Episode 45 RELOAD
午後。
孤児院の庭。
レートはゼロのGAINを見つめていた。
「ねぇ」
ゼロが視線だけ向ける。
「触ってみたい」
「駄目だ」
「えぇー!?」
「まだ早い」
「ちょっとだけ!」
「駄目だ」
レートが肩を落とす。
「......僕も」
横から声がした。
「興味、あります」
クランツがゼロの目をみて呟いた。
「お前もか」
「はい」
ゼロは二人を見比べる。
「ふふっ」
その様子を見ていたステラが笑った。
「少しだけならいいんじゃない?」
「危険だ」
「あなたが見てるんだから大丈夫でしょ?」
「それはそうだが......」
「この子たちも色々考えてるのよ」
「......分かった」
レートとクランツ、二人の表情が明るくなる。
「やった!」
「ありがとう!」
――カチャ――
ゼロはGAINを取り出す。
黒い金属。
陽の光を鈍く反射させている。
「重いぞ」
レートが両手で受け取る。
「うわっ!?」
思った以上の重量。
「本物ってこんな重いんだ」
慎重に構える。
ゼロが背後へ回った。
「肩へ当てろ」
「こう?」
「違う」
腕を少しだけ直す。
「力を抜け」
「う、うん」
レートは頷く。
――カチャッ――
「そうだ」
今度は少しだけ自然になった。
「クランツ。次はお前だ。こっちに来い」
「は、はい」
「レート。返せ」
「お、おう」
緊張感からか、いつもより素直に反応する。
「クランツ。構え方は見てたろ?」
「はい、見てました」
「なら、やってみろ。重いぞ」
クランツはGAINを受け取る。
「お、重っ......」
「気をつけろよ」
「はい......」
――カチャッ――
ゆっくりと持ち上げる。
――スッ――
「......」
「ほう」
ゼロが感心する。
クランツの構えには一切の無駄がない。
「......お前は長距離向きだな」
「そうなんですか?」
「ああ。わかりやすい」
ゼロが笑った。
「ゼロ!!俺は!?」
「お前は最前線のアタッカーだ。性格的にもそれ以外考えられん」
「おおおおっ!!?カッケーやつじゃん!!!」
「クランツ。こいつのリードはお前が絶対に放すな」
「......ええ?僕の役目なんですか?」
「アタッカー!!やったーっ!!!」
「......意外と簡単そうな気がしてきた。バカだし」
「くくっ。いいコンビになるかもな、お前ら」
ゼロが笑った。
「............」
ライラはステラの隣でその様子を眺めていた。
「ライラもやる?」
「重そうだからやだ」
即答。
「ふふっ!」
ステラが吹き出す。
「ねえねえ!弾は入ってるの!?」
レートが尋ねる。
「抜いてるに決まってるだろうが」
ゼロが答える。
「弾丸はどうやって入れるんですか?」
クランツが質問する。
「それは、これを使うの」
ステラが小さな結晶を取り出した。
淡く輝く透明な欠片。
「これはSBT」
レートとクランツ、ライラも覗き込む。
「SOUL BIND TOKEN」
三人は目を丸くした。
――カチャ――
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GAIN : ARK
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ステラはGAINを取り出し、SBTを重ねる。
「RELOAD」
――ブンッ――
淡い光がGAINを包む。
結晶は一瞬で消えた。
「消えた!?」
「弾になったの?」
レートが目を輝かせる。
クランツも驚いていた。
「そう。SBTはGAINの弾になるの」
「誰でも出来るの?」
レートが聞く。
「RELOAD自体は可能よ。ただし――」
「ただし?」
「自分のGAINへのRELOADは本人だけ可能。他の人のGAINには出来ないの」
「だから一人に一つなんですね」
クランツは納得したように頷く。
ゼロが二人を見る。
「13歳になれば、二人もGAINが発現する」
「俺も?」
「ああ」
「その時は」
ゼロは少しだけ笑う。
「守る側だ」
「そうね」
ステラは二人の前へしゃがんだ。
「強くなるのは素敵なことよ」
優しく笑う。
「でもね」
二人は静かに耳を傾ける。
「SBT――」
ステラは手の中に残ったSBTを見つめた。
「SOUL BIND TOKENは」
少しだけ。
ステラの瞳が揺れる。
「誰かが生きていたという、魂の価値化なのよ」