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お月見③



「何のつもり?」

その声に振り向くと、姫が息を切らしながら立っていた。鋭い眼差しを向けつつも自分のために走ってきてくれたことが分かり、胸が暖かくなった。

「姫......。来てくれないって思ってた」

暗闇が辺りを包み込み、作りもの街灯の光が辺りを照らす。
静まり返った公園の中に聳え立つ木々が2人を見守っていた。

「今夜は十五夜でもないのに
お月見をしようってわけわかんない」

ドガっとベンチに腰掛ける姫は
ムスッとした表情を浮かべている。

「私、また姫とあの頃みたいに
笑い合いたかったの」

「......わかってんの?
こうなったのは全部かぐやのせいだって」

かぐや、とあの頃のように
名前を呼んでもらえたことに胸が
キュッとなるけどかぐやは真っ直ぐに
姫を見つめた。

「うん......。わかってる。ごめんね、姫」

「ごめんね......って。
あんたはいつもそう言うけど......。

ずっと、ずっと、ずっと......!!!!
あたしはあんたのことが嫌いだった!!!」

波打つくせ毛を振り乱しながら
苦しそうに声を振り絞る。

床を睨みつけながら息を荒げる姫の瞳は湖面のように揺らめいていた。


「......私も......あなたのことが大嫌いだった」

しかしそう告白したかぐやは雪のように白い肌に水晶のような透明な涙を流していた。

大嫌いだと言いながら。

「ねぇ、見て。今夜も月は浮かばない」

数年前、夜空から消えた月は
今も姿を見せることはない。

「私達の小さい頃夢、覚えてる?」

「......月に行くこと......」 

「ふふふ。今考えると可愛い夢よね。
かぐや姫だからって誰でも
月に行けるわけじゃないのに......」

真っ直ぐな黒髪をたなびかせて
かぐやは振り向いた。

「でも、チーズケーキにかぐや姫は
月面着陸できない」

その言葉に姫の瞳が星の光を受けて煌めいた。

どうして、その言葉を覚えてるの......?




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お月見④
チーズケーキにかぐや姫は月面着陸できない作者:藤川みはな
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「何のつもり?」

その声に振り向くと、姫が息を切らしながら立っていた。鋭い眼差しを向けつつも自分のために走ってきてくれたことが分かり、胸が暖かくなった。

「姫......。来てくれないって思ってた」

暗闇が辺りを包み込み、作りもの街灯の光が辺りを照らす。
静まり返った公園の中に聳え立つ木々が2人を見守っていた。

「今夜は十五夜でもないのに
お月見をしようってわけわかんない」

ドガっとベンチに腰掛ける姫は
ムスッとした表情を浮かべている。

「私、また姫とあの頃みたいに
笑い合いたかったの」

「......わかってんの?
こうなったのは全部かぐやのせいだって」

かぐや、とあの頃のように
名前を呼んでもらえたことに胸が
キュッとなるけどかぐやは真っ直ぐに
姫を見つめた。

「うん......。わかってる。ごめんね、姫」

「ごめんね......って。
あんたはいつもそう言うけど......。

ずっと、ずっと、ずっと......!!!!
あたしはあんたのことが嫌いだった!!!」

波打つくせ毛を振り乱しながら
苦しそうに声を振り絞る。

床を睨みつけながら息を荒げる姫の瞳は湖面のように揺らめいていた。


「......私も......あなたのことが大嫌いだった」

しかしそう告白したかぐやは雪のように白い肌に水晶のような透明な涙を流していた。

大嫌いだと言いながら。

「ねぇ、見て。今夜も月は浮かばない」

数年前、夜空から消えた月は
今も姿を見せることはない。

「私達の小さい頃夢、覚えてる?」

「......月に行くこと......」 

「ふふふ。今考えると可愛い夢よね。
かぐや姫だからって誰でも
月に行けるわけじゃないのに......」

真っ直ぐな黒髪をたなびかせて
かぐやは振り向いた。

「でも、チーズケーキにかぐや姫は
月面着陸できない」

その言葉に姫の瞳が星の光を受けて煌めいた。

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