第十七話:湖の精霊を助けよう
「ところで、二人はこれからクエするの?」
「湖の精霊を助ける方のな。メリディエスは初めてだから、ネタバレはなしで」
「おけ。クエストが始まったらバフかけてあげるよ」
「うん、そうしてもらえると助かる」
リュウさんが、ぼくたちに支援魔法(バフ)をかけてくれるらしい。
内容はまだ知らないけど、バトルがあるのかな。
「持ってきたクエストメモを出してみな」
ノクスに言われて異空間倉庫(ストレージ)からクエストメモを取り出すと、紙切れが水色に光り始めた。
同じように、ノクスが出したクエストメモも水色の光につつまれている。
二枚の光る紙切れは、ぼくたちの手からスルリとぬけ出して、湖の真ん中まで飛んでいく。
紙切れは、吸いこまれるように水の中へと消えた。
『......助けて......』
湖の方から、だれかの声がする。
水の一部が盛り上がって、女の人の姿になった。
『私の子供が、ゴブリンに連れていかれた』
水でできた女の人の身体は、頭の先からお腹くらいまでが見えている。
お腹から下は水の中に入っていて、こちらからは見えなかった。
長い髪の毛にかくれて、顔はよく分からない。
『お願い、私の子供を助けて』
水でできた女の人が、ぼくの方へ片手をのばす。
その手から青く光る巻物が現れて、空中をふわふわ飛んでこちらへ向かってくる。
ぼくは両手を差し出して、それを受け取った。
『ウィザードのあなたに、水の魔法をあげる。どうかゴブリンたちをやっつけて』
女の人はそういうと、氷がとけるように水面へ広がり、見えなくなった。
ぼくは巻物のヒモをほどいて広げた。
水色の文字がうかびあがり、ぼくの頭に吸いこまれていく。
起動言語【アクア】
初級水魔法。水を生み出す。飲み水を作ったり、操って攻撃したりする。
「水魔法、もらえたな」
「うん」
「クエストを受けたのがファイターの場合は、これだ」
ノクスが新しい装備を見せてくれた。
ぼくが水のスクロールをもらっていたとき、ノクスは水の盾を貰っていたらしい。
水の盾は、青い宝石みたいに透き通ったスモールシールドだった。
「見た目は綺麗だし、敵の攻撃を避けたりするし、いいよなそれ」
後ろで見ていたリュウさんが言う。
まるで使ったことがあるみたいに。
もしかしたら、アルフアテストより前にこのゲームをしていて、ファイターの経験もあるのかもしれない。
「じゃ、精霊の子供を助けに行くか」
「うん」
「行き先は湖の近くにある【ゴブリンの巣穴】っていうダンジョンだ」
「頑張って。バフかけとくよ」
リュウさんは杖をふって、ぼくたちにバフをかけてくれた。
ステータスを見ると、今はこんな感じになっている。
名前:メリディエス
種族:天使
レベル:25
ジョブ:ウィザード
体力:75+10
筋力:50+10
器用:125+10
敏捷:125+10
知力:125+10
魔力:125
カリスマ:250
魔法
イグニス:初級火魔法。火を生み出す。薪に火をつけたり、敵に火球を飛ばしたりする。
ウェントゥス:初級風魔法。風を操り、ねらったものを風の鎌で切り裂く。
アクア:初級水魔法。水を生み出す。飲み水を作ったり、操って攻撃したりする。
天使限定魔法
サギッタ・ルキダ:光の矢を放つ魔法。レベルと共に一度に出せる数が増えていく。
ルクス・サンクタ:聖なる光で味方の能力を上げて、モンスターの能力値を下げる。
レア魔法
レスレクティオ:死者を復活させる、よみがえりの魔法。
「バフが切れる前にクリアできるか、チャレンジだな」
「うん、がんばる」
ぼくたちは、ゴブリンの巣穴へ入っていった。