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とこしえに咲く華はなし

『華よ煌めけ 咲き誇れ』

『永久とこしえに咲く華はなし』

『あわれ いと慈しみ』

 その瞬間、植物たちが枯れ始めた。
 蔦が萎れ、花弁が音もなく落ちていく。
 生命が、美しく開花したが、
 静かに、終わりへと変わる。
 春を過ぎた後の桜の花弁が散るように。
 冬を越した後の椿が落ちるように。
 生命は静かに、穏やかな死を迎えた。

「......ふ、ふふ」
 一瞬驚いたような表情を見せたが、それはすぐに笑いへと変換された。
 それは怯えでも、嘲笑でもない。
 まるで、星空を初めて見た子どものような笑みだった。
「素晴らしい、やはり貴女は神に最も近しい存在!悪魔を作ったのはやはり貴女ですね⁉︎」
 その言葉に、アイは扇子をシャランと閉じながらハルシオンを見つめる。
「人は面白いな、話が急に飛躍する」
 リンは、咄嗟に扉のドアを開けようとする。
 しかし何度ドアノブを引っ張っても、押しても開く気配がない。
 ――さっきのカチャンって音はロック音か!
 してやられた。どこまでも一枚上手だった。
「動かないでくださいシュテルリヒト様、下手に動けば死にますよ?」
 冷酷に囁くと同時に、光が見えた。
「...んだよ、これ」
 ドアから僅かに見えた刃の先を見据えた。
「対悪魔戦闘用特殊武器たいあくませんとうようとくしゅぶきです」
「.........は?」
「ですから、対悪魔戦闘用特殊武器たいあくませんとうようとくしゅぶきです。悪魔に特化した武器ですね、簡単に言うと人は殺せないけど悪魔は殺せます。既に実験済みで成功データも取れてるんですよね。下手に動くとそのドアの案内板の中に仕込まれた武器が貴方の喉を突き刺しますっ!素晴らしいですね、コレで貴方が悪魔か、人間か分かるのです。あ、人間と証明したいのであれば、どうぞ動いてくださいね」
 ―――異常すぎるだろ。
 対悪魔戦闘用特殊武器たいあくませんとうようとくしゅぶきなんて聞いたことがない。
 恐らくは、秘密裏に研究が進められていた秘匿武器。仕方がない、悪魔に知られたら対処される場合がある。正しい判断だ。
 この女、楪ハルシオンとは、そういった知性に長けている人物だった。
「シュテルリヒト様、代々伝わるそのコートはやはりどなたかの形見でしょうか?」
「聞いてなんになる?」
「ただ知りたいだけです。触れてみても?」
 その瞬間、オーロラの華がリンを優しく包む。
 何処から現れたのか。
 そう問いかける前にアイはハルシオンを睨む。
「彼リンに触れてみろ。お前の死を宣告する」
 鈴の声が聴こえた。
「お怒りになられた御姿も神々しいですね。花が枯れた今、私が持ち合わせる武器は案内板に刺された特殊武器のみ。かなり不利ですね」
「なら、ドアのロックを解除しろ」
「それはできませんね」
「何故だ?」
「ふふ、耳の良いシュテルリヒト様はお気づきになられている事でしょう?」
 その言葉に、リンは冷や汗が頬を伝う。
「ドアのロック音、何回鳴ったか覚えてます?」
「......二回だ」
 その言葉に、ハルシオンは嬉しそうに手を叩いた。
「その通りですっ!一つ目のロックは、貴女達が逃げ出さないようにという防犯目的のロックですが、二個目は自動になってるんですよぉ、その判断基準は――」

「悪魔が入ってきた場合、自動で閉じるように」

 ふふ、と笑いを溢すハルシオンはあまりに無邪気だった。
 無意識に物を壊す子どものようだ。
「何をしてほしい。狙いは私だろう」
「私はただ知りたいだけです」
 そう言いながら、ハルシオンは枯れ果てた花に触れる。
 徐々に、また花は生命の息吹を上げた。
 生命のご光来である。
 そう言いたげに、花は咲き誇る。
 時間が巻き戻ったとしか言いようがないほど美しく咲き誇る花々に、リンは決意の眼差しを向ける。
「持久戦に持ち込みましょうか。あな—」
 そうハルシオンの言葉を遮りながら、リンは言う。
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祝福作者:結弦
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 その瞬間、植物たちが枯れ始めた。
 蔦が萎れ、花弁が音もなく落ちていく。
 生命が、美しく開花したが、
 静かに、終わりへと変わる。
 春を過ぎた後の桜の花弁が散るように。
 冬を越した後の椿が落ちるように。
 生命は静かに、穏やかな死を迎えた。

「......ふ、ふふ」
 一瞬驚いたような表情を見せたが、それはすぐに笑いへと変換された。
 それは怯えでも、嘲笑でもない。
 まるで、星空を初めて見た子どものような笑みだった。
「素晴らしい、やはり貴女は神に最も近しい存在!悪魔を作ったのはやはり貴女ですね⁉︎」
 その言葉に、アイは扇子をシャランと閉じながらハルシオンを見つめる。
「人は面白いな、話が急に飛躍する」
 リンは、咄嗟に扉のドアを開けようとする。
 しかし何度ドアノブを引っ張っても、押しても開く気配がない。
 ――さっきのカチャンって音はロック音か!
 してやられた。どこまでも一枚上手だった。
「動かないでくださいシュテルリヒト様、下手に動けば死にますよ?」
 冷酷に囁くと同時に、光が見えた。
「...んだよ、これ」
 ドアから僅かに見えた刃の先を見据えた。
「対悪魔戦闘用特殊武器たいあくませんとうようとくしゅぶきです」
「.........は?」
「ですから、対悪魔戦闘用特殊武器たいあくませんとうようとくしゅぶきです。悪魔に特化した武器ですね、簡単に言うと人は殺せないけど悪魔は殺せます。既に実験済みで成功データも取れてるんですよね。下手に動くとそのドアの案内板の中に仕込まれた武器が貴方の喉を突き刺しますっ!素晴らしいですね、コレで貴方が悪魔か、人間か分かるのです。あ、人間と証明したいのであれば、どうぞ動いてくださいね」
 ―――異常すぎるだろ。
 対悪魔戦闘用特殊武器たいあくませんとうようとくしゅぶきなんて聞いたことがない。
 恐らくは、秘密裏に研究が進められていた秘匿武器。仕方がない、悪魔に知られたら対処される場合がある。正しい判断だ。
 この女、楪ハルシオンとは、そういった知性に長けている人物だった。
「シュテルリヒト様、代々伝わるそのコートはやはりどなたかの形見でしょうか?」
「聞いてなんになる?」
「ただ知りたいだけです。触れてみても?」
 その瞬間、オーロラの華がリンを優しく包む。
 何処から現れたのか。
 そう問いかける前にアイはハルシオンを睨む。
「彼リンに触れてみろ。お前の死を宣告する」
 鈴の声が聴こえた。
「お怒りになられた御姿も神々しいですね。花が枯れた今、私が持ち合わせる武器は案内板に刺された特殊武器のみ。かなり不利ですね」
「なら、ドアのロックを解除しろ」
「それはできませんね」
「何故だ?」
「ふふ、耳の良いシュテルリヒト様はお気づきになられている事でしょう?」
 その言葉に、リンは冷や汗が頬を伝う。
「ドアのロック音、何回鳴ったか覚えてます?」
「......二回だ」
 その言葉に、ハルシオンは嬉しそうに手を叩いた。
「その通りですっ!一つ目のロックは、貴女達が逃げ出さないようにという防犯目的のロックですが、二個目は自動になってるんですよぉ、その判断基準は――」

「悪魔が入ってきた場合、自動で閉じるように」

 ふふ、と笑いを溢すハルシオンはあまりに無邪気だった。
 無意識に物を壊す子どものようだ。
「何をしてほしい。狙いは私だろう」
「私はただ知りたいだけです」
 そう言いながら、ハルシオンは枯れ果てた花に触れる。
 徐々に、また花は生命の息吹を上げた。
 生命のご光来である。
 そう言いたげに、花は咲き誇る。
 時間が巻き戻ったとしか言いようがないほど美しく咲き誇る花々に、リンは決意の眼差しを向ける。
「持久戦に持ち込みましょうか。あな—」
 そうハルシオンの言葉を遮りながら、リンは言う。
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