Episode 21 MORNING
朝日が、管理棟の窓から静かに差し込んでいた。
「......ん」
ノアはゆっくりと目を開ける。
大きく欠伸を一つ。
ぼんやりしたまま部屋を見回す。
「......あれ」
隣のベッドは空いていた。
レートもクランツもいない。
「早いなぁ......」
寝癖のついた髪を掻きながら部屋を出る。
階段を降りる。
香ばしいコーヒーの香りが鼻をくすぐった。
「おはよー」
レート。
クランツ。
ゼロ。
三人はすでに机を囲んでいた。
「起きたか」
レートが振り返る。
「起きたー」
ノアは欠伸をしながら席へ座る。
「ふあぁぁぁ......」
机の上には四挺のGAIN。
見覚えのない武器。
「何これ?」
レートが苦笑する。
「昨日の侵入者のGAIN」
ノアの動きが止まる。
「......は?昨日?」
「起こさなかった」
ゼロが短く答えた。
「三人で足りた」
「えぇー......」
ノアは頬を膨らませる。
「起こしてよ」
「寝てたろ」
「寝てたけど」
「だからだ」
ゼロの一言で話は終わる。
ノアは諦めたように肩を竦めた。
「で?何者だったの?」
ゼロは端末をスライドする。
――ピッ――
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PERSONNEL DATA : 04
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顔写真。
経歴。
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AFFILIATION : ZIGZAG
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ノアは小さく目を細めた。
「......やっぱりかー」
クランツは腕を組む。
「気になるのはそこじゃない。」
「何だ」
レートが視線を向ける。
「四人とも末端だ」
ノアが画面を覗き込む。
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COMBAT RECORD
MISSION HISTORY
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どれも平凡。
重要任務の記録もない。
「本当だ」
クランツは続ける。
「未登録トークンを奪うなら、もっと腕の立つ人間を送る」
「確かにな」
レートも同じ違和感を覚えていた。
「少なくとも、こんな連中じゃない」
昨日の戦い。
真正面から突っ込んできた。
逃げる様子もなく、すべてが雑だった。
「つまり?」
ノアが聞く。
「目的は――」
クランツは短く答える。
「俺達だ」
レートは黙ったままクランツを見る。
「戦力確認だな」
「ああ」
クランツが笑う。
「余程、俺たちが気に入ったようだ」
ノアはゆっくり息を吐いた。
「レートも変な奴に好かれるねえ......」
「俺かよ」
レートは心底うんざりした顔をする。
「俺たちだけなら別に構わんが――」
ゼロが三人を見渡して口を開く。
「孤児院も街の皆のこともある」
「いつまでも後手に回るのは、な」
クランツが呟く。
この世界では、価値は常に測られる。
人。
組織。
そこに安全の保障はない。
「だったらさー」
ノアが悪い顔で笑う。
「待つ必要なくない?」
「......ノア」
レートは椅子から立ち上がる。
「気が合うじゃないか」
不敵に笑う。
「待つ必要はない」
ゼロが顔を上げる。
「何をする気だ?」
「向こうが俺達を測るなら」
机の上に置かれたGAINへ視線を落とす。
「俺達から会いに行く」
「さんせー!!」
「まあ、そうなるだろうと思ってた」
レートが短く言い放つ。
「ZIGZAG――潰すぞ」