午後5時 スターズ2
041
『主役ですよ......いや、マジで主役なんですよ......』
『それで?』
『だからあなたが主役なんだから......CMがどんなに短くても演技の学校に行かないといけない......』
『先輩、このプロジェクトから俺を外せませんか!? 俺はアキさんですよ、なんでこんなことしないといけないんですか......』
『演技を舐めるなよ......』
『舐めてないです!ただやりたくないだけで......』
『でもクライアントがあなたを指名したんだよ』
『あなたはすごくいいエキストラだったんだから......』
『誰でもいいじゃないですか!! SNSに投稿して、俺の顔に似た人を探してますって書けば......ギャラ一万円でも来ますよ!五千円でも来ますよ!信じてください......』
『あなたじゃないとダメなんだよ......クライアントがあなたをすごく気に入ってるんだ......定時上がり名人......』
『考えてみなよ......あなたが主役なんだぞ......ヒロインと共演することになるんだ、しかも有名女優だぞ!!見てみろよ!! 柊ゆきなだぞ!!』
『先輩の会社じゃないですか......』
『でも今日から......アキさんには個室を用意しないといけないな......』
『ちょっと!俺がいつからアキさんになったんですか......』
『まあ......アキさんはもう契約したんですから......あなたは今やアーティストですよ......』
『そんなに長くアキさんって呼ばれてたのに、今になってこんな呼ばれ方するとは......』
『じゃあ......秘書を呼んできますね......あ!カワイさん......』
『はいっ、あ......アキさん......わあ......柊さんと共演するんですね......』
『そうです......しかも二シーンも並んで......』
『じゃあスケジュール確認しますね......』
「俺のスケジュール、何が入ってんだろ......」
『あの......ここに演技の学校に行くって書いてあります......』
『俺のギャラはいくらですか......』
『500円』
『先輩、俺を行かせるつもりですか......』
『演技の学校に......』
[wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[誰でもいいじゃん!!! wwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[マーガレットさん、3万円ドネート 500円かよ wwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[安すぎる wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[スターレベルで500円って、普通に悲しすぎる]
[クロロ・ルシルフルさん、11,111円ドネート 500円じゃスーパーで食材も買えないよ......]
[リスキーさん、55,555円ドネート 師匠かわいそうすぎ、よしよしε===(っ≧ω≦)っ]
[まさぽんさん、500円ドネート これ卵代ですね wwwwwwwwwwwwwwww]
[かわいそうすぎwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[ギャラ安すぎでしょ wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
『もうお願いです......誰でもいいんで......』
『でもクライアントがあなたのこと本当に気に入ってるんだよ......定時上がり優秀賞......』
『じゃあ俺はもう帰ります......』
『来週......演技の学校に行ってもらうから......』
「誰でもいいですよ......お願いだから......ね......」
「でもさ......こういう仕事、収入が十万近くになるのに!! でもこれ500円なんだよね」
「皆さんは俺が仕事受けると思います?......受けないよ......帰ろ......」
「で夕方になって......ユウタたちとゲームしてたじゃないですか......そしたら社長から電話が来てクライアントが急いで呼んでるって......」
『あの......アキトさん......アキトさんは弊社に何か問題はありますか?』
『ないですけど......』
『えっと......アキトさんはこの役に本当にぴったりで......何か困ってることがあれば言ってください......ヒロインを変えることもできますよ、ヒロインのリストがあるんで......』
『......でも俺は裏方ですから......』
「俺の仕事ってさ、脚本書いて、それを出演者に伝えて、タレントとインフルエンサーのスケジュールが合ってるか確認することで......」
『でも弊社のボスが考えたメインキャラはですね......社会人の男性で、背が高くて、シャツを着て、外に青いニットベストを羽織って、耳にピアスをして、しかもオフィス勤務の経験がある人物で......この役はあなたにぴったりすぎるんですよね......』
「そしたら先輩が俺を説得しようとして......」
『お前がこの仕事を受けないといけないんだよ......これがお前の輝く瞬間なんだから......』
『先輩......俺もうこれだけ有名なのに、何をどう輝けっていうんですか......もしこのCMが当たったら、ギャラの代わりにCMの株でもらえるって契約書に書いてくれるなら......』
『トム・クルーズみたいに書いてもいいけど......お金に困ってるのか......』
『そうです!困ってます!』
『じゃあ予算を増やすよ......』
『いくらですか......』
『700円でどうだ......』
『どこへでも行ってください......』
『ちょっと待て......個室も用意するし、ケータリングも食べ放題だし、演技の学校のスケジュールもあるぞ、まだ不満か?』
『株の契約書を持ってきてください。トム・クルーズにもなりますよ、トム・ハンクスでもなんでも。つまりこのCMで俺がメイン以上に話題になったら、これだけの株をもらう......持ってきてください。書いて見せてください......』
「それで書いてもらったら......2%って書いてあって......」
「俺はそいつのことを平安時代まで先祖を掘り起こして、三十分くらい罵倒してやりましたよ......」
『クライアントがお願いしてるんだよ......クライアントはあなたのことが好きで、配信もずっと見てて......個人トレーラーが欲しくないか......ケータリングじゃなくて食べたくないか......』
『そのぶんの予算、俺に回せませんか?』
『できない!!』
「結局......撮影の仕事を受けることにして......というかですね......」
『じゃあなんでその予算を俺に回してくれないんですか......』
『あ......それは私の予算じゃなくて、クライアントの予算で......出演者の予算はあれだけなんですよ......』
「気が狂いそう......」
[ほんとに頭痛くなりそうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[もうやだ、そこまで粘るのかよ]
[食い下がりがすごい......wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[師匠も社長もどっちも気の毒すぎる......]
[めちゃくちゃ面白いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[クライアントさんもなんか......wwwwwwwwwwwwwwwwww٩(ᗒᗨᗕ)۶]
「まあそういうわけで......俺も仕事を受けることにして......そのCMもそれなりに話題になったし......友達からはめちゃくちゃいじられまくって......ほんとに......」
「俺ってさ......どこ歩いてても、コンテンツが向こうから来るんだよな......ほんとにもう......」