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第三話 銀狼隊 前編

「姉さんの服探してくるから、ちょっとここで待っててね。店の中でも見て暇つぶししてちょうだい」

 そう言ってハオは二階へと上がっていく。どうやら一階は店とジオルドの作業場あり、二階が住居となっているようだ。ジオルドはもう店の奥にある作業場に戻っており、奥からカンカンという何かを金属で叩いているかのような音が響いてくる。

「......お客さん来ないのかな」

 ユキは小さな声でシノに話しかける。
 言いづらいが、先ほどからこの店に人が入ってくる様子がないのだ。

「ん? まぁ俺が仕事手伝いに来てたころからあんま客来てなかったからな。でも、人気がないわけじゃないぜ。ハオの店は注文を受けてからその人の要望に沿った加工をしたり、武器を作ったりしてるんだ。予約制だから、ふらっと店に寄った人がその日に買える商品ってのがそもそも少ないんだよ。表にも看板出てなかったろ? 知る人ぞ知るって店なんだよな。ここに並べてあるのも大体見本品だから、売りもんじゃないぜ」

 そう言ってシノは近くにあった白いひし形の道具を手に取る。手のひらに収まるぐらいの大きさだ。
「それはなに?」と、ユキは目を輝かせてシノの手を覗き込む。それを見て、シノはニヤリと口角を上げる。

「これはな、心晶石で作られた心具しんぐの一種だ。......お前、もしかして心具を見るのは初めてか?」

「うん、初めて見た」

 ユキは興味津々な目をして頷く。

「そうか。心具ってのはな、心晶石が使われている道具のこと全般を言うんだ。で、心具も種類によって細かく分かれんだけど、俺が今手に持ってるのは『罠』って呼ばれる心具だ。その名の通り罠さ。で、これは罠の中でも『閃せん』って呼ばれるやつだ。ちょっと見てみな」

 そう言ってシノが閃に力を込めると、閃の左右から真っ白は光のひものようなものが飛び出し、店の壁に当たって止まった。店内の弓を見つめていたレイは、急に真横に伸びてきた光に驚いて「わっ」と声を出す。「あ、わりぃレイ」と、シノは簡単に謝った。
 ユキはと言うと、初めて見る光でできたひもを金色の瞳で見つめていた。

「とまぁ、これが閃だ。こんな風にシンでできたひもを張って相手の足止めに使う。ユキ、ちょっとこのひもに触ってみてみな」

「え、いいの」

 ひもを間近で見ていたユキは、シノの言葉に嬉しそうに答える。
「気を付けてね、軽く触れるだけでいいよ」と、レイはユキの後ろから心配そうに言った。

「じゃぁ、ちょっとだけ......、うわっ!」

 触った途端、ビリビリっという痺れが体中をめぐり、ユキはすぐに手を離す。
 それを見て、シノはおかしそうに笑った。レイは咎めるようにシノのことを小突く。

「結構痺れるんだね」

 ユキは驚いてシノの顔を見る。心具のことはある程度兄から聞いていたため、触ったら痺れるのではないかと予想はついていたが、思ったよりも強く痺れた。
 
「だろ? これに当たったら、そいつは即失格になる。あ、そうだ、俺これ持ってるんだった」

 シノは左手で閃を持ち、右手で自身の服をまさぐった。すると、どこからか無色透明の小さな四角い結晶を取り出した。

「これは吸収石の小さいのだ。その名の通りシンを与えるとそのシンを吸収する。ちょっとこれを持ってまたこのひもに触れてみな」

「えー」

 嫌そうに言いつつも、ユキは素直に左手で吸収石を受け取り、右手でひもに軽く触れる。すると、触れた途端、左手に持っていた吸収石が眩い光を放ちながら弾け飛んでしまった。
 ユキは慌てて吸収石の欠片を探すが、どうやら光となって跡形もなく消え去ってしまったらしい。
 
「吸収石は強いシンを与え続けると、今みたいに光を発しながら弾けて消えちまうんだ。だから、シン・ルッカの試合では、選手は必ず決められた吸収石を胸元に付けて試合に挑む。今みたい罠に引っかかったり、相手の技が当たって失格になった選手が審判に見えやすいようにな」

「へぇ」

 ユキはなおも目を輝かせて閃を見つめている。
 シノはニヤリと笑って閃から伸びたひもを閃の中に戻す。それすらもユキは「おぉ」と驚いた反応を示した。

「罠は他にも色んな種類がある。で、シンファの中でこういう罠を仕掛けるのに徹する役が、俺みたいなティッパーだ。ティッパーになろうなんてやつは滅多にいないんだ。目立たねぇし、地道に罠設置するだけだし、誰にも気付かれねぇようにコソコソ移動しなきゃいけねぇしさ。人気ねぇんだよ」

 シノはそう言って閃を元の場所に静かに戻した。

「......じゃぁ、なんでシノはティッパーになったの?」

 ユキは素直に疑問を言う。
 シノの性格からして、地味なティッパーは似合わないではないかと思ったのだ。
 ユキがそう聞いた途端、シノはいじわるそうな笑みを口いっぱいに広げていった。

「なんでって、おもしれぇからさ。相手の動きを予想して、ばれねぇように罠仕掛けて、そんで相手が自分の思った通りに罠にかかった時、これ以上なく快感なのさ。この快感が好きなやつじゃねぇと、ティッパーにはなれないね。だからティッパーには性格悪いやつしかいねぇんだ」

 シノはそう言って冗談っぽく笑ってみせる。シノの言葉に頷いていいものかわからず、ユキは「そっか......」と曖昧に相槌を打った。

「ユキ、次はこっちに来て」

 レイはユキに向かってちょいちょいと手招きをした。ユキは楽しそうにレイの方に近付いていく。

「この弓も心具の一種だよ。これはシン・ルッカ用の弓だから、矢がないんだ。リユーファは矢の代わりにこういう指輪をはめて、これから自分のシンを使って矢を作るんだ」

 レイは近くにあった指輪を右手の中指にはめてみせる。すると、レイの右手に青い光でできた矢が出現した。
「わぁ」と、ユキは目を輝かせてその矢を見つめる。

「弓矢の作ることのできる数は、そいつの持ってるシンの強さで決まるからな。もちろんシンが強い方がたくさん矢を作れる。やっぱシンが強いほうが有利だよなぁ」

 シノは近くの心具をいじりながらつぶやく。

「確かに、シノの言う通り弓とか剣使う人はシンが強い人が有利だけど、だからって弱い人が勝てないってわけじゃないよ。戦い方しだいでいくらでも戦法は広がるから。......ちなみにこっちは剣だよ、鞘しかないように見えるけど、ちゃんとした心具だ」

 そう言ってレイはユキに近くにあった鞘だけの剣を渡す。ユキはまじまじとその鞘を見つめる。鞘の表面は黒くなめらかに輝いており、上部には親指ほどの大きさに加工された透明な楕円形の心晶石が埋め込まれていた。

「ユキ、ちょっとその鞘にシンを込めてみて」

「うん」

 レイにそう言われ、ユキは少しだけ自身のシンを鞘に込めてみる。すると、鞘に埋め込まれた心晶石が白く輝き、白い光でできた刀身が現れた。初めて見た心具でできた剣の輝きに、ユキは嬉しそうに目を輝かせた。

「剣は弓よりもシンの消費量が少なくて済むんだ。弓矢は一回打つごとに作り直さなきゃいけないけど、刀身は最初一回出しとけばだいたい最後までもつからね。でも、剣使うのに慣れた人なら、斬撃をシンにして遠くに飛ばすこともできるんだ。斬撃飛ばしまくる人なら、弓よりもシンの消費量は多くなるね」

 レイは指輪を外し、元の場所に戻しながら言った。ユキも鞘を元の場所に戻そうと刀身を消そうとするが、シンを込めるのをやめても刀身が消える気配がない。困ってレイの方を見上げると、レイは「心晶石を押してごらん」と穏やかに言い、ユキはそれに従って鞘に付いた心晶石を押してみる。すると、刀身は光となって霧散し、また鞘だけの状態に戻った。一体どんな仕掛けなんだろうと、ユキは驚きを隠せずに鞘をじっと見つめてしまう。

「心具の中で一番形が多種多様なのが剣だな。心晶石を加工すれば、自分の好きな刀身にすることができるんだ。中には斧とか鎌みてぇなもはや剣じゃねぇ形にしてるやつもいる。それでも剣って言われるんだから、不思議だよなぁ」

 シノは心具を手で弄びながら言う。
 斧と鎌って、いったいどんな刀身になるんだろうかと、ユキは見てみたくて仕方がなくなってくる。

「お待たせ! ごめんね、正装探すの手間取っちゃったの」

 ハオが大きな包みを持って帰ってきた。額にはうっすらと汗をかいている。

「お帰りハオ。ユキに心具の紹介してたところなんだ」

「あら、そうなの? ......どうやら楽しかったみたいね。ユキちゃんの目、金色に輝いてるわね」

 ハオはユキの顔を見て楽しそうに笑う。

「うん。心具触ったの初めてだから、すごく楽しかった」

 ユキは興奮冷めやらぬ様子でそう言った。

「そうなの、良かったわねぇ。でも、実際に使ってみないと、心具の価値は分からないわよ。......そうだ! 今からシン・ルッカ見に行ってみない? きっと今日もどこかでやってるわよ!」

 ハオは目を輝かせてそう提案する。

「え! 行きたい!!」

 ユキは声を張り上げて賛同する。シンファになりたいとは言ったものの、実はユキは今までシン・ルッカを見たことがなかったのだ。

「いいね、見に行こうか」

「そうだな、見に行ってみようぜ。公式試合じゃないにしても、どっかでなんかやってるだろ」

「じゃぁ決まりね。 父さん! 私たち行くわね!」

 ハオは店の奥に向かって大きな声を出す。
「おー!」と、ジオルドの野太い声が奥から響いてきた。
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第三話 銀狼隊 前編

「姉さんの服探してくるから、ちょっとここで待っててね。店の中でも見て暇つぶししてちょうだい」

 そう言ってハオは二階へと上がっていく。どうやら一階は店とジオルドの作業場あり、二階が住居となっているようだ。ジオルドはもう店の奥にある作業場に戻っており、奥からカンカンという何かを金属で叩いているかのような音が響いてくる。

「......お客さん来ないのかな」

 ユキは小さな声でシノに話しかける。
 言いづらいが、先ほどからこの店に人が入ってくる様子がないのだ。

「ん? まぁ俺が仕事手伝いに来てたころからあんま客来てなかったからな。でも、人気がないわけじゃないぜ。ハオの店は注文を受けてからその人の要望に沿った加工をしたり、武器を作ったりしてるんだ。予約制だから、ふらっと店に寄った人がその日に買える商品ってのがそもそも少ないんだよ。表にも看板出てなかったろ? 知る人ぞ知るって店なんだよな。ここに並べてあるのも大体見本品だから、売りもんじゃないぜ」

 そう言ってシノは近くにあった白いひし形の道具を手に取る。手のひらに収まるぐらいの大きさだ。
「それはなに?」と、ユキは目を輝かせてシノの手を覗き込む。それを見て、シノはニヤリと口角を上げる。

「これはな、心晶石で作られた心具しんぐの一種だ。......お前、もしかして心具を見るのは初めてか?」

「うん、初めて見た」

 ユキは興味津々な目をして頷く。

「そうか。心具ってのはな、心晶石が使われている道具のこと全般を言うんだ。で、心具も種類によって細かく分かれんだけど、俺が今手に持ってるのは『罠』って呼ばれる心具だ。その名の通り罠さ。で、これは罠の中でも『閃せん』って呼ばれるやつだ。ちょっと見てみな」

 そう言ってシノが閃に力を込めると、閃の左右から真っ白は光のひものようなものが飛び出し、店の壁に当たって止まった。店内の弓を見つめていたレイは、急に真横に伸びてきた光に驚いて「わっ」と声を出す。「あ、わりぃレイ」と、シノは簡単に謝った。
 ユキはと言うと、初めて見る光でできたひもを金色の瞳で見つめていた。

「とまぁ、これが閃だ。こんな風にシンでできたひもを張って相手の足止めに使う。ユキ、ちょっとこのひもに触ってみてみな」

「え、いいの」

 ひもを間近で見ていたユキは、シノの言葉に嬉しそうに答える。
「気を付けてね、軽く触れるだけでいいよ」と、レイはユキの後ろから心配そうに言った。

「じゃぁ、ちょっとだけ......、うわっ!」

 触った途端、ビリビリっという痺れが体中をめぐり、ユキはすぐに手を離す。
 それを見て、シノはおかしそうに笑った。レイは咎めるようにシノのことを小突く。

「結構痺れるんだね」

 ユキは驚いてシノの顔を見る。心具のことはある程度兄から聞いていたため、触ったら痺れるのではないかと予想はついていたが、思ったよりも強く痺れた。
 
「だろ? これに当たったら、そいつは即失格になる。あ、そうだ、俺これ持ってるんだった」

 シノは左手で閃を持ち、右手で自身の服をまさぐった。すると、どこからか無色透明の小さな四角い結晶を取り出した。

「これは吸収石の小さいのだ。その名の通りシンを与えるとそのシンを吸収する。ちょっとこれを持ってまたこのひもに触れてみな」

「えー」

 嫌そうに言いつつも、ユキは素直に左手で吸収石を受け取り、右手でひもに軽く触れる。すると、触れた途端、左手に持っていた吸収石が眩い光を放ちながら弾け飛んでしまった。
 ユキは慌てて吸収石の欠片を探すが、どうやら光となって跡形もなく消え去ってしまったらしい。
 
「吸収石は強いシンを与え続けると、今みたいに光を発しながら弾けて消えちまうんだ。だから、シン・ルッカの試合では、選手は必ず決められた吸収石を胸元に付けて試合に挑む。今みたい罠に引っかかったり、相手の技が当たって失格になった選手が審判に見えやすいようにな」

「へぇ」

 ユキはなおも目を輝かせて閃を見つめている。
 シノはニヤリと笑って閃から伸びたひもを閃の中に戻す。それすらもユキは「おぉ」と驚いた反応を示した。

「罠は他にも色んな種類がある。で、シンファの中でこういう罠を仕掛けるのに徹する役が、俺みたいなティッパーだ。ティッパーになろうなんてやつは滅多にいないんだ。目立たねぇし、地道に罠設置するだけだし、誰にも気付かれねぇようにコソコソ移動しなきゃいけねぇしさ。人気ねぇんだよ」

 シノはそう言って閃を元の場所に静かに戻した。

「......じゃぁ、なんでシノはティッパーになったの?」

 ユキは素直に疑問を言う。
 シノの性格からして、地味なティッパーは似合わないではないかと思ったのだ。
 ユキがそう聞いた途端、シノはいじわるそうな笑みを口いっぱいに広げていった。

「なんでって、おもしれぇからさ。相手の動きを予想して、ばれねぇように罠仕掛けて、そんで相手が自分の思った通りに罠にかかった時、これ以上なく快感なのさ。この快感が好きなやつじゃねぇと、ティッパーにはなれないね。だからティッパーには性格悪いやつしかいねぇんだ」

 シノはそう言って冗談っぽく笑ってみせる。シノの言葉に頷いていいものかわからず、ユキは「そっか......」と曖昧に相槌を打った。

「ユキ、次はこっちに来て」

 レイはユキに向かってちょいちょいと手招きをした。ユキは楽しそうにレイの方に近付いていく。

「この弓も心具の一種だよ。これはシン・ルッカ用の弓だから、矢がないんだ。リユーファは矢の代わりにこういう指輪をはめて、これから自分のシンを使って矢を作るんだ」

 レイは近くにあった指輪を右手の中指にはめてみせる。すると、レイの右手に青い光でできた矢が出現した。
「わぁ」と、ユキは目を輝かせてその矢を見つめる。

「弓矢の作ることのできる数は、そいつの持ってるシンの強さで決まるからな。もちろんシンが強い方がたくさん矢を作れる。やっぱシンが強いほうが有利だよなぁ」

 シノは近くの心具をいじりながらつぶやく。

「確かに、シノの言う通り弓とか剣使う人はシンが強い人が有利だけど、だからって弱い人が勝てないってわけじゃないよ。戦い方しだいでいくらでも戦法は広がるから。......ちなみにこっちは剣だよ、鞘しかないように見えるけど、ちゃんとした心具だ」

 そう言ってレイはユキに近くにあった鞘だけの剣を渡す。ユキはまじまじとその鞘を見つめる。鞘の表面は黒くなめらかに輝いており、上部には親指ほどの大きさに加工された透明な楕円形の心晶石が埋め込まれていた。

「ユキ、ちょっとその鞘にシンを込めてみて」

「うん」

 レイにそう言われ、ユキは少しだけ自身のシンを鞘に込めてみる。すると、鞘に埋め込まれた心晶石が白く輝き、白い光でできた刀身が現れた。初めて見た心具でできた剣の輝きに、ユキは嬉しそうに目を輝かせた。

「剣は弓よりもシンの消費量が少なくて済むんだ。弓矢は一回打つごとに作り直さなきゃいけないけど、刀身は最初一回出しとけばだいたい最後までもつからね。でも、剣使うのに慣れた人なら、斬撃をシンにして遠くに飛ばすこともできるんだ。斬撃飛ばしまくる人なら、弓よりもシンの消費量は多くなるね」

 レイは指輪を外し、元の場所に戻しながら言った。ユキも鞘を元の場所に戻そうと刀身を消そうとするが、シンを込めるのをやめても刀身が消える気配がない。困ってレイの方を見上げると、レイは「心晶石を押してごらん」と穏やかに言い、ユキはそれに従って鞘に付いた心晶石を押してみる。すると、刀身は光となって霧散し、また鞘だけの状態に戻った。一体どんな仕掛けなんだろうと、ユキは驚きを隠せずに鞘をじっと見つめてしまう。

「心具の中で一番形が多種多様なのが剣だな。心晶石を加工すれば、自分の好きな刀身にすることができるんだ。中には斧とか鎌みてぇなもはや剣じゃねぇ形にしてるやつもいる。それでも剣って言われるんだから、不思議だよなぁ」

 シノは心具を手で弄びながら言う。
 斧と鎌って、いったいどんな刀身になるんだろうかと、ユキは見てみたくて仕方がなくなってくる。

「お待たせ! ごめんね、正装探すの手間取っちゃったの」

 ハオが大きな包みを持って帰ってきた。額にはうっすらと汗をかいている。

「お帰りハオ。ユキに心具の紹介してたところなんだ」

「あら、そうなの? ......どうやら楽しかったみたいね。ユキちゃんの目、金色に輝いてるわね」

 ハオはユキの顔を見て楽しそうに笑う。

「うん。心具触ったの初めてだから、すごく楽しかった」

 ユキは興奮冷めやらぬ様子でそう言った。

「そうなの、良かったわねぇ。でも、実際に使ってみないと、心具の価値は分からないわよ。......そうだ! 今からシン・ルッカ見に行ってみない? きっと今日もどこかでやってるわよ!」

 ハオは目を輝かせてそう提案する。

「え! 行きたい!!」

 ユキは声を張り上げて賛同する。シンファになりたいとは言ったものの、実はユキは今までシン・ルッカを見たことがなかったのだ。

「いいね、見に行こうか」

「そうだな、見に行ってみようぜ。公式試合じゃないにしても、どっかでなんかやってるだろ」

「じゃぁ決まりね。 父さん! 私たち行くわね!」

 ハオは店の奥に向かって大きな声を出す。
「おー!」と、ジオルドの野太い声が奥から響いてきた。
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