第十六話:死者復活魔法レスレクティオ
「レスレクティオ」
グッタリしているリュウさんに片手を向けて言うと、ぼくの手から白い光が出てリュウさんを包んでいく。
蚕が繭に包まれるように白い光に包まれて、リュウさんの姿が見えなくなる。
三秒くらいで光は消えて、リュウさんがボーッとしながら目を開けた。
「お前、また寝落ちたな?」
「......そうらしいね」
ノクスに言われて、リュウさんは他人事みたいに答えている。
寝落ちっていうのは、布団に入ってないときにウッカリ寝ちゃうこと。
眠るつもりはなかったのに、眠ってしまうことなんだ。
「で、水の中に顔が浸かったままになって死んだ、と」
「......うん多分」
このゲームでは、キャラクターの顔が水の中に入ったまま五分が過ぎると【死亡】になるんだって。
リュウさんは水の中で眠り続けて死んじゃったらしい。
あきれたノクスが、抱えていたリュウさんを草の上に落とした。
落とされたリュウさんは、照れ笑いしながら起き上がった。
「メリディエスくん、復活させてくれたんだね。ありがとう」
「湖の中から拾ってきたオレにも言うことは?」
「うん、ありがとうノクス。落とさなかったらもっと良かったんだけど」
リュウさんとノクスが言い合ってる様子が、なんか面白い。
地面に座っているリュウさんに、ノクスが片手を差し出して、立ち上がらせてあげている。
仲良しみたいだね。
「で、なんで湖に入ってたんだ?」
「クエだよ。プリーストの。湖の水草を集めるやつ」
クエっていうのは、ゲーマー用語でクエストを略した言葉だよ。
この湖のクエストはレベル20~30って掲示板に出てたけど、リュウさんは40を過ぎた今からやるらしい。
フレンドリストで見れるリュウさんのジョブは「ウィザード/プリースト」になっている。
先にウィザードのクエストをして、後からプリーストのクエストをしているのかな。
「水草を集めているときに寝落ちたのか」
「昨日の夜、ラノベ読んでたら朝になっててさ。そのまま起きてここへ来てたら、ついウトウトしちゃったんだよね」
「アホだな」
「でもほら、メリディエスくん、魔法の練習にちょうどよかっただろ?」
「う、うん」
二人の話を聞いていたら、リュウさんがぼくの方を向いて言う。
死んだ人が目の前にいなきゃ使えない魔法だし、ちょうどよかった......かな?
「水草あといくついるんだ?」
「えーと......あと三つ」
ノクスはリュウさんに聞いた後、またザブザブと湖に入っていく。
ちょっとかがんで水の中に手を入れて、水草を三つ引っこぬいてもどってきた。
「ほれ」
「あ、ありがとう」
ノクスはリュウさんに水草をあげた。
やっぱり仲良しだ。
ノクスとリュウさんは、きっと友達なんだろうね。