第八話:初心者ダンジョン
「どうだ? レベルいくつになった?」
「10になったよ」
「よし、次は初心者ダンジョンへ行こう」
ノクスに連れられて、ぼくはヘルバさんの畑の向こうにある森の洞窟まで歩いていった。
洞窟の入口まで来ると、エルフの男の人が立っていた。
杖を持っているから、ぼくと同じウィザードかな?
頭の上には「リュウ」という名前がうかんでいる。
「ダンジョンに行く前に、バフかけようか?」
「ありがとう、たのむよ」
ノクスが言うと、リュウさんは杖をふり、支援魔法(バフ)をかけてくれた。
ウィザードじゃなくて、プリーストなのかな?
バフをかけてもらった後、自分のステータスを見たら、プラスの数字がついていた。
名前:メリディエス
種族:天使
レベル:10
ジョブ:ウィザード
体力:30+10
筋力:20+10
器用:50+10
敏捷:50+10
知力:50+10
魔力:50
カリスマ:100
「魔力とカリスマは上げれなくてごめんな」
「問題ない。ありがとう、リュウ」
「ありがとうございます」
「じゃ、バフが切れる前に行ってこいよ」
リュウさんに見送られながら、ぼくたちは洞窟の中へ入っていった。
ゴツゴツした岩に囲まれた洞窟の中を歩いていくと、前の方から三体のスライムがポヨンポヨンはねてくる。
ノクスがサッと走って近づいて、あっという間に三体を片付けてしまった。
「ボスまで一気に行くから、ついてこいよ」
「うん」
ノクスが走りながら、現れるスライムを次々に倒していく。
ぼくはおいていかれないように走って、ノクスの後をついていった。
洞窟の行き止まりに、大きな鉄の扉が見えてくる。
そこが、このダンジョンのボス部屋だった。
学校の理科室にある骨格模型みたいなモンスターが三体いるのが見える。
その向こうに、マントをつけた大きな骸骨も見えた。
「あいつらは光魔法に弱い。天使のレベル10なら【光り輝く矢】が使えるから、まずは小さいスケルトンに放ってみな」
「おっけー」
骨格模型みたいなやつは、他のゲームやアニメにもよく出てくるスケルトンだった。
スケルトンはアンテッド系で、光魔法に弱いのは他のゲームと同じらしい。
レベルが上がったぼくのステータスには、天使オリジナルの光魔法が増えている。
起動言語【サギッタ・ルキダ】
光初級魔法。天使だけが使える光の矢を放つ魔法。レベルと共に一度に出せる数が増えていく。
キャラクターレベル10では、まだ一本しか出せない。
ぼくはボス部屋の入口から一番近いスケルトンをねらって、光の矢を飛ばした。
矢が当たったら、スケルトンはパリンと割れて粉々になり、消えていった。
残りのスケルトンとボスが、こちらを見てくる。
表情はないけど、おこってる感じがした。
「ボスはオレが引き受けるから、あと二体やっつけてくれ」
「わかった」
ノクスが飛び出して、ボスめがけて剣をふる。
ぼくは残りのスケルトンのうち、先に近づいてくる方に光の矢を放った。
ノクスがボスの片腕を切り落とすのが見える。
ぼくは三体目のスケルトンを光の矢で粉々にしてやった。
「メリディエス! こいつにトドメをさせ!」
ノクスがボスのもう片方の腕も切り落として、サッと横へ移動した。
ボスの肋骨の中に、赤い石が見える。
ぼくはその赤い石めがけて、光の矢を放った。
「サギッタ・ルキダ!」
力いっぱい打ち出すイメージで放った光の矢は、いきなり強く光ってボスの胸へと飛んでいく。
光の矢が深くささり、赤い石がはじけるように粉々になった。
ボスは分解して、ガラガラとくずれて地面に転がり、スーッと消えていった。
「このタイミングでクリティカル出すとか、お前は本番に強いな」
「えっ、今のクリティカルだったの?」
「おう。いきなり魔法が強くなるのは、クリテイカルだよ」
ノクスが教えてくれた。
レベル10天使の魔法では、三回くらい撃たないと、あのボスは倒せないものらしい。
クリティカルが出たときはダメージが三倍になるので、ぼくは一回撃っただけでボスを倒せたんだって。