第十二話:リュウさんは紙
お昼ごはんを食べて、しばらくお昼寝した後。
ぼくたちはまた、ゲームにログインした。
森の洞窟の前にいたはずなのに、街の噴水広場に出た。
このゲームでは、ログアウトすると近くの街へもどされるらしい。
「遠くのフィールドから街へ帰りたいときは、ログアウトしてログインし直せばいい。走って帰るより速いぞ」
「リログっていうやつだね。前に遊んだゲームでやってたよ」
「そう、それ」
「もしかして、ヒットポイントゼロになっても街へもどされる?」
「だれかに生き返してもらわなければ、街へもどる選択しかないな」
もどったついでに道具屋でポーションを買い足しながら、ぼくたちは話した。
ログアウトしたら街へもどされるのは、便利なこともあれば不便なこともある。
おつかいクエストとかで遠くまで来ているときは、もどされたくないね。
街を出て、再び初心者ダンジョン入口まで来てみたら、リュウさんがいた。
「支援いるかい?」
「たのむ。今から裏ダンジョンに行くんだ」
「あ、それならオレも一緒していい?」
「メリディエス、リュウもパーティに入れていいか?」
「うん、いいよ」
ぼくが「いいよ」って答えたら、『リュウがパーティに入りました』っていうメッセージが聞こえた。
初めての三人パーティ、上手く協力し合えたらいいな。
「助かるよ。裏ボスをたおすクエストが出てるんだけど、防御が紙で一人だと死んじゃう」
「お前の装備、支援専用だもんな」
リュウさんは裏ボスをたおすクエストを受けているらしい。
ノクスはリュウさんの装備がどんなものか知ってるみたいだ。
防御が紙っていうのは、敵から攻撃されるとすぐ死んじゃうことを言うんだって。
三人で入った洞窟は、前に入ったときよりも敵が強かった。
入ってすぐ出てくるのは、スライムではなくてコウモリだ。
コウモリはノクスが剣をふっても、ヒラリヒラリとよけてしまう。
「メリディエス、レベル20なら【聖なる光】が使えるだろう? こいつらに使ってみてくれ」
「わかった」
ノクスに言われてステータスを見てみると、魔法が増えていた。
天使はレベル10ごとに光の魔法が増えるらしい。
起動言語【ルクス・サンクタ】
聖なる光で味方の能力を上げて、モンスターの能力値を下げる。
「ルクス・サンクタ!」
ノクスの能力が上がってコウモリの能力が下がることをイメージして、魔法を起動した。
白っぽい光が、ノクスとコウモリたちを包む。
ノクスが剣を振ると、コウモリはよけられずに真っ二つになって消えた。
「おー、天使の支援魔法か。いいな」
リュウさんが目を丸くしながら言う。
エルフだけど天使の魔法が分かるってことは、リュウさんもゲーム会社の人なのかな?