第七話:ヘルバさんの畑の雑草を片付けよう
「ウィザードにしたのか。オレはファイターだから、ちょうどいいコンビになるな」
ギルドハウスから出てきたぼくの武器を見て、ノクスが言う。
ノクスは、剣を背負っていた。
「クエスト受けてきたか?」
「うん。ヘルバさんの畑のクエストだよ」
「草刈りするやつな。風魔法が覚えられるからオススメだ」
「ノクスは何かクエスト受けてる?」
「ああ。オレはヘルバさんの畑の魔物を倒すクエストだよ」
ノクスのクエストも同じヘルバさんの畑だった。
草ぼうぼうだったり魔物がいたり、なんだか大変そうな畑だね。
「じゃあ、パーティ組んでいっしょに行こう。そうしたらオレが倒した魔物の経験値を分けられるからな」
「いいの? ノクスの経験値、減らない?」
「気にするな。メリディエスのレベルが追い付いてくれたら、一緒にダンジョン行けるし」
「ダンジョン? 早く行ってみたいな」
「だろ? レベル10になれば行けるから、サクッと上げちまおうぜ」
パーティの組み方は、あくしゅして「パーティを組もう」「はい」みたいな会話だけでできる。
ログアウトしたり、ちがうフィールドに行っちゃったりすると、自動的にパーティからぬけてしまうらしい。
ノクスとぼくは街はずれのヘルバさんの畑に着いて、クエストを始める前にパーティを組んだ。
「こんにちはヘルバさん、ぼくは雑草を片付けに来ました」
「はい、よろしくお願いします」
「オレは魔物を片付けてくるよ」
「はい、いつもありがとうございます」
初めてクエストを受けるぼくと、何度かクエストを受けたノクスとで、ヘルバさんの返事がちがう。
これは、システムがプレイデータを記録していて、初めてかリピーターかでNPCの台詞を変えるからなんだって。
「草刈りをされる方には、こちらを差し上げています。どうぞお使い下さい」
ヘルバさんは草刈りを始める前に、風のスクロールをくれた。
ヒモをほどいて巻物を開くと、文字がうきあがって、ぼくの頭に吸いこまれていく。
ぼくは新たに風魔法を覚えた。
起動言語【ウェントゥス】
初級風魔法。風を操り、ねらったものを風の鎌で切り裂く。
「あそこがまだ作物を植えていない畑です。雑草なので、全部やっつけてやって下さい」
ヘルバさんが指さす畑は、ほとんど大草原だった。
きっと初心者でも簡単に草刈りできるように、作物のない畑がクエストになってるのかもしれない。
ぼくは覚えたての風魔法を使って、雑草をどんどん刈り取っていった。
「刈り取った草は【イグニス】で燃やしてもらえると、畑の肥料になります」
ヘルバさんに言われて、ぼくは刈り取った草に火をつけて燃やした。
そうしている間に、頭の中でピロン、ピロンって音がする。
ノクスが別の畑で魔物を倒した経験値が入って、ぼくのレベルが上がっているらしい。
「ありがとうございました。これは報酬の銀貨です」
ヘルバさんから銀貨を受け取るころには、ぼくのレベルは1から10になっていた。