

Episode 46 FAREWELL
レートは地面へ寝転び、空を見上げていた。
「ねぇ」
ステラが振り返る。
「何?」
「SBTってさ」
レートは空を見つめたまま言う。
「人が死んだら出来るんだよね?」
クランツも顔を上げる。
ライラはステラを見つめていた。
子供らしい純粋な質問。
「そうよ」
ステラは優しく頷いた。
「例外はないの?」
「ないわ」
レートの目を見てステラは言葉を続ける。
「人は亡くなると、必ずSBTになるの」
「じゃあ」
レートは少しだけ考える。
「GAINは?」
ゼロが代わりに答えた。
「残る。ただし、三十分だけだ」
「え?」
レートが起き上がる。
「残るんですか?」
クランツも思わず声を上げた。
「ああ」
ゼロはGAINを見る。
「三十分。その時間を過ぎると、GAINは消失する」
「どうして三十分なんですか?」
クランツが問う。
「それは――」
ステラは少しだけ困ったように笑う。
「本当の理由はね、まだ誰にも分かってないの」
「わかってないの?」
「誰もですか?」
「変なのー」
レート達は顔を見合わせる。
「でも」
ステラは空を見上げた。
「私はね――」
夕焼けが街を優しく包む。
「大切な人との別れと向き合う時間なんじゃないかな、って思ってる」
ステラの瞳が遠くを見る。
「でもさ、GAINも消えるってことは」
レートは空を見上げながら口を開いた。
「何も残らないってことだよね?」
――ギュッ――
ライラはステラの服を小さな手で掴む。
「――そうね。だからこそ」
優しい視線を子供達に向ける。
「時間が限られているのだと思うの」
「......優しくない別れの時間に思えます」
クランツは静かに目を閉じた。
「なんか無理矢理、顔を上げろって言われてる気がして」
ゼロがクランツの頭に手を乗せる。
「その気持ちすら整理する時間なんだろう」
「......まだ、よくわからないです」
「今はそれでいい」
夕陽はゆっくりと街へ沈んでいく。
誰にでも訪れる別れ。
きっとその時だけの為に。
世界は最後の三十分を――
残している。