第二十五話:レイドボスのドロップ品
バトルタイム十五分。
えらそうにふんぞり返っていたレイドボスが、ガクリと膝をついた。
『おのれ、人間どもめ......』
『あとちょっと!』
『ラストスパート!』
『全力でいけーっ!』
くやしそうなボスと、みんなをはげますプレイヤーたちの全体チャットが聞こえる。
ウィザードたちが、ポーションを一気飲みして全力の魔法を放つ。
ボスは悪魔なので、光属性攻撃に弱い。
火力のみなさんの中で、種族が天使の人は光魔法で攻撃していた。
「サギッタ・ルキダ!」
ぼくもボスの背中めがけて、天使魔法を放った。
レベル10のころは一度に一本しか出せなかったけど、レベル26になった今は使う魔力を増やすことで一つの敵に向けて連射したり、複数の敵を同時に攻撃もできる。
光の矢は魔力5を使って一本。
レベル26での最大本数は十六本。
ぼくは使う魔力を増やして、ボスに十六本の光の矢を撃ちこんだ。
『あぁ......魔王様......お許しを......』
ボスはどこか遠くを見るような顔でつぶやく。
大きな身体が、黒い煙になって消えていった。
『おわったぁぁぁ!』
『みんなおつ!』
全体チャットと共に、人々がピョンピョン飛んで喜ぶ。
あちこちにハイタッチし合う人々がいる。
ぼくとノクスも笑ってハイタッチした。
『さーて、何が出るかな?』
『金貨かな?』
『装備かな?』
ドロップに期待する全体チャットが聞こえる。
人々の前に、ドロップ品が現れた。
現れたのは、丸テーブル、肉、もやし、タレが入ったボトル、木炭、七輪、ジンギスカン鍋、トング、お皿、お箸......。
「え?」
「は?」
「なにこれ?」
あちこちで、そんな驚きの声がする。
ノクスは知ってたのか、驚かずに笑っていた。
『あ、それいつも出るから』
『美味いから食っとけ』
って言ってる人たちは、経験者かな。
『なんでレイドボスを倒してジンギスカンセットが出るんだろうね』
『西洋風ファンタジーの世界なのに、箸がある件』
『ジンギスカンって西洋の料理だっけ?』
『日本だな』
『北海道の郷土料理だな』
全体チャットでツッコミを入れてる人たちもいる。
ジンギスカンって日本の料理なんだね。
ぼく、モンゴルの料理だと思っていたよ。
モンゴルの英雄の名前がついてるし、羊の肉を使ってるし。
日本料理っぽくないよね。
『出たものはしょうがない、食おう』
『ビールも出してほしい』
『ほんとそれ』
全体チャットで話しながら、大人数でのジンギスカンパーティーが始まった。
青空の下、広々とした平原に、七輪に乗ったジンギスカン鍋が並ぶ。
七輪に入れられた木炭に、火がつけられた。
熱したジンギスカン鍋の上に、肉ともやしが置かれてジュウジュウ音をたて始める。
『この肉、ラムかな』
『やわらかくて臭みが無いからラムじゃね』
『このタレ美味い』
全体チャットで話す声を聞きながら、ジンギスカンを美味しく頂く。
ゲームの中なのに、お肉はとても美味しくて、お腹がふくれた感じもする。
たくさん食べてお腹いっぱいになった後。
ステータスを見たぼくは、あることに気づいた。
名前:メリディエス
種族:天使
レベル:27
ジョブ:ウィザード
体力:81+5
筋力:54
器用:135
敏捷:135
知力:135
魔力:135(自動回復 +5/秒)
カリスマ:270
魔法
イグニス:初級火魔法。火を生み出す。薪に火をつけたり、敵に火球を飛ばしたりする。
ウェントゥス:初級風魔法。風を操り、ねらったものを風の鎌で切り裂く。
アクア:初級水魔法。水を生み出す。飲み水を作ったり、操って攻撃したりする。
天使限定魔法
サギッタ・ルキダ:光の矢を放つ魔法。レベルと共に一度に出せる数が増えていく。
ルクス・サンクタ:聖なる光で味方の能力を上げて、モンスターの能力値を下げる。
レア魔法
レスレクティオ:死者を復活させる、よみがえりの魔法。
特殊
水の祝福:水属性ダメージ無効・火属性ダメージ半減・魔力自動回復
ボレアリス平原の勝者:体力+5
特殊のところに「ボレアリス平原の勝者」っていうのが増えてる。
他のゲームでの称号と同じものっぽい。
体力+5は、ずっと続くらしい。
他のレイドボスも、たおしたら何か称号がつくのかな?