ホームSOUL TR@DEEpisode 2 OBLIVION
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Episode 2 OBLIVION

4区――OBLIVION

夕日は境界で途切れていた。
朽ちた高架道路を越えた瞬間、街の色が変わる。

崩れ落ちた高層ビル。
道路へ突き刺さったまま錆び付いた車両。
風に揺れる看板は、誰もいない街で軋んでいた。

「毎回来ても思うけどさ」

ノアが肩を竦める。

「ここだけ時間止まってない?」

「止まってるなら楽だろ」

クランツが淡々と答える。
レートは前を歩きながら、静かに辺りを見回した。
人の気配もない。
聞こえるのは、風が鉄骨を鳴らす音。

「目的地まで200メートル」

「周囲を警戒」

「了解」

三人は歩調を緩めた。

――カラン――

瓦礫の奥で、何かが転がる。
クランツが手で制する。

「......いる」

全員の視線が一点へ集まる。
崩れた壁の向こう。
三人の男が、地面を掘り返していた。
汚れた服。
錆びたスコップ。

そして、足元にはいくつものSBTが転がっている。

「墓漁りか」

レートが呟く。
男の一人がこちらへ気付く。

「......依頼屋だ」

その声で残る二人も顔を上げた。
誰も口を開かない。

「逃げる?」

ノアが笑う。
男達は答えない。
代わりに、一斉にGAINを抜いた。

「まあ、そうなるわな」

レートは肩を鳴らした。

「ノア」

「右ね」

「クランツ」

「中央」

「俺は左」

三人が同時に地面を蹴る。

――パンッ――

レートは身体を半歩捻る。
弾丸が頬を掠める。

「寝てろ」

――ドンッ――

レートの拳が鳩尾に入る。

――ドサッ――

男はその場に崩れ落ちた。
反対側ではノアが笑っている。

「ほらほら!」

軽い足取りで射線を潜り抜ける。

「よっ!」

銃身を払い上げ、そのまま腹部へ膝を叩き込む。

「かはっ――」

「はい終了~」

最後の一人。
クランツは歩く速度を変えない。

――パンッ――
――パンッ――

乾いた音が響く。
クランツは最小限の動きで全てを避けていく。

「遅い」

――ゴッ――

クランツの肘が男の意識を刈り取る。

――ドサッ――

ノアが辺りを見回す。

「相変わらず弱いなぁ」

「墓漁りだからな」

レートは倒れた男達の足元へ歩み寄った。
散乱したSBTを拾い上げる。

「依頼品あるか?」

「探す」

クランツも屈み込み、一枚ずつ確認を始めた。

「登録済み」

「これも」

「これも違う」

ノアが瓦礫の隙間へ手を伸ばす。

「ん?」

砂埃の中。
小さな銀色のSBTが姿を現す。

今まで見たことのない紋様。
表面には番号も刻印もない。

「こんなのあったっけ?」

レートが視線を向ける。

「見せろ」

ノアはSOUL CHART端末へ軽くかざした。

――ピッ――

─────────────────
>> TOKEN SEARCH

SEARCHING...
SEARCHING...
─────────────────

ノアが首を傾げる。

「長くない?」

画面は動き続ける。

─────────────────
>> TOKEN SEARCH

SEARCHING...
SEARCHING...
─────────────────
>> TOKEN SEARCH

STATUS : ERROR

RESULT : UNREGISTERED
─────────────────

三人の動きが止まる。

「......は?」

ノアが画面と手元のSBTを見比べた。
クランツが静かに立ち上がる。

「貸せ」

ノアは無言でSBTを渡す。

――ピッ――

クランツも同じように端末へかざす。

─────────────────
>> TOKEN SEARCH

SEARCHING...
SEARCHING...
─────────────────
>> TOKEN SEARCH

STATUS : ERROR

RESULT : UNREGISTERED
─────────────────

結果は変わらない。

「市場に......存在しない?」

クランツが初めて眉を動かした。

レートは黙ったまま、銀色のSBTを見つめていた。
あとがき朔來 織
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 『SOUL TR@DE』は毎日18:00更新予定です。 面白いと思っていただけましたら、 評価・ブックマークで応援いただけると励みになります。 "SEE YOU AT THE NEXT MARKET."
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崩れ落ちた高層ビル。
道路へ突き刺さったまま錆び付いた車両。
風に揺れる看板は、誰もいない街で軋んでいた。

「毎回来ても思うけどさ」

ノアが肩を竦める。

「ここだけ時間止まってない?」

「止まってるなら楽だろ」

クランツが淡々と答える。
レートは前を歩きながら、静かに辺りを見回した。
人の気配もない。
聞こえるのは、風が鉄骨を鳴らす音。

「目的地まで200メートル」

「周囲を警戒」

「了解」

三人は歩調を緩めた。

――カラン――

瓦礫の奥で、何かが転がる。
クランツが手で制する。

「......いる」

全員の視線が一点へ集まる。
崩れた壁の向こう。
三人の男が、地面を掘り返していた。
汚れた服。
錆びたスコップ。

そして、足元にはいくつものSBTが転がっている。

「墓漁りか」

レートが呟く。
男の一人がこちらへ気付く。

「......依頼屋だ」

その声で残る二人も顔を上げた。
誰も口を開かない。

「逃げる?」

ノアが笑う。
男達は答えない。
代わりに、一斉にGAINを抜いた。

「まあ、そうなるわな」

レートは肩を鳴らした。

「ノア」

「右ね」

「クランツ」

「中央」

「俺は左」

三人が同時に地面を蹴る。

――パンッ――

レートは身体を半歩捻る。
弾丸が頬を掠める。

「寝てろ」

――ドンッ――

レートの拳が鳩尾に入る。

――ドサッ――

男はその場に崩れ落ちた。
反対側ではノアが笑っている。

「ほらほら!」

軽い足取りで射線を潜り抜ける。

「よっ!」

銃身を払い上げ、そのまま腹部へ膝を叩き込む。

「かはっ――」

「はい終了~」

最後の一人。
クランツは歩く速度を変えない。

――パンッ――
――パンッ――

乾いた音が響く。
クランツは最小限の動きで全てを避けていく。

「遅い」

――ゴッ――

クランツの肘が男の意識を刈り取る。

――ドサッ――

ノアが辺りを見回す。

「相変わらず弱いなぁ」

「墓漁りだからな」

レートは倒れた男達の足元へ歩み寄った。
散乱したSBTを拾い上げる。

「依頼品あるか?」

「探す」

クランツも屈み込み、一枚ずつ確認を始めた。

「登録済み」

「これも」

「これも違う」

ノアが瓦礫の隙間へ手を伸ばす。

「ん?」

砂埃の中。
小さな銀色のSBTが姿を現す。

今まで見たことのない紋様。
表面には番号も刻印もない。

「こんなのあったっけ?」

レートが視線を向ける。

「見せろ」

ノアはSOUL CHART端末へ軽くかざした。

――ピッ――

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ノアが首を傾げる。

「長くない?」

画面は動き続ける。

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三人の動きが止まる。

「......は?」

ノアが画面と手元のSBTを見比べた。
クランツが静かに立ち上がる。

「貸せ」

ノアは無言でSBTを渡す。

――ピッ――

クランツも同じように端末へかざす。

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結果は変わらない。

「市場に......存在しない?」

クランツが初めて眉を動かした。

レートは黙ったまま、銀色のSBTを見つめていた。
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