第十九話:精霊の子はどこに?
大デブゴブリンとメイドゴブリンが消えた後。
ボス部屋には、大きなテーブルと白い山が残さされた。
ゴブリンに連れ去られたっていう精霊の子供は、どこにいるんだろう?
「精霊の子、姿が見えないけど、この部屋のどこかにいるの?」
「まちかいなくいるよ。探してごらん」
キョロキョロと辺りを見回しながら聞いたら、ノクスが落ち着いた様子で言う。
きっとノクスはどこにいるか知ってるけど、ぼくが探す方がいいと思ったんだろう。
この部屋に、水槽や檻は無い。
水がめも無い。
箱も無い。
置いてある壺の中を一つ一つ見たけど、中身は塩っぽい白いものばかりだった。
「ねえノクス、この白いの何?」
「少しなめてみたら分かるよ」
聞いてみたら、味見してごらんみたいなことを言われた。
ぼくは指先で白いものをほんの少しつまんで、おそるおそるなめてみた。
しょっぱい。
「塩だね」
「うん」
ノクスは精霊の子を探すのをぼくに任せたまま、授業参観のときみたいに立っている。
パパとママがお仕事を休めなくて来られなかったから、ぼくの授業参観に来るのはいつもお兄ちゃんだった。
「これも塩だよね」
「砂糖はこの部屋には置いてないからね」
ぼくはテーブルの上に盛られた塩の山に近づいてみた。
白いものをつまんでみると、少しジャリジャリした手ざわりは壺の中身と同じだった。
塩の山から、うすいピンク色の魚のシッポが出ている。
「ここから出てるの、魚のシッポだよね?」
「どんな魚か、引っ張り出してみるといいよ」
ノクスに言われて、ぼくは大きな魚のシッポを両手でつかみ、よいしょって引っ張ってみた。
魚のシッポに続いて、うろこにおおわれた魚の身体が出てくる。
頭がまだ出てこない。なんだか長い魚みたいだ。
もっと引っ張ってみよう。ズルズル......
「えっ?!」
引っ張り続けて出てきたものを見て、ぼくはビックリして声を上げた。
半分は、うろこにおおわれているから魚だ。
でも、もう半分は、女の子だったんだ。
お胸に貝がらをつけている、人魚の女の子。
女の子は目を閉じたまま、動かなかった。
「もしかして、この子が精霊の子?」
「あたり」
ノクスに聞いてみたら、やっぱり精霊の子供だった。
湖に連れ帰ってあげなきゃね。
でも、この子、息してないような?
塩にうもれて息ができなくて、リュウさんみたいに死んでるのかも。
なら、よみがえらせてあげなきゃ。
「レスレクティオ」
「あっ」
女の子を抱いたぼくが起動言語を言ったら、ノクスがちょっとビックリした顔になる。
死んでることに気づいてなかったのかな?
キョトンとしたぼくの腕の中で、女の子は光の繭につつまれた。
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