第二十三話:全体チャット
レイドボスバトルが始まってしばらくすると、戦っている人たちが全体チャットで呼びかけ始めた。
全体チャットは、今ゲームにログインしているプレイヤー全員に届くメッセージだよ。
『レイドボス戦、参加よろ』
『どのジョブでもおけ』
『ボレアリス平原かもん』
『はじまりの街から北』
一人でも多くの人が加わった方が戦いが楽になる。
だから、参加プレイヤーたちはレイドバトルに気づいてないかもしれない人に呼びかけていた。
『ふははは! 何人来ようと同じこと、みんな消し炭になるがよい!』
ボスも全体チャットを使う。
強気で言っているけど、プレイヤーが多くなったら負けるんじゃないかな?
『大丈夫、死んでも経験値入るから』
『レベル制限なし』
『かも~ん!』
プレイヤーたちは、ボスに攻撃しながら呼びかけている。
街の方から、走ってくる人たちが見えた。
アルファテストの参加者100人全員来てそうな感じがする。
『今タゲられてるの、だれ?』
『オレ、アイン。座標42/70』
『タゲ以外の人、名前表示オフよろ』
巻きこまれる人を減らすため、タゲられてる人は名前と座標を報告していた。
人が多いから名前は重なって見えづらい。
頭の上に出ている名前の文字は、「ネームオフ」と言えば見えなくできるよ。
ノクスはもうオフにしていて、ぼくも急いでオフにした。
『プリはアイン側へ』
『アインにバフよろ』
『火力はボスの後ろへ』
全体チャットでだれかが指示している。
なんとなく、戦いなれてる人みたいな感じがする。
何度かレイドボスバトルに出ている人かな?
プリっていうのはプリーストの略で、火力というのは攻撃がメインのジョブをまとめて言うらしい。
リュウさんはプリーストのジョブを持っているので、アインさん側に向かう。
ノクスとぼくは火力メンバーがいる方へ向かった。
『ボスが赤く光ったらインフェルノくるぞ』
『光った!』
『プリにげろ』
ボスの前方にいた人たちが、サーッとはなれていく。
一人残ったアインさんに、大きな火の玉が落ちてくる。
アインさんを中心に、かなり広い範囲が炎につつまれた。
『アイン生きてる?』
『生きてる』
『回復急げ!』
アインさんは、体力がとても多いらしい。
ボスのインフェルノを耐えきって、なおもタゲをとり続けていた。
(すごいなぁ。何レベルの人なんだろう?)
火力のみなさんといっしょに攻撃しながら、ぼくはボスの向こうに立つアインさんを見る。
アインさんはドワーフだった。
右手に大きな銀の斧、左手に青く光る大きな盾を持っていて、身体は青く光るフルプレートアーマーを着ている。
もしかして、あの青く光る盾とアーマーには、火魔法のダメージを減らす効果が付いてるのかもしれない。