青山アキト 第2話
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夕方
「はいこれ.....」
僕は缶ミルクを皿屋敷さんに渡した 彼女はそれを見てすごく目を輝かせた
学校が終わると僕はお迎えが来るまで彼女と座って話していた 正直今日は一日中、もうどれくらい長く話していたか分からないくらいだった
「.......これが...缶ミルクなんですね」
「飲んだことないの?」
彼女は小さく首を振った....僕はその缶ミルクに興味津々な彼女の顔をじっと見つめていた
「本当に?」
僕は缶ミルクをグイっと飲んだ、彼女も少し飲んでみた、それから止まらなくなった
「美味しい!」
「でしょ?」
「あなた....家に帰らないの?」
「帰らないよ...お迎えが来るまで待ってるから」
彼女は不思議そうに首を傾げた、それで僕は答えた
「君がいつも一人でいるのを見てきたから 幼稚園の頃も...今も 僕たちもう友達なんだし、一日終わるまで一緒にいたっていいじゃない」
彼女は何も答えなかった...ただ微笑み返してきた......
「そういえば...君ってお嬢様なんでしょ? 家ってどれくらい大きいの?」
「すごく大きいよ 本当に一番大きいの!」
彼女は....いつも関わるべきじゃない人、あるいは僕らのような普通の人には手の届かない人だと見られがちだった
でも僕が実際に彼女に近づいてみると....すぐに分かった
彼女も僕らと全く変わらない、ただの普通の人間だって
僕はただ普通の暮らしをしている少年だった、自分は大きな家柄に生まれたけど、それは過去の話にすぎない
僕は普通の人間だ、それが僕という人間だ
皿屋敷さんがどんな暮らしをしているのか僕は知らなかった
でも今、僕は世界について少し理解できた気がした
人というものは....外見だけでは絶対に判断できないんだって
「青山くんって.....初めてです」
「初めて?」
「うん...初めてです 双子の姉以外で...こんな風に話が止まらないくらい話せるのはあなただけです」
彼女はまた笑った....
僕らにとってはもう何百万回も見飽きているような表情
でも今日僕が彼女を見つめる眼差しには、退屈という言葉は一切ありませんでした
「おいおい...何だよこれ.....こんなとこでお嬢様を口説いてるのかよ」
「ケジロウ.....」
ケジロウは僕のクラスのボス格だった、彼とは小一の頃から知り合いだった
「本当だな....この様子だと絶対トイレで何かやってるに違いねえ ハハハハ」
こいつはいつも二人の取り巻きを連れていた、僕と彼らはしょっちゅう殴り合いの喧嘩をしていた、こいつがこんな金持ちのお嬢様をからかえるのは、こいつの父親が現職の国会議員だからだった
「だよな.....しかも..皿屋敷さんは可愛いし....誰だって我慢できないよな」
インターネットが社会に浸透すると、いじめの手口はさらに増えていった
下品な言葉でからかうのも同じだった
「口の利き方に気をつけろよ」
僕は立ち上がって本気で喧嘩する構えを取った....相手も準備万端だった
三対一...僕は何度も経験してきた 僕はすぐにケジロウの袖を引っ張って服がほとんど破れそうになった
「青山くん、だめ」
彼女は僕の袖を掴んだ、僕が手を出すのを止めようとして
「うわあ...彼女が止めてるぞ」
相手は僕を挑発しようとした、でも皿屋敷さんはさらに強く僕の袖を掴んだ
「.............もういい どこへでも行けよ」
僕はその三人を追い払った、連中は少し呆気に取られた様子だった、だってそう言われたら普通僕は殴りかかっていたから、でも彼女が喧嘩を見たくなさそうだったから、今回だけは見逃してやることにした
「今日は引いたな 女に止められた途端に弱腰になりやがって」
三人は去っていった
「大丈夫?」
僕は聞いた...彼女は首を振った
でも表情を見る限り、全然大丈夫そうには見えなかった
今日の出来事の後、僕ら二人へのいじめはさらに激しくなっていった
翌日
「おお.....」
「おお......」
僕ら二人はまた一緒に学校に来た......昨日のことで僕は知った...彼女には毎朝毎夕、お抱えの運転手が送迎してくれているということを、漫画でしか見たことがなかったので、実際に見ると感動した
今日も昨日見たのと同じだった....今日は少し早く来たから、僕の数少ない女友達であるお嬢様の豪華さを目にすることができた
彼女は高級な黒い車から降りてきた、アニメみたいに誰かがドアを開けてくれるんだけど、ドアを開けてくれるのは年配の執事じゃなくて、僕と同じくらいの歳のメイドさんだった
「おはようございます 青山くん」
「おはようございます」
僕は親しげに挨拶した、彼女はまた僕に微笑みかけてきた
「あれ.....あの子? あなたが話してた友達?」
別の学校の制服を着たもう一人の女の子が降りてきて僕に挨拶した、彼女は皿屋敷さんと瓜二つだった、ただあまり感情を表に出さないタイプだった
「はい お姉様 彼は私の友達です 青山くん、これは私の双子の姉で、名前はミスといいます、こっちの子はアオイです」
「ふーん.....青山ね? ふんふん」
「初めまして 青山様」
様付けで呼ばれるとなんだか偉い人になったような気分だった
「こんにちは...えっと...お姉さん...ミスさん」
「よろしくね..アキトくん....」
「ミス様.....急がないといけません」
アオイが注意した...ミスさんはそれで車に乗り込みながら僕に手を振った....
いやはや....こんな可愛いお姉さんがいたら、誰だって少しは惹かれるのが普通だよな
「私のお姉様に変なこと考えちゃ絶対だめだからね」
「やめてよ....僕をどんな人間だと思ってるの」
僕ら二人は下駄箱の方へ歩いていった....僕はロッカーを開けて上履きを取り出した、でも
「画鋲?」
僕の靴に画鋲が刺さっていた.....スパイクシューズみたいに刺さっていて、でも先端が少し内側に食い込んでいるだけだった
「どうかしましたか?」
双葉が僕のところへ歩いてきた....僕は靴を見せた
「.............」
彼女はまた俯いた......言わなくても彼女がきっと罪悪感を感じていることが分かった
僕を彼女と同じようにいじめの標的にしてしまったことへの罪悪感
「気にするなって....この先もきっとまたいじめられるだろうけど 慣れればいいさ、それに犯人を捕まえたら全力でやり返してやるから」
僕はいじめられた時、立ち向かうことを選んだ
誰が僕をいじめようと知ったことじゃない、でももし犯人を見つけたら、絶対に容赦しない
「青山くん...だめだよ...」
「いやいや...暴力で解決しようってわけじゃないから......」
でも仕返しはする、それだけ
「僕ら二人、友達だよね?」
「うん」
「周りなんて気にしなくていいよ、お互いさえいればそれでいい」
「おはよう」
僕と双葉は教室に入った
僕はゴミ箱の方へ歩いて画鋲をその中に放り込んだ....
そして案の定、黒板には大きな文字でこう書かれていた
アキト ♡ フタバ
教室にざわめきが広がった....でも僕はもう彼女に気にするなと言ってあった
僕は彼女の顔を見ながら肩をすくめた、彼女も特に気にする様子もなく黒板を消しに行った
教室の中はだんだん静かになっていった....きっとみんな、僕ら二人がおかしくなったと思っていたんだろう
でもそれがどうした...僕らは気にしない....
いじめられようが、見下されようが気にしない、でもやられたらやり返す
それがあの時の僕だった