 そんな私の状態を察したのか...いや察しないで!?
「違うからね!? 汗で気持ち悪いだけですよ!?」
「大丈夫ですよ、どっちの汚れだとしてメイドの誇りにかけて綺麗に落として見せますから」
「どっちのってなに!? どっちでもないからね!?」
「そうですか、ではすぐに替えをご用意させていただきます」
 わかったのかわかってないのかボンネットさんはクローゼットの部屋へ着替えを取りに行った...と思ったらひょっこり顔をだして。
「それと、今後はわたくしのことは「ボンネット」と呼び捨てるようお願いします」
「はぁ...、気を付けます...」
 ちょっといい加減なように見えて、ちゃんとメイドとしてのプライドはあるんだなあと感心した。
 その後出てきた下着がガーター吊りソックスとレースのパンツで私は頭を抱えるのだった...。今日はもう寝よ...。


「ティアラ様、失礼します」
 翌日の朝、私はいつもと同じ時間のノックの音に目が覚める。ただ寝起きの感覚ではいつもと違う声には気が付かなくて...。
「んー...、おはようプリム」
「おはよう御座いますティアラ様、本日より私キャペリンがお付きをさせて頂きます」
「え、キャペリン?」
 部屋に入ってきたのは私お付のプリムではなく、そのプリムの母であり妻であり上司でもあるメイド長のキャペリンだった。
「あの子...プリムがティアラ様のお付足り得ないと言うことで私が代わりました」
 そうだった、昨日私はプリムと喧嘩して...約束を破ったことでお付きのメイドを辞められてしまったんだった。
「イヤでも、キャペリンはメイド長の仕事にメイドたちの鍛錬もあるんじゃ...」
 元々他所の国で部隊長だったキャペリンはこの国にはメイドたちを鍛える訓練長として移籍し、その傍らでメイドの仕事を学びメイド長となった。
「えぇ、ですからティアラ様には急ぎあの子と仲直りして頂きたい、私がお付きをやるのは暫定措置だ」
 なので時折騎士だか戦士だかの口調になるのはご愛嬌、緩いうちの国なのでそれも個性と気にしないでいる。
「私もできればそうしたいけど...プリムはなんて?」
 仲直りったって取り付く島もあるかどうか、なんて謝ればいいのかわからない。
「盾にしてもらえない自分では姫様のお付は務まらない、の一点張りで。全く誰に似たのかあの頑固者め」
 どうやら私に言った事と同じらしい。約束の話までしたかは分からないけど、護衛も兼ねるお付のメイドが盾になれないのでは務まらないのはその通りなわけで。
「まぁそこがまた、可愛らしくもあるのだが」
 なんで急に惚気たの?
「幸い暫くの謹慎ですから、私が城の外に出ることもないので他の仕事に大きく差し支える事はないだろう」
 母様たちに昨日の事件を報告したら案の定外出禁止となった。いつもなら抗議したところだけど昨日はプリムとの喧嘩のショックでそんな気力もなく、私は承諾して部屋に戻ったのだ。
「あーそうだった...母様も心配性なんだから...」
「王族の命が狙われるなど前代未聞のこと、母として心配されるのも無理もない」
「この国の王族は暗殺する意味ないしねー」
 王族の血が繋がってない事は勿論として、特に功績があるわけでもなければカリスマや政で国民からの人気が高いわけでもない。現王族に何かあれば、適当に継承権のある誰かにすげ変わるだけ。誰も継承権がないなら国内の領主やってる前国王王妃を呼び戻すだけ。貴族も元老院も評議会もないこの国の王族はお飾りみたいなもので、暗殺する意味なんてまるでないはずなのよね。
 まぁ、王母様はボンネットから政治のイロハを教わって街にもよく出て国民の声を聞き、政に積極的だから歴代の王族に比べたら人気や存在感はあるみたいだけど...ってそうよ。
「狙われてたのは私じゃなくて王母様じゃないの? 王母様の心配するべきよ」
 私を狙うのに空中庭園にトラップを仕掛けるなんておかしい、あのデートは急に決まったものだしそれを知る人も多くもなく、ましてやヅラの警護があった。
 逆に母様王母様のデート場所とはそこそこ知られていて、大抵はヅラの警護もない。
「勿論陛下も謹慎です。美女の刺客の場合も考えて暫くは謁見も行いません」
「うちのザルセキュリティでそうなってないって事は、犯人は男なのかしらね」
 それともこの国の事情にあまり詳しくないのかしら。
「あんまり納得もいかないけど暫くは大人しくしてるか、私もカチューシャを危ない目に遭わせたくはないし」
 いくら強いカチューシャでも不意打ちや奇襲となれば別だ、私のために危ない目に遭ってほしくはない...ヅラほど強けりゃ話も別だけど。
「そうですね。護衛のメイドを王女が庇うということも本来はあってはなりませんが...」
 母様たちにはその辺濁して報告したけど...やっぱり母親で嫁で上司のこの人には伝わるわよね...。
「あの子を庇って頂きありがとうございます。母として、お礼させて下さい」
「......」
 王女としての覚悟が無かった行動だけれど、キャペリンは私に感謝してくれて、少しだけ気持ちが楽になったのだった...。


「それで王宮内謹慎なんだ」
「ねーさまもおしろにユーヘイですわ!」
 事件から翌日、私はロリエルちゃんを離宮の自室であやしながらティアラの報告を聞いた。
「魔王の加護もあるっていうのに、心配性よね」
「ティアラは実際危ない目にあったんだから、仕方ないよ」
 私がいなくてもウィッグさんが間に合った可能性もあるけど、魔王の加護も完璧ではないのかもしれない。それこそあんなトラップにしたのは加護の穴を突いてのものなのかも。
「謹慎は私だけでカチューシャは違うんだから、外に出て仕事してもいいのよ?」
「うーん...そうなんだけど、ティアラを置いて一人でって気にはなれないかな」
「カチューシャったら...」
 この国にきたばかり頃なら気にせず仕事に行ってただろうけど、今は一人で仕事する気にもなれない。
「それにウィッグさんにティアラの事を頼まれたし...」
 王宮内とはいえ、私だってティアラの事が心配だ。
「いや流石に城の中なら安全でしょ」
「このお城に私より強い人いるの? ウィッグさんもお城の中に入れないのに」
「それは...」
「ひめねーさまキレイでおつよくてスゴイですの!」
 ちょっと生意気な発言だけど、私の知る限りこのお城...この国で私に勝てそうなのはウィッグさんくらいのものだと思う。ウィッグさんの入れないこのお城で私の側より安全なのころはないと思うの。
「それに私なら鼻も利くから、刺客の侵入と不意打ちにも対処できるよ」
「そう、それよそれ! カチューシャの気配探知ってライカンの鼻だったのね」
「うん、他のライカンもそうかは知らないけど、臭いで大体のことはわかるよ」
 私が得意としてる気配探知、実は魔法じゃなくてライカン特有の鼻を使ったものだ。だからモンスターの探知や警戒、匂いを追えば大抵の失せ物探し人探しはなんとかなるので冒険者生活でもとても役立っている。
「と言ってもゴースト系は匂いがしないからダメなんだけど...」
「なるほどなー、ライカンって知ると色々納得だわー」
 逆にこの鼻に頼って常に誰かの気配に敏感だから、それがわからないゴースト系がどうしても苦手なんだけど...。
「ん? じゃあ昨日の罠も仕掛けたヤツの臭い追えるんじゃ?」
「あそこは周りの花の香りがキツくて鼻が利かないから...」
 犯人の臭いがわかれば警戒もしやすいのだけど...先の実験場ならまだ臭いも残ってるかな? でもティアラを残して一人で調べに行くというのもなあ。
「ひめねーさまなんでもわかるんですの?」
「えぇ、私に隠し事はできないわよー」
 誰に会ったとかどこに行ってたとかも臭いで大体わかっちゃうんだから。
「わたくしカクシゴトなんてありませんからシンパイいりませんわ!」
「そう? ロリエルちゃんが夜中にこっそり食べてるオヤツの隠し場所とかわかっちゃうんだけどなー」
「あわわわわ!」
 棚に並べられたぬいぐるみの中から、ロリエルちゃんの口元からするクッキーと同じ臭いがする。それを指摘すると慌ててる姿がとても可愛い。
「カチューシャを嫁にしたら浮気とかできないわね...私はする気はないけどさ...」
「ふふふ。と言っても手当たり次第に鼻を利かせたりはしないけどね、プライベートは守るよ」
 なんでもかんでも知られるのは気持ちのいいことではないだろうし。
「カチューシャが言うなら大丈夫なんだろうけどさ...嘘はつかないように気を付けるわ...」
 ティアラは素直で正直だからその心配はないと思うけどね、嘘以前に話してない事は別として。
「それで、今朝はティアラからプリムの臭いがしないんだけど、何かあったの?」
「いや早速突っ込んでくるじゃん!?」
「気になる事は別だよ、ティアラから話してくれるの待ってたんだよ?」
 お付きのメイドとはいえ四六時中一緒にいる訳ではないけど、朝は必ずプリムの世話になってるはずだから、今日のプリムの臭いがティアラからしないのが気になった。
「プリムのことは...二人きりのときに話させてほしいな」
「うん、わかった」
 ロリエルちゃんに聞かせたくないのか、二人きりで話したいのか、後で話してくれるだろうからお昼すぎまでロリエルちゃんを構うことにした。
 ロリエルちゃんにも私の耳や尻尾を触りたいとねだられたけど、ボンネットさんの忠告もあったのでなんとかごまかして拒否!
 流石にロリエルちゃんなら大丈夫だとは思うけれど...その油断でこんな小さな子にわからされたら立ち直れないし...。


 ロリエルのお昼寝タイムになって寝かし付けてから、私とカチューシャは適当な空き部屋で二人きりになる。
「それで、プリムと喧嘩しちゃって...」
 そしてプリムとの顛末を説明した。喧嘩というか、一方的に別れを告げられたのだけど...。
「プリムはあれで結構メイドとしてのプライドがあったんだね」
 カチューシャが意外そうに言うけど、私だって意外だ。
「あのセクハラメイドがあんなに真面目だったとは私も思わなかったよ」
 そう言う関係だからこそ、私はもっと対等な関係だと思ってしまったんだけどさ...。
「昨日、私のことを弄んだティアラがそれいう?」
「あーそれはー...」
 カチューシが珍しく冷ややかな視線を向ける。うわ、めっちゃ気にしてた!
「アレはほら? プリムも一緒だったから悪ノリしちゃった的な?」
「後半一人で楽しんでたよね...」
「いやたしかに調子に乗ったところもあるけど...戦いのあとで昂ってたし?」
「戦ったの私なんだけど...」
 カチューシャの抗議が止まらない。うん、ごめん、正直その視線ゾクゾクします。
「カチューシャだってまんざらでもなかったし?」
「っ!」
 耳まで赤くなって何か言いたげだけど言葉が出なくて俯いてしまった。
 カチューシャマジたまんねぇ。
「こ、この話はもうおしまい!」
 私としては続けたいところだけど、あんまり調子乗るのも良くないので閑話休題としよう。
「約束を破った私が一方的に悪いから、私からはなんとも言えないんだけど...」
「ティアラは約束のこと覚えてたの?」
「正直忘れてたし、軽い気持ちで約束しちゃったから...」
 魔王の加護に加えて王族を狙う理由も無い国じゃ、もしもの時なんて来るとは思わないじゃん...。
「でも覚えてたとしても、私は二人を庇ったと思うな」
 王女として失格だとしても、そこは間違いなかったと思う。だからこそ私はあの約束をよく考えて受けなきゃいけなかったし、こんな私だからこそプリムは約束をしたのかもしれない。
「私もティアラならそうしたと思うよ」
「カチューシャ...ありがと」
 好きになったのがこの子でホントによかったなと改めて思う。そんな良い子を弄んでのはちょっと申し訳な...でもあれは全くの健全だしカチューシャもまんざらでもないようだし...。
「ティアラから邪念を感じる...」
「臭いでそこまでわかるの!?」
 ってなんか引かれてる!?
「臭いじゃなくて...冒険者の勘?」
 冒険者の危険感知凄いね!?
「とにかく、そういう事ならちゃんとプリムに謝って話さないと」
「うん、そうだね。私もお付がプリム以外だなんて考えられないし」
 カチューシャに話してよかった、今なら主としては無理でも友達として私のお付でいる事をお願いできそうな気がする。
 だけどプリムの方は昨日の今日で私と顔を合わせたくないのか、外の仕事に行ってるらしくその日に捕まえることはできなかった。


 そして翌日、王宮のロビーで他のメイドたちの真面目に掃除しているプリムを遠目から観察する私とティアラとボンネット。
「私たちの側にいないときのプリムは初めて見るけど、もしかしてプリムって普段は真面目?」
「プリムはアレでも戦闘を含めてメイドとしては一流ですからね、料理以外は」
 私やティアラの側にいるときのプリムはどこかおちゃらけた雰囲気があるけど、遠目から見るプリムの仕事ぶりは真面目そのものでなおかつ優秀、まるで別人だった。
「そういえば私たち以外にセクハラしてるとこも見ないわね? 根はやっぱり真面目なのかしら?」
 私は全部未然に防いでるけど、初日は油断したものの...。
「他のメイドたちとの仲は良好と聞いてますし、わたくしもされたことありませんね」
 まぁ実の母親と婚姻してる時点でかなりアレではあると思うのだけど...それともこの国で普通なのかな...。

 ―なお、当の本人は
 あーセクハラしてー!
 やっぱり姫様じゃ無いとセクハラしがいないわー。
 この子たちなー、セクハラしても「やーん♪」とか言って喜ぶんだものなー。
 違う、それは違うのよ、喜んじゃダメじゃん、それじゃハラスメントにならないじゃん。嫌がってくれないと! 喜ぶんならスキンシップじゃん、セクシャルなスキンシップになるだけじゃん!
 既にカップリングできてる子は嫌がってるくれるだろうけど相手がいる子に手を出すのはちょっとなー、揉め事になるのは避けたいですし。
 っぱなー、姫様じゃないとなー。姫様はいつだって嫌がってくれものなー。あと、カチューシャ様! セクハラは未然に防がれるけど私の変態行為に冷めた視線を向けてくれるのゾクゾクするわ! 堪らんわ!
 あー二人に嫌な顔されながらパンツ見せてもらいたいわー。
 ―その性根はガッツリ変態に染まっていた。挿絵AIで作った挿絵

「休憩に入りましたよ」
 暫くプリムを観察していると午前中の仕事を終えたらしいプリムがメイドたちから離れて一人になる。
 よし、話すなら今ね。
「プリム!」
「姫様っ!?」
 私は後ろからプリムの腕を掴むとそのまま空き部屋に驚くプリムと共に飛び込んだ。あとは外のボンネットとカチューシャが二人きりにしてくれるでしょう。
「姫様なんですかいきなり!」
「プリムごめん!」
 いきなりの私の連れ込みに抗議するプリムに、私は開口一番手を合わせて謝る。
「私、プリムとの約束忘れてた!」
「そんな事だと思いました、ですから...」
「でも私は!」
 取り付く島がなくならないように私はまくし立てる。
「例え覚えていても、プリムの事を庇ったから!」
「はぁ!? 私との約束端から守る気が無かったってことですか!? 何開き直ってるんですか!」
「だって、私が王女になれたのはプリムがいたからなんだから! プリムがずっと側いてくれたから私は王女でいられたの!」
 プリムがメイドになったときよりも古い思い出が蘇って、涙が溢れてくる。
「ちょっ...泣き脅しなんて...」
「プリムこそ、守ってよ! 王女である私の側に居てくれるって...王女とメイドになっても、ずっと友達だって!」
 そうだ私たちは、王女とメイドになるよりも前に、お互いどんな立場になってもずっと友達だって、約束したんだ。
「そうでしたね...主と従者である前に、私たちはズッ友でしたね...」
「友達だと思ってたのは私だけだったの?」
「いいえ、私は姫様のメイドで護衛で、友達です...」
 私だけじゃなかったと、プリムも友達だと思ってくれてた、だから、同じなんだ...。
「大事な人に庇われて失うのが怖かったんです...。それは姫様も同じなのに、私はメイドの立場を言い訳に姫様に押し付けて...」
「私こそ、ちゃんと考えずに約束をしてゴメン。そして改めて、言わせて」
 王女とメイド、その関係は変えられないけれど。
「私が王女であるために。私の側で、メイドとして、友達として、私を支えて」
「はい、このプリム、生涯を掛けて。アナタのメイドとして、友として、側で支えさせて頂きます...」
 プリムは私に跪いて、その手を取ってくれた。挿絵AIで作った挿絵


「雨降って地固まりましたね」
 部屋の中を覗いていたボンネットさんが扉を閉めて事の決着を告げる。
 メイドというより騎士のような誓いを経て、二人の絆はより強くなったように思えた。
「でも少し妬けちゃうなあ」
 ティアラとはまだ友達だけれど、友人としてはどうしたって敵わない絆を二人に見せられた気がして、少しだけ悔しかった。
「おや? カチューシャ様もようやくその気になられましたか?」
「違っ! 友達としてだよ!」
 ティアラに対する感情がどういうものかは、
まだ私にはわからなかった。


―一方、不死身の魔女マジェステは...。
「オーホッホッホ! 拠点も構えて魔物も従え、魔王様復活の準備は盤石ですわー!」
 どこかの洞窟の中に拠点を構え、多数の魔物に囲まれて高笑いを上げていた。
「従えるっつったって、俺らゴブリンじゃねーですか」
 魔物の中のリーダーである、魔女によってかしこくなり人語を解するゴブリンは言う。
「お黙り! しょうがないでしょ! 復活したらライカンたちと協力するつもりがアイツラあの国に抱き込まれてるじゃないですの!?」
「だからってゴブリンはねーでしょーよ」
「この国に他に碌な魔物がいないんですもの!」
 ここのゴブリンたちも山羊や鹿を相手にまったり繁殖して平和に暮らしていたので、ぶっちゃけ魔女の存在は迷惑でしなかった。
「いいからアナタはわたくしに従われてなさい! 賢いゴブリン!」
「へーへー、取り敢えず飯の支度にしますかねぇ」
 ゴブリンたちを統率するため唯一賢くなった彼だが、特に忠誠心とかはないのであった。
「また野草の煮込みはごめんですわよ!」
「文句があるなら町に行ってまともな食材アンタが買ってきて下せぇよ」
「ウン百年ぶりに復活したワタクシが現代の貨幣持ってるわけないでしょう!」
「じゃあ文句言わずあり合わせのものでガマンしてくだせぇ、どうせアンタ不死身なんだから食べなくても餓死しないでしょ」
「ムキー!」
 

 ―ユリゾンリリィに、危機が迫ろうとしていた?
シェア
← 前の話
人狼(ライカン)
次の話 →
ライバルは聖女様
百合の国のプリンセス♂作者:万能ねぎトロ
目次を見る
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません
ホーム›百合の国のプリンセス♂›大好きな友達でアナタ
← 前の話目次次の話 →

大好きな友達でアナタ

 空中庭園での謎の召喚陣による王女襲撃事件から騎士団本部に戻った頃にはカチューシャのライカン状態も解除され、元(?)に戻っていた。
「なるほど、ベルメットさんの実の娘っていうのは本当なのね」
 そしてカチューシャがライカンである事情を根掘り葉掘り説明させられるたのであった。
「興奮すると力が制御できなくて耳や尻尾が出ちゃうからヒーラーになったと」
「仮にライカンでなくてもお母さんは私に前衛はさせなかったと思うけど...」
 カチューシャは興奮すると力が暴走まではなくとも、隠している耳や尻尾が出てきてしまうのである、今では不意に出てきてしまうことはないが、幼い頃はフード被って誤魔化していた。
「そして普段の生活でも抑えている力が溜まってしまうのですね」
「だから溜まり過ぎないよう一人で発散させてるんだけど...」
「「ほう、一人で発散...!」」
 ティアラとプリムがニヤニヤとその響きに反応する。
「ちょっちが! 変な意味じゃなくて!」
「ほー具体的にどういった感じに発散するのかなー?」
「だから! 誰もいないところで一晩中興奮が収まるまで...」
「「一晩中興奮が収まるまで!?」」
「だからそう言う意味じゃなくてー!」
 真っ赤になって否定するカチューシャの様子はむしろ二人には逆効果だった。


 百合の国のプリンセス♂#6 大好きな友達でアナタ
挿絵AIで作った挿絵


「お二人とも、からかうのはその辺に」
 ウィッグさんが戻ってきて二人をいさめてくれる。
 うぅ...私命の恩人なのになんでこんな扱い...黙ってた私が悪いんだけど...。
 でも結局、ライカンだから男だってことは気付いてもらえなかったな...、お母さんが私を女として育てたのもライカンが男しかいないからなんだけど...。まさか超珍しい女のライカンと思われるなんて...。
「確認がとれた、キミが力を発散させたところと、報告にあった何者かが暴れた場所は全く別の場所だ」
 先の報告が自分だと思ってたのはどうやら私の早とちりだったらしい。
「てことは、そこは召喚の実験場ってこと?」
「恐らくな。やはり何者かがこの国に敵意か悪意を持って活動しているのは間違いないようだ」
「うぅ...ゴメンナサイ...。私が勘違いしてなければ二人を危険な目に合わすことも無かったのに...」
 ちゃんと危険な存在がいることを警戒して、デートにも行かなかったかもしれない...。
「しかし、キミが一緒の時に襲撃を受けたのは幸いとも言えるな」
「王母様たちのデートの時に発生してたらと思うとゾッとしないわ」
 襲撃こそあったけど私がいたことで大事にならなかったのは、これも魔王の加護の力なのかな?
「私の方で調査は進めておくが、それ故に殿下の警護につくことができない。今後もキミにはできる限り殿下と一緒にいてもらいたい、構わないだろうか?」
「あ、はい。それはいいですけど...」
 私もティアラの事が心配だし、この力が助けになるなら尚更だ。ただこれ以上多くの人にライカンだとバレないか心配...。
「ありがたい、それとキミがライカンに付いてだが報告の都合上、王族と騎士団員、それとボンネットと共有する事になるが許してくれ」
「ふぇぇ!? そんな大勢に!?」
「四人でも大勢なんだ?」
「だって今までお母さんともう一人くらいにしか知られてなかったんだもん!」
 我ながらよく隠し通せたなぁとは思う...。今までは長く一箇所に留まらないから深い仲になる事が無かったおかげかもしれないけど。思えば唯一バレたのもセントラル防衛戦でだしなぁ...。


「あのぉ...王族と騎士団員は仕方ないですが、ボンネットさんには秘密にできませんか?」
 珍しくカチューシャがゴネている、よほどライカンである事に後ろめたさがあるらしい。
「あいつは宰相の代わりもしていてな...残念だが全部知られることになる」
「あの人仕事嫌がる割になんでもやってるね!?」
「むしろ王族の公務とか普段の仕事量が多いからメイドの仕事を嫌がるんですよあの人」
「なんでメイドやってるの!?」
「ぶっちゃけ今までは王族よりボンネットがこの国の政(まつりごと)やってたらしいからね、王母様は政治に熱心だからあの人に任せきりじゃないけど」
 ていうか政治に関してはボンネットが、軍事に関してはヅラがその気になればエルフ組に乗っ取られるわよねこの国。
「そもそもライカンである事知られたって、大して気にしないわよ」
 まぁ女のライカンってのは珍しがられるだろうけど。
「そりゃ二人は命を助けたしウィッグさんなら私くらい倒せるだろうけど、他の人はライカン怖がるだろうし...」
 あぁもう、シュンとしてるカチューシャ可愛すぎ! 今すぐ撫で回したい! という衝動は抑えて...そうか、カチューシャはこの国の常識知らないのか。
「えっと、カチューシャ? そもそもこの国の住人にライカンを怖がってるのなんて、殆どいないわよ?」
「へ?」
 ライカンは恐れられている、それは他の国の常識で、カチューシャの誤解だ。
「そもそもからして、因果関係が逆なのよ」
「えっと...どういう事?」
「ライカンは魔王に与して魔族になったから恐れらたんじゃなくて、他の種族の迫害から生き残るため、魔王に与したのよ」
「ほえ?」
 初めて聞くらしいライカンの事実にカチューシャがキョトンとしてる、さっき巨大な魔物をシュンコロした子と同一人物と思えないわね。
「初代国王の残した記録によると、ライカンは男しか産まれない魔物であるゴブリンと同一の性質のために魔物として他の種族から迫害を受けいたようだ」
「んで、種の存続のために魔王に与して力をつける必要があった訳」
「それでも...魔族になって、人間と敵対して、恐れられているのには変わり無いんじゃ?」
 まぁたしかに、事情はどうあれ魔族になったのは事実なんだけど。
「魔王討伐後、事情を知った初代国王は領土の一部を彼らの領地として与え、彼らの安寧を約束した」
「いつか言ってた、ライカンの里?」
「そう、そして何年かおきに子供を作るためにうちの国から“ライカンの母"を募集して送り、ライカンたちはそれらの見返りとしてこの国に何かあれば守護者として参じる、そういう盟約なのよ」
「それって生贄じゃ...」
 あーうん、今の説明じゃそう聞こえるか。
「まっさか! ライカンたちに女王様のように大事にされますから、国のノーマルな女たちは、こぞってライカンの母になりたがりますよ!」
「ライカンたちは小柄でイケメン揃いだしね」
 逆ハーレムってやつ? ライカンって精力旺盛でそれを複数相手にしなきゃいけないからエッチは相当大変らしいけどね。


「そういう訳で、うちの国ではライカンは恐怖の対象じゃないのよ」
 前にティアラからライカンへの恐れを感じなかったのはそういうことだったんだ...。お母さんが知ってたわけもないんだけど、私がこの国に来たのって運命だったのかも...。
「しかしライカンが里の外で子供を作るとは珍しい。しかもあの強さ、余程色濃く魔族としての血を残していると見える」
「みんなが私みたいじゃないんだ?」
 他のライカンに会った事なかったのはエルフ同様に里に籠もってるからみたいだけど、そのせいでライカンはみんな私みたいなものだと思ってた、そりゃ怖がれて当然だなって。
「父親のことは何か聞いてないの?」
「お父さんの事は聞いてもはぐらかすから聞かないようしてて...。お母さん私を産む前には既に名うての冒険者だったから、無理矢理にって事はないと思うんだけど...」
 私への愛情と過保護っぷりを見るに、望まないで産んだって事もないはずだし。
「アレほど魔族の血を残したライカンならばさしものベルメット殿も...と考えるのは流石に失礼か、先祖返りということもあるだろうしな」
 そういう可能性はあの人の子である私が一番考えたくないところだし...。
「誤解も解けたようだし、敵の正体も目的も不明だが宵闇の悪魔の脅威が無いというのは朗報だ、私はバレッタに情報を共有して調査に行くとしよう」
「帰ってきたばかりなのにホント仕事熱心ねアンタ」
 そもそもウィッグさんはお城に入れないから報告はバレッタさんに任せるしかないらしいのだけど、息付く暇もないなぁ。ティアラには私が一緒だから安心して出られるってことなのかもしれないけど。
「私がこの国にいるのも仕事熱心なのも魔王の加護のウチということだ。殿下もくれぐれも城内以外でお一人にならぬよう」
 そう言ってウィッグさんは忙しなく部屋を後にした。
「まずは王母様に言って暫く王城への出入り制限させなきゃね」
「そもそもがザル過ぎると思うのだけど...」
 美人と美少女はフリーパスて...。
「はぁ...でもよかった...ティアラに嫌われなくて...」
 結局男であることはますます言い出しにくくなった気がするけど、ライカンであることが受け入れられてひとまずホッとした。
 と、私が一息つくとティアラとプリムが顔を見合わせて怪しく笑った...。
「うーん、それはそれとしてー」
「黙ってたカチューシャ様にはペナルティが必要ですねぇ」
「えぇ!? でもライカン受け入られてる国なんだよねえ!?」
「それはそれー」
「コレはコレですぅ」
 たしかにライカンが受け入れられてる環境とはいえ力の暴走の事もあるし、それのせいで勘違いして危険な目に合わせたり...あ、ダメだ完全にペナルティ案件だ...。 
「うぅ...ペナルティって?」
 覚悟を決めて何やら企んでかつてないほど息の合ってる二人に尋ねる。なんかすごく嫌な予感がするけど命の恩人だし酷いことはされないはず...。
「「モフらせて!」下さいまし!」
 もふ!?
「え...えぇ...」
 うぅ、それくらいなら? お母さんにしか触られたことないから恥ずかしいけど...。
「わかりました、はい...」
 覚悟を決めて耳と尻尾を再び出して、スカートの後ろをたくし上げる。
「「ヒャッホー!」」
「ちょ!?」
 その瞬間、二人のケモノ...もといケダモノに私は襲い掛かられた。
「ちょ...まっ、せめて一人づつ...あっ、ダメ...」
 自分の身体のことなのに二人がかりの愛撫に身体がどうなってるかもわからなくて...
「待って! やっ...はげしっ...そこ敏感、あっ! あァっ!」
 耳と尻尾を隠したいのに触れられると身体が反応して全然引っ込まなくて...
「噛むの...ダメっ! 付け根のとこ弱いのっ...やんっ!」
 私の言葉はケダモノになった二人には届かないどころか逆効果で...
「やぁ...力抜けちゃ...こんなの知らなっ...あ、あ、あ、あぁっ!」
 あられもない声を出しながらケダモノ二人に耳と尻尾を小一時間もみくちゃにされたのでした...。(体感三時間...)
挿絵AIで作った挿絵



「いやー! ライカン娘サイコー!」
 小一時間カチューシャのモフりを堪能してプリムと共に自室に戻ってきた。
 いやもうホント、カチューシャヤバ過ぎエロ過ぎ可愛過ぎ、声も顔も完全っにトロットロにして終始嫌がり続けるとかどんだけこっちの劣情煽るのあの子! まぁ後の方はなんかプリムか気を利かせてくれたのか一人で楽しんじゃったけど。
 しかもモフってただけだからね!? 合法! 健全! 過失なし!
 これ以上好きになれないって思うくらい好きだったけど限界の天井三枚くらいぶち抜いたわ! 月まで行くわ! 天元突破だわ!
 溜まってた欲求不満もスッキリしたし、今夜は捗るなーコリャ、捗りすぎて寝られないかもしれない。
「カチューシャ様を堪能してお忘れのようですが、姫様命を狙われたんですよ」
「あー...そうだった、王母様たちにも話さなきゃ」
 ようやく溜まってた欲求の一部を発散できてスッカリ今日の大事件が忘却の彼方だった。我ながら命を狙われた王女の自覚を持たなきゃね。
「でもなぁ、母様過保護だから話を聞いたら外出禁止!とか言いそうなのよねぇ」
「王妃様なら言いそうですね」
「カチューシャのあの強さなら一緒にいれば平気...ていうのも、私たちは直にあれを見たからこそだしなぁ」
 あの可愛いカチューシャがあんな強いなんて、実際にみないと想像できないわね。
 と、妙に静かなプリムを見てみたら落ち込んでいるようだった。
「あ、プリムの護衛が信頼できないって訳ではなくてね?」
 思えばプリムは私の護衛なのにあの怪物相手に何もできなかった、落ち込むのも無理はないわよね...。
「その事について、お話があります」
「ど、どうしたの?」
 落ち込んでいるだけと思っていたのだけど、なんだかさっきからプリムがよそよそしい...。
「姫様、私との約束を破られましたよね?」
「約束...あー...あの...」
 "もしもの時は護衛の自分を見捨てて逃げる事“プリムが一人前になって、私のお付メイド兼ロイヤル・ガードになった時の約束だ。 「たしかに約束は破ったけど...私に親友を見捨てるなんて無理だし...」
 あの約束をした時を思い出す、あの時のプリムは本当に真剣だったのに...私は...。
「ごめん、プリムにはその覚悟があったのに、私はもしもの時なんか来ないだろうって軽い気持ちで約束しちゃってた」
 私は親友の覚悟を裏切ってしまったのだろうけど、でも本当に見捨てるなんてできなくて...。
「でもほら、こうしてみんな無事なわけだし...ね?」
 謝りつつも結果的にみんな助かったんだからよかったじゃんとプリムに笑いかけるが、いつになく真剣な表情は崩れない。
「えぇそうですね...。ですが、姫様は約束を破られました、ですので」
「うん?」
 この時まだ私は能天気にプリムの言葉を待っていて...
「本日を持って、姫様付きのメイド兼護衛をやめさせていただきます」
 プリムから想像しない言葉が飛びした。
「ちょ...なんで!? たしかに約束は破ったけど、そしたら私の護衛メイドをやめるなんて話では無かったよね!?」
 約束はした、けれど、その場合のペナルティや契約破棄はなかったはず。
「それともあの魔物から私を守れなかったことに責任を感じてるの!? あんなの規格外じゃん!」
 それこそロイヤル・ガードの中で一番強いメイド長にだって勝てるか疑問だ、プリムが負い目を感じるのような事じゃない。
「私では...」
 私の言葉に反論するでもなく、プリムは言葉を溜める...
「親友の私では、姫様を守れないからです!」
「そんな...」
「親友だから、私たちは幼馴染だから...姫様はあの時私を庇われてしまった...」
 見捨てられるはずないじゃん...
「王女がメイドを庇うよう事があってはいけないんです!」
「だって、大事な友達だよ!?」
「親友だからメイドを庇うというなら! 親友の私はアナタの盾になれないじゃないですか!!」
「っ...」
 涙を零しながらプリムは私に訴えた、私に王女としての自覚が足りないと責めるように...。
「ですから、私に姫様の護衛は勤まりません...」
「それは、そうだけど...何もお付きのメイドまでやめることは...」
「明日の朝までには後任のお付が決まると思います、私はこれで...」
「待って! プリム!」
 あのプリムがこんなことを言い出すなんて思えなくて...ようやく事態の重さに気がついた時はもう遅くて...
「最後に、友達として...こんなダメなメイドの私を庇ってくれた姫様の優しさは、嬉しかったですよ」
「プリム...!」
 私の静止を聞くこともなく、プリムは部屋を去ってしまった...。
 追いかける...? なんて言えばいいの? 私はプリムを、幼馴染で...親友で...主従であっても対等の関係だと...思い込んでいたんだ...。
「私の一方的な、信頼だったってこと...?」
 王女とメイドではなく、お互いただのティアラとプリムとして、仲良くしていると思っていた...。だけどそれは私の思い込みで...王女という立場の傲慢で...プリムにとって私は"王女“で、自分は"メイド“だった...。
 そんな事に今更気が付かされて...親友の覚悟を裏切り、一方的に寄せてた信頼を裏切られ...私にプリムにかける言葉なんてなかった...。


 ケダモノ二人から解放された私は息も絶え絶えになりながら王宮の自室にたどり着いて、ベッドに倒れ込んだ。
「うぅ...もうお嫁にいけない...」
 私あんなはしたない声出して...。いや男だから元々お嫁にはいけないんだけど...。
「ティアラ様が貰ってくれますよ」
「ボンネットさん...」
 どうやら部屋で待ってたらしいボンネットさんがクローゼットの部屋から出てくる。人がいるのにその気配(匂い)にも気付けないなんて今日はもうダメそう...。
「事情は伺いました、随分揉まれたようですね」
「それはもう物理的に...」
 後半はティアラ一人が楽しんで気もするけど感覚がめちゃくちゃだったからよくわかんない...。
「迂闊でしたね、この国のビアン方は皆テクニシャンですので、ライカン特有の耳尻尾に限らず体の何処かを自由にさせるのは危険ですよ」
「肝に銘じます...」
 そういう情報はもっと早く欲しかったです...。それとも私が秘密を隠すために世話係のボンネットさんを蔑ろにしてたせい?
「わたくしであれば、手指を自由にさせて頂くだけでも極上の体験へお誘いできますよ」
「手指だけで!?」
 300歳(以上)のエルフってそこまで極まるの!?
「お試しになさいますか?」
「けけけ結構です!」
 この国怖すぎる...。
「冗談です、ティアラ様のプリンセス候補には手を出しませんよ」
 以前もそう言ってたからボンネットさんは安心...していいのかなあ。
「わたくしはメイド一筋です」
「そのメイドへの拘りが今は返って安心です...」
 この人も大概危ない人だけど、ひとまず安心していいらしい。
「ところでカチューシャ様、わたくしからもペナルティを出させて頂いてよろしいですか?」
「ちょっ!? プリンセス候補には手を出さないじゃ!?」
 ベッドから飛び起きて身構える。安心した途端これなんだから!
「身構えないで下さいませ。秘密もなくなったことですし、これからはもう少しわたくしにお世話をさせて欲しいとお願いさせて頂きたく」
「あーそれは...まぁ...今までゴメンナサイ...」
 ホントはまだ特大の秘密が残ってるのだけど...、これ以上お世話を拒否るのはボンネットさんに悪いし怪しまれるし...。
「というかボンネットさん、最初は私に世話いらないとか言ってたような?」
 私がそのつもりだったとは言え、暗に床で寝ろとか言ってたよね?
「嫌がられるとやりたくなるのです」
 この人面倒くさい...。
「あの...早速ですけど下着の替えを用意して欲しいのだけど...」
 二人にもみくちゃにされて変な汗大量にかいたせいで下着が張り付いて気持ち悪い...ていうかもうどうなってるかわからないから確認するの怖いんだけど...。
「お召し物ですか...なるほど」
 そんな私の状態を察したのか...いや察しないで!?
「違うからね!? 汗で気持ち悪いだけですよ!?」
「大丈夫ですよ、どっちの汚れだとしてメイドの誇りにかけて綺麗に落として見せますから」
「どっちのってなに!? どっちでもないからね!?」
「そうですか、ではすぐに替えをご用意させていただきます」
 わかったのかわかってないのかボンネットさんはクローゼットの部屋へ着替えを取りに行った...と思ったらひょっこり顔をだして。
「それと、今後はわたくしのことは「ボンネット」と呼び捨てるようお願いします」
「はぁ...、気を付けます...」
 ちょっといい加減なように見えて、ちゃんとメイドとしてのプライドはあるんだなあと感心した。
 その後出てきた下着がガーター吊りソックスとレースのパンツで私は頭を抱えるのだった...。今日はもう寝よ...。


「ティアラ様、失礼します」
 翌日の朝、私はいつもと同じ時間のノックの音に目が覚める。ただ寝起きの感覚ではいつもと違う声には気が付かなくて...。
「んー...、おはようプリム」
「おはよう御座いますティアラ様、本日より私キャペリンがお付きをさせて頂きます」
「え、キャペリン?」
 部屋に入ってきたのは私お付のプリムではなく、そのプリムの母であり妻であり上司でもあるメイド長のキャペリンだった。
「あの子...プリムがティアラ様のお付足り得ないと言うことで私が代わりました」
 そうだった、昨日私はプリムと喧嘩して...約束を破ったことでお付きのメイドを辞められてしまったんだった。
「イヤでも、キャペリンはメイド長の仕事にメイドたちの鍛錬もあるんじゃ...」
 元々他所の国で部隊長だったキャペリンはこの国にはメイドたちを鍛える訓練長として移籍し、その傍らでメイドの仕事を学びメイド長となった。
「えぇ、ですからティアラ様には急ぎあの子と仲直りして頂きたい、私がお付きをやるのは暫定措置だ」
 なので時折騎士だか戦士だかの口調になるのはご愛嬌、緩いうちの国なのでそれも個性と気にしないでいる。
「私もできればそうしたいけど...プリムはなんて?」
 仲直りったって取り付く島もあるかどうか、なんて謝ればいいのかわからない。
「盾にしてもらえない自分では姫様のお付は務まらない、の一点張りで。全く誰に似たのかあの頑固者め」
 どうやら私に言った事と同じらしい。約束の話までしたかは分からないけど、護衛も兼ねるお付のメイドが盾になれないのでは務まらないのはその通りなわけで。
「まぁそこがまた、可愛らしくもあるのだが」
 なんで急に惚気たの?
「幸い暫くの謹慎ですから、私が城の外に出ることもないので他の仕事に大きく差し支える事はないだろう」
 母様たちに昨日の事件を報告したら案の定外出禁止となった。いつもなら抗議したところだけど昨日はプリムとの喧嘩のショックでそんな気力もなく、私は承諾して部屋に戻ったのだ。
「あーそうだった...母様も心配性なんだから...」
「王族の命が狙われるなど前代未聞のこと、母として心配されるのも無理もない」
「この国の王族は暗殺する意味ないしねー」
 王族の血が繋がってない事は勿論として、特に功績があるわけでもなければカリスマや政で国民からの人気が高いわけでもない。現王族に何かあれば、適当に継承権のある誰かにすげ変わるだけ。誰も継承権がないなら国内の領主やってる前国王王妃を呼び戻すだけ。貴族も元老院も評議会もないこの国の王族はお飾りみたいなもので、暗殺する意味なんてまるでないはずなのよね。
 まぁ、王母様はボンネットから政治のイロハを教わって街にもよく出て国民の声を聞き、政に積極的だから歴代の王族に比べたら人気や存在感はあるみたいだけど...ってそうよ。
「狙われてたのは私じゃなくて王母様じゃないの? 王母様の心配するべきよ」
 私を狙うのに空中庭園にトラップを仕掛けるなんておかしい、あのデートは急に決まったものだしそれを知る人も多くもなく、ましてやヅラの警護があった。
 逆に母様王母様のデート場所とはそこそこ知られていて、大抵はヅラの警護もない。
「勿論陛下も謹慎です。美女の刺客の場合も考えて暫くは謁見も行いません」
「うちのザルセキュリティでそうなってないって事は、犯人は男なのかしらね」
 それともこの国の事情にあまり詳しくないのかしら。
「あんまり納得もいかないけど暫くは大人しくしてるか、私もカチューシャを危ない目に遭わせたくはないし」
 いくら強いカチューシャでも不意打ちや奇襲となれば別だ、私のために危ない目に遭ってほしくはない...ヅラほど強けりゃ話も別だけど。
「そうですね。護衛のメイドを王女が庇うということも本来はあってはなりませんが...」
 母様たちにはその辺濁して報告したけど...やっぱり母親で嫁で上司のこの人には伝わるわよね...。
「あの子を庇って頂きありがとうございます。母として、お礼させて下さい」
「......」
 王女としての覚悟が無かった行動だけれど、キャペリンは私に感謝してくれて、少しだけ気持ちが楽になったのだった...。


「それで王宮内謹慎なんだ」
「ねーさまもおしろにユーヘイですわ!」
 事件から翌日、私はロリエルちゃんを離宮の自室であやしながらティアラの報告を聞いた。
「魔王の加護もあるっていうのに、心配性よね」
「ティアラは実際危ない目にあったんだから、仕方ないよ」
 私がいなくてもウィッグさんが間に合った可能性もあるけど、魔王の加護も完璧ではないのかもしれない。それこそあんなトラップにしたのは加護の穴を突いてのものなのかも。
「謹慎は私だけでカチューシャは違うんだから、外に出て仕事してもいいのよ?」
「うーん...そうなんだけど、ティアラを置いて一人でって気にはなれないかな」
「カチューシャったら...」
 この国にきたばかり頃なら気にせず仕事に行ってただろうけど、今は一人で仕事する気にもなれない。
「それにウィッグさんにティアラの事を頼まれたし...」
 王宮内とはいえ、私だってティアラの事が心配だ。
「いや流石に城の中なら安全でしょ」
「このお城に私より強い人いるの? ウィッグさんもお城の中に入れないのに」
「それは...」
「ひめねーさまキレイでおつよくてスゴイですの!」
 ちょっと生意気な発言だけど、私の知る限りこのお城...この国で私に勝てそうなのはウィッグさんくらいのものだと思う。ウィッグさんの入れないこのお城で私の側より安全なのころはないと思うの。
「それに私なら鼻も利くから、刺客の侵入と不意打ちにも対処できるよ」
「そう、それよそれ! カチューシャの気配探知ってライカンの鼻だったのね」
「うん、他のライカンもそうかは知らないけど、臭いで大体のことはわかるよ」
 私が得意としてる気配探知、実は魔法じゃなくてライカン特有の鼻を使ったものだ。だからモンスターの探知や警戒、匂いを追えば大抵の失せ物探し人探しはなんとかなるので冒険者生活でもとても役立っている。
「と言ってもゴースト系は匂いがしないからダメなんだけど...」
「なるほどなー、ライカンって知ると色々納得だわー」
 逆にこの鼻に頼って常に誰かの気配に敏感だから、それがわからないゴースト系がどうしても苦手なんだけど...。
「ん? じゃあ昨日の罠も仕掛けたヤツの臭い追えるんじゃ?」
「あそこは周りの花の香りがキツくて鼻が利かないから...」
 犯人の臭いがわかれば警戒もしやすいのだけど...先の実験場ならまだ臭いも残ってるかな? でもティアラを残して一人で調べに行くというのもなあ。
「ひめねーさまなんでもわかるんですの?」
「えぇ、私に隠し事はできないわよー」
 誰に会ったとかどこに行ってたとかも臭いで大体わかっちゃうんだから。
「わたくしカクシゴトなんてありませんからシンパイいりませんわ!」
「そう? ロリエルちゃんが夜中にこっそり食べてるオヤツの隠し場所とかわかっちゃうんだけどなー」
「あわわわわ!」
 棚に並べられたぬいぐるみの中から、ロリエルちゃんの口元からするクッキーと同じ臭いがする。それを指摘すると慌ててる姿がとても可愛い。
「カチューシャを嫁にしたら浮気とかできないわね...私はする気はないけどさ...」
「ふふふ。と言っても手当たり次第に鼻を利かせたりはしないけどね、プライベートは守るよ」
 なんでもかんでも知られるのは気持ちのいいことではないだろうし。
「カチューシャが言うなら大丈夫なんだろうけどさ...嘘はつかないように気を付けるわ...」
 ティアラは素直で正直だからその心配はないと思うけどね、嘘以前に話してない事は別として。
「それで、今朝はティアラからプリムの臭いがしないんだけど、何かあったの?」
「いや早速突っ込んでくるじゃん!?」
「気になる事は別だよ、ティアラから話してくれるの待ってたんだよ?」
 お付きのメイドとはいえ四六時中一緒にいる訳ではないけど、朝は必ずプリムの世話になってるはずだから、今日のプリムの臭いがティアラからしないのが気になった。
「プリムのことは...二人きりのときに話させてほしいな」
「うん、わかった」
 ロリエルちゃんに聞かせたくないのか、二人きりで話したいのか、後で話してくれるだろうからお昼すぎまでロリエルちゃんを構うことにした。
 ロリエルちゃんにも私の耳や尻尾を触りたいとねだられたけど、ボンネットさんの忠告もあったのでなんとかごまかして拒否!
 流石にロリエルちゃんなら大丈夫だとは思うけれど...その油断でこんな小さな子にわからされたら立ち直れないし...。


 ロリエルのお昼寝タイムになって寝かし付けてから、私とカチューシャは適当な空き部屋で二人きりになる。
「それで、プリムと喧嘩しちゃって...」
 そしてプリムとの顛末を説明した。喧嘩というか、一方的に別れを告げられたのだけど...。
「プリムはあれで結構メイドとしてのプライドがあったんだね」
 カチューシャが意外そうに言うけど、私だって意外だ。
「あのセクハラメイドがあんなに真面目だったとは私も思わなかったよ」
 そう言う関係だからこそ、私はもっと対等な関係だと思ってしまったんだけどさ...。
「昨日、私のことを弄んだティアラがそれいう?」
「あーそれはー...」
 カチューシが珍しく冷ややかな視線を向ける。うわ、めっちゃ気にしてた!
「アレはほら? プリムも一緒だったから悪ノリしちゃった的な?」
「後半一人で楽しんでたよね...」
「いやたしかに調子に乗ったところもあるけど...戦いのあとで昂ってたし?」
「戦ったの私なんだけど...」
 カチューシャの抗議が止まらない。うん、ごめん、正直その視線ゾクゾクします。
「カチューシャだってまんざらでもなかったし?」
「っ!」
 耳まで赤くなって何か言いたげだけど言葉が出なくて俯いてしまった。
 カチューシャマジたまんねぇ。
「こ、この話はもうおしまい!」
 私としては続けたいところだけど、あんまり調子乗るのも良くないので閑話休題としよう。
「約束を破った私が一方的に悪いから、私からはなんとも言えないんだけど...」
「ティアラは約束のこと覚えてたの?」
「正直忘れてたし、軽い気持ちで約束しちゃったから...」
 魔王の加護に加えて王族を狙う理由も無い国じゃ、もしもの時なんて来るとは思わないじゃん...。
「でも覚えてたとしても、私は二人を庇ったと思うな」
 王女として失格だとしても、そこは間違いなかったと思う。だからこそ私はあの約束をよく考えて受けなきゃいけなかったし、こんな私だからこそプリムは約束をしたのかもしれない。
「私もティアラならそうしたと思うよ」
「カチューシャ...ありがと」
 好きになったのがこの子でホントによかったなと改めて思う。そんな良い子を弄んでのはちょっと申し訳な...でもあれは全くの健全だしカチューシャもまんざらでもないようだし...。
「ティアラから邪念を感じる...」
「臭いでそこまでわかるの!?」
 ってなんか引かれてる!?
「臭いじゃなくて...冒険者の勘?」
 冒険者の危険感知凄いね!?
「とにかく、そういう事ならちゃんとプリムに謝って話さないと」
「うん、そうだね。私もお付がプリム以外だなんて考えられないし」
 カチューシャに話してよかった、今なら主としては無理でも友達として私のお付でいる事をお願いできそうな気がする。
 だけどプリムの方は昨日の今日で私と顔を合わせたくないのか、外の仕事に行ってるらしくその日に捕まえることはできなかった。


 そして翌日、王宮のロビーで他のメイドたちの真面目に掃除しているプリムを遠目から観察する私とティアラとボンネット。
「私たちの側にいないときのプリムは初めて見るけど、もしかしてプリムって普段は真面目?」
「プリムはアレでも戦闘を含めてメイドとしては一流ですからね、料理以外は」
 私やティアラの側にいるときのプリムはどこかおちゃらけた雰囲気があるけど、遠目から見るプリムの仕事ぶりは真面目そのものでなおかつ優秀、まるで別人だった。
「そういえば私たち以外にセクハラしてるとこも見ないわね? 根はやっぱり真面目なのかしら?」
 私は全部未然に防いでるけど、初日は油断したものの...。
「他のメイドたちとの仲は良好と聞いてますし、わたくしもされたことありませんね」
 まぁ実の母親と婚姻してる時点でかなりアレではあると思うのだけど...それともこの国で普通なのかな...。

 ―なお、当の本人は
 あーセクハラしてー!
 やっぱり姫様じゃ無いとセクハラしがいないわー。
 この子たちなー、セクハラしても「やーん♪」とか言って喜ぶんだものなー。
 違う、それは違うのよ、喜んじゃダメじゃん、それじゃハラスメントにならないじゃん。嫌がってくれないと! 喜ぶんならスキンシップじゃん、セクシャルなスキンシップになるだけじゃん!
 既にカップリングできてる子は嫌がってるくれるだろうけど相手がいる子に手を出すのはちょっとなー、揉め事になるのは避けたいですし。
 っぱなー、姫様じゃないとなー。姫様はいつだって嫌がってくれものなー。あと、カチューシャ様! セクハラは未然に防がれるけど私の変態行為に冷めた視線を向けてくれるのゾクゾクするわ! 堪らんわ!
 あー二人に嫌な顔されながらパンツ見せてもらいたいわー。
 ―その性根はガッツリ変態に染まっていた。挿絵AIで作った挿絵

「休憩に入りましたよ」
 暫くプリムを観察していると午前中の仕事を終えたらしいプリムがメイドたちから離れて一人になる。
 よし、話すなら今ね。
「プリム!」
「姫様っ!?」
 私は後ろからプリムの腕を掴むとそのまま空き部屋に驚くプリムと共に飛び込んだ。あとは外のボンネットとカチューシャが二人きりにしてくれるでしょう。
「姫様なんですかいきなり!」
「プリムごめん!」
 いきなりの私の連れ込みに抗議するプリムに、私は開口一番手を合わせて謝る。
「私、プリムとの約束忘れてた!」
「そんな事だと思いました、ですから...」
「でも私は!」
 取り付く島がなくならないように私はまくし立てる。
「例え覚えていても、プリムの事を庇ったから!」
「はぁ!? 私との約束端から守る気が無かったってことですか!? 何開き直ってるんですか!」
「だって、私が王女になれたのはプリムがいたからなんだから! プリムがずっと側いてくれたから私は王女でいられたの!」
 プリムがメイドになったときよりも古い思い出が蘇って、涙が溢れてくる。
「ちょっ...泣き脅しなんて...」
「プリムこそ、守ってよ! 王女である私の側に居てくれるって...王女とメイドになっても、ずっと友達だって!」
 そうだ私たちは、王女とメイドになるよりも前に、お互いどんな立場になってもずっと友達だって、約束したんだ。
「そうでしたね...主と従者である前に、私たちはズッ友でしたね...」
「友達だと思ってたのは私だけだったの?」
「いいえ、私は姫様のメイドで護衛で、友達です...」
 私だけじゃなかったと、プリムも友達だと思ってくれてた、だから、同じなんだ...。
「大事な人に庇われて失うのが怖かったんです...。それは姫様も同じなのに、私はメイドの立場を言い訳に姫様に押し付けて...」
「私こそ、ちゃんと考えずに約束をしてゴメン。そして改めて、言わせて」
 王女とメイド、その関係は変えられないけれど。
「私が王女であるために。私の側で、メイドとして、友達として、私を支えて」
「はい、このプリム、生涯を掛けて。アナタのメイドとして、友として、側で支えさせて頂きます...」
 プリムは私に跪いて、その手を取ってくれた。挿絵AIで作った挿絵


「雨降って地固まりましたね」
 部屋の中を覗いていたボンネットさんが扉を閉めて事の決着を告げる。
 メイドというより騎士のような誓いを経て、二人の絆はより強くなったように思えた。
「でも少し妬けちゃうなあ」
 ティアラとはまだ友達だけれど、友人としてはどうしたって敵わない絆を二人に見せられた気がして、少しだけ悔しかった。
「おや? カチューシャ様もようやくその気になられましたか?」
「違っ! 友達としてだよ!」
 ティアラに対する感情がどういうものかは、
まだ私にはわからなかった。


―一方、不死身の魔女マジェステは...。
「オーホッホッホ! 拠点も構えて魔物も従え、魔王様復活の準備は盤石ですわー!」
 どこかの洞窟の中に拠点を構え、多数の魔物に囲まれて高笑いを上げていた。
「従えるっつったって、俺らゴブリンじゃねーですか」
 魔物の中のリーダーである、魔女によってかしこくなり人語を解するゴブリンは言う。
「お黙り! しょうがないでしょ! 復活したらライカンたちと協力するつもりがアイツラあの国に抱き込まれてるじゃないですの!?」
「だからってゴブリンはねーでしょーよ」
「この国に他に碌な魔物がいないんですもの!」
 ここのゴブリンたちも山羊や鹿を相手にまったり繁殖して平和に暮らしていたので、ぶっちゃけ魔女の存在は迷惑でしなかった。
「いいからアナタはわたくしに従われてなさい! 賢いゴブリン!」
「へーへー、取り敢えず飯の支度にしますかねぇ」
 ゴブリンたちを統率するため唯一賢くなった彼だが、特に忠誠心とかはないのであった。
「また野草の煮込みはごめんですわよ!」
「文句があるなら町に行ってまともな食材アンタが買ってきて下せぇよ」
「ウン百年ぶりに復活したワタクシが現代の貨幣持ってるわけないでしょう!」
「じゃあ文句言わずあり合わせのものでガマンしてくだせぇ、どうせアンタ不死身なんだから食べなくても餓死しないでしょ」
「ムキー!」
 

 ―ユリゾンリリィに、危機が迫ろうとしていた?
シェア
← 前の話
人狼(ライカン)
次の話 →
ライバルは聖女様
百合の国のプリンセス♂作者:万能ねぎトロ
目次
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません