お月見④
「私ね、小さな頃から
あなたの卑屈なところ大嫌いだった。
自分がこの世界で1番不幸な悲劇のヒロインだって信じて疑わないその態度。できるくせに、できないって決めつけて何もかも諦めるところ」
かぐやの潤む瞳に戸惑う姫の顔が映り込む。
「でも、でもね。
双子だからこそ分かるのよ。
あなたがどれだけ苦しんできたか、
どれだけ私を憎んだか。」
「......そんな、はず」
「あなたも本当は分かってるはずよ。
私の弱みを。......あなたの変化に戸惑って避けるようになってしまったけど
大嫌いだけど、私、あなたのことが
大好きなのよ」
涙がポロリと零れ落ちた。
それは、姫とかぐやの涙であった。
どうして。
「姫のことがずーっと嫌いで、大好きだった。避けちゃってごめんなさい。
けど、間違いに気づいた今度こそは貴方と向き合いたいと思ったから、チーズケーキにかぐや姫は月面着陸できないから、こうしてお月見に誘ったの」
「なんで、その言葉、覚えてるの......」
「だって、これは私達の秘密の暗号だもの。忘れるはずがないわ」
女神のように微笑むかぐやに
もう耐えられなかった。
「ごめん、ごめんね。かぐや。
あたしも、そうだった。
かぐやの自分自身を偽る演技が
ずっと嫌いで大好きだった。
かぐやが帰ってこないからって
1人で勝手に信じることをやめて
ひどい態度をとった。
本当は、ずっと、かぐやを待ってた......」
嗚咽を漏らしながら崩れ落ちた姫にかぐやは優しい眼差しを向けるとゆっくり抱きしめた。
「ただいま。帰るのが遅くなってごめんね」